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昆虫亀 このページをアンテナに追加 RSSフィード

昆虫亀

2013-12-10

ポピュラー音楽学会で発表してきました。資料公開。 ポピュラー音楽学会で発表してきました。資料公開。を含むブックマーク ポピュラー音楽学会で発表してきました。資料公開。のブックマークコメント

2013年12月8日(日)、ポピュラー音楽学会ワークショップA「ポピュラー音楽美学存在論(2):今井論文をめぐるオープン・ディスカッション」で発表してきました。

発表タイトルは、「ポピュラー音楽におけるHigher Level Ontology:リマスタリング、カヴァー、リミックス」です。

http://jaspm25.wiki.fc2.com/

ポピュラー音楽学会は非会員で、かつ初参加だったのですが、皆様とてもフランクでとても良い学会だなと思いました。

ディスカッション向きというか。

中堅どころの先生方がきちんと活動されているあたり、勢いのある学会という感じがします。



あいにくワークショップAは、今井が急遽欠席になったので、急遽立命館大学の吉田さんにコメンテーターとして登壇していただきました。

ですので、当日のメンツはこんな感じです。

ワークショップ 12月8日(日) 14:00〜17:00

ワークショップA G号館3階301

ポピュラー音楽美学存在論(2):今井論文をめぐるオープン・ディスカッション

問題提起者:増田聡大阪市立大学;コーディネーター)

討論者:森功次(日本学術振興会特別研究員/山形大学

コメンテーター吉田寛立命館大学

司会:谷口文和(京都精華大学

増田さんと今井の目的の違いがはっきり理解できたので、私としてはなかなか有意義ワークショップになりました。

わたしはトラック間の共通性を説明しようとしましたが、増田さんはそれとは別の、観賞文脈によって変化する構成主義的な作品観を採っていたようですね。

打ち上げの席では谷口さんが「次は作品概念にこだわらすに「音を聞く経験」について考えるワークショップをやりたい」と言ってました。それも楽しみです。

来年の年次大会は、学習院大学で開催されるとのこと。



私の発表資料を公開しておきます。当日いい忘れましたが、ワークショップの場で配布したプリントは、諸事情あって木曜日に印刷したものでした。結構大事なところが変わってます。今後参照される際は、こちらのデータを御覧頂いたほうが無難です。

Dropbox - 2013Jaspm森功次発表、ポピュラー音楽におけるHigher Level Ontology、リマスタリング、カヴァー、リミックス.pdf

当日はあまり議論できませんでしたが、分析美学における最新のカヴァー理論なども紹介していますので、カヴァーとかリミックスなどに興味がある方にとっても参考になるかもしれません*1


ただ、当日のワークショップでは、増田さんのforthcoming論文「われわれは「存在しないもの」を聴いている――今井晋「ポピュラー音楽存在論――《トラック》、《楽曲》、《演奏》 」への応答」を配布し、それをもとに議論が進められましたので、わたしの資料だけ見ても、よくわからないところがあるかと思います。

増田さんの論文は、次号の『ポピュラー音楽研究』に載るそうなので、この議論に興味がある方はそれを待ちましょう。




あと、検索用に参考文献を載せておきます。


  • Ben Caplan and Carl Matheson. 2006. “Defending Musical Perdurantism” British Journal of Aesthetics 46: 59-69.
  • –––––. 2011. “Ontology”in A. Kania and T. Gracyk (eds.) The Routledge Companion to Philosophy and Music, Routledge: 38-47.
  • David Davies. 2009. “The Primacy of Practice in the Ontology of Art” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 67: 159-171.
  • Julian Dodd. 2000. “Musical Works as Eternal Types.” British Journal of Aesthetics 40: 424–40.
  • –––––. 2002. “Defending Musical Platonism.” British Journal of Aesthetics 42: 380–402.
  • –––––. 2007. Works of Music: An Essay in Ontology. Oxford: Oxford University Press.
  • Joshua Grasgow. 2007. “Hi-Fi Aesthetics” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 65: 163-174.
  • Robert Howell. 2002. “Types, Indicated and Initiated.” British Journal of Aesthetics 42: 105–27.
  • Andrew Kania. 2006. “Making Tracks: The Ontology of Rock Music” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 64: 401-414.
  • –––––. 2008a. “Piece for the End of Time: In Defence of Musical Ontology” British Journal of Aesthetics 48: 65–79.
  • –––––. 2008b. “The Methodology of Musical Ontology: Descriptivism and Its Implications” British Journal of Aesthetics 48: 426-444.
  • –––––. 2009. “Musical Recordings” Philosophy Compass 4: 22-28.
  • –––––. 2011. “All Play and No Work: An Ontology of Jazz” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 69: 391-403.
  • Andrew Kania and Theodore Gracyk. 2011. “Performances and Recordings” in A. Kania and T. Gracyk (eds.) The Routledge Companion to Philosophy and Music, Routledge: 80-90.
  • Jerrold Levinson. 1980. “What a Musical Work is” The Journal of Philosophy 77: 5-28.
  • Cristyn Magnus, P.D. Magnus, and Christy Mag Uidhir. 2013. “Judging Covers.” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 71: 361-370.
  • Guy Rohrbaugh. 2003. “Artworks as Historical Individuals” European Journal of Philosophy 11: 177-205.
  • Robert Stecker. “The Constructivist's Dilemma” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 55: 43-52
  • –––––. 2010. Aesthetics and the Philosophy of Art: An Introductuion, 2nd edition, Rowman & Littlefield. 〔『分析美学入門』森功次訳、勁草書房、2013.〕
  • –––––. 2011. “Methodological Question about the Ontology of Music.” The Journal of Aesthetics and Art Criticism 67: 375-386.
  • Amie Thomasson. 1999. Fiction and Metaphysics. Cambridge University Press.
  • –––––. 2005. “The Ontology of Art and Knowledge in Aesthetics” Journal of Aesthetics and Art Criticism 63: 221-230.
  • –––––. 2006. “Dabates about the Ontology of Art: What are We Doing Here?” Philosophy Compass 1: 245-255.
  • –––––. 2010. “Ontological Innovation in Art” Journal of Aesthetics and Art Criticism 68: 119-130.
  • ロマン・インガルデン『音楽作品とその同一性の問題』安川訳、関西大学出版部、2000年.
  • ジャック・ナティエ『音楽記号学足立美比古訳、春秋社、新装版、2005.今井晋. 2011. 「ポピュラー音楽存在論――《トラック》、《楽曲》、《演奏》」『ポピュラー音楽研究』15:23-42.
  • 倉田剛. 2012. 「芸術作品の存在論―分析的形而上学の立場から」西日本哲学会編『哲学の挑戦』春風社.
  • 佐々木健一. 1985. 『作品の哲学東京大学出版会.
  • 谷口文和. 2010. 「レコード作品がもたらす空間――音のメディア表現論」『RATIO SPECIAL ISSUE 思想としての音楽』講談社: 240-265.
  • 田邉健太郎. 2012. 「ジュリアン・ドッドの音楽作品の存在論を再検討する : 聴取可能性の問題を中心に」『Core ethics コア・エシックス』8: 267-278.
  • –––––. 2013. 「「指し示されたタイプ」的存在者としての音楽作品――ジェラルド・レヴィンソンの音楽作品の存在論に関する一考察」『美学』242: 71-82.
  • 増田聡. 2005. 『その音楽の〈作者〉とは誰か――リミックス・産業・著作権みすず書房.
  • –––––. (forthcoming). 「われわれは「存在しないもの」を聴いている――今井晋「ポピュラー音楽存在論――《トラック》、《楽曲》、《演奏》 」への応答」.
  • 吉田寛. 2010. 「われわれは何を買わされているのか――新リマスターCDから考えるビートルズの「オーセンティシティ」」『Ulysess』2010年冬号: 100-103.


では。


*1:当日、個人発表枠で何人かカヴァーについて論じてましたけど、最近では「以前他の人が録音した曲を別の人が演奏・録音すること」というカヴァーの定義はいろいろと問題があることが指摘されてます。その辺り考える際には、やっぱ《song》《track》《performance》という要素に着目して考える枠組みは、けっこう使えるのではないか、という気がします。