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街森研究所 RSSフィード

街や森で思うことがある。心に残ることがある。訴えたいことがある。
日本各地の樹木や自然、風景を見て回りつつ、この記録をつけている。

2008-08-25 豊島産廃問題レポート

[]豊島産廃問題は終わっていなかった

 また一つ嫌なことを知ってしまった。瀬戸内海に浮かぶ香川県の豊島(てしま)と言えば、1990年に産業廃棄物の大量不法投棄ニュースが全国を駆け巡ったことを記憶している人は多いだろう。当時中学生だった私も漠然とそのニュースを知っていたのだが、その豊島に当時の活動を保存した資料館があると聞き、立ち寄ってみた。この豊島事件は、2000年に住民、県、業者間の調停が成立し、産廃処理施設を作って順次処理することで解決したと思っていたのだが、現地で話を聞いて愕然としてしまった。

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(中央の灰色の平坦部が不法投棄現場。現在4割が処理され、防塵シートがかぶせられている)

 岡山県の宇野港から豊島行きのフェリーに乗ると、あっけないほど簡単に問題の産廃現場を見ることができる。この時、私を含む多くの訪問者は2つの感想を抱くだろう。その1、産廃投棄現場は意外と狭いこと。島全体が産廃で覆われていると想像する人も多いそうだが、実際は豊島全面積の0.5%、甲子園球場の2倍弱の広さである。その2、産廃投棄現場が驚くほどよく目立つ場所にあること。山に囲まれた場所でこっそりゴミを捨てていたのかと思いきや、海に突き出た岬で堂々とゴミは捨てられていたのだ。得体の知れぬ産業廃棄物を野焼きし、海に汚水を放ち、住民らのぜんそくを引き起こしたこの場所が、1978年から12年間もうやむやにされていたことが信じられない。

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 豊島の産廃現場は、豊島住民会議という所に申し込めば誰でも見学でき、ほぼ毎日、年間約2000人の見学者があるという。今回の見学者はたまたま私一人だったが、豊島住民会議の方が丁寧に案内してくれた。いざ産廃現場に足を踏み入れると、やはりすごいゴミの量だ。ゴミの内容はシュレッダーダスト(車の破砕片)が中心だが、詳細は不明で、ヒ素、カドミウムPCBなど、代表的な有害物質は大概検出されるという。作業員は防塵マスクをして入るというこの現場には、特有の悪臭が立ちこめ、10分も立ち話をしていると鼻の奥が痛がゆくなる感覚を覚えた。それにしても、豊島関連の産廃処理施設は、建物といいトラックといい妙にカッコいい。聞くと、このデザイン料に1000万円かけているとか。公共事業に余計なカネをかけるなという批判はあれど、負の遺産を(私のような島外者には)多少なりともプラスに見せている点では、その意図は成功しているのかも知れない。

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 そして意外だったのは、豊島住民の戦う相手は、今も昔も「香川県」であるということ。実行犯は悪徳業者であるのは間違いないが、それを見て見ぬふりして、煩わしいことをもみ消そうとし、認定・監督責任を怠った香川県が主犯格という構図である。豊島事件の摘発前、豊島住民が産廃不法投棄の被害を香川県民100万人に懸命に訴えて回っていたときも、香川県は投棄現場を「ミミズの養殖が行われている」「産廃ではないので合法」などと言い張り、豊島住民の運動を「お金欲しさの運動」などと非難さえしたという。こうした信じ難い香川県の対応に対し、豊島住民は香川県からの離脱を希望し、岡山県玉野市への編入を申し入れたこともあるというから驚きだ。

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 それだけではない。現在は産廃の後処理が遅れていることから、国からの補助金が使える期限が迫ってきたため、処理しきれなくなった産廃を豊島に置き去りにしようとする香川県の策略が見え隠れするという。・・・正直、私は豊島問題を昨日今日に詳しく知ったばかりの人間なので、問題の本質を客観的にとらえる知識はまだない。けれども、豊島島民が香川県を“敵”と見ている姿は、短い時間でも強く感じられた。住民の代表者であるはずの県、行政とは何者なのか。その根本を揺るがす問題がここでも起きていることを実感し、心が重くなった。同時に、知ったからにはこれを伝えなくてはならない。そして、豊島の辛い経験を生かさなくてはならない。

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(資料館に展示された産廃の断面はぎ取りサンプル。最大18mの深さがあったという)

みっちみっち 2008/08/30 09:12 県内にあっても小さな島のことなんて、知事だとかの偉い人には
あまり関係のない話なのですかね?
上関の原発問題にしても・・・住民にとっては大問題なのに・・・

地元の中国新聞が発行している「リクリエスタイル」という冊子で
記事を拝見しましたよ!!
毎号載ってればいいのにねぇ!

青い鳥青い鳥 2008/09/01 09:37 不覚にもこの問題をよく知りませんでした(ー_ー;)

それにしても香川県の対応は、当初上関原発に反対のような態度をとりながら、徐々に容認に変わった山口県知事と同じだと思います。結局は県の税収アップをはかるために企業を誘致する。そのためには少数住民(だけではすまないかも)の被害を無視する全体主義ですね。

もしかすると別の裏金も動いているのでは?と思うと絶対に許せません。
豊島の方達は祝島住民と同じように頑張っておられるんですね。便利な生活に流されている私達はもっと問題意識を持たなくてはいけないと思いました。

conokixconokix 2008/09/01 09:42 みっちさん、リクリエ見てくれたんですね、ありがとうございます(^^) 僕も地元のメディアで原稿書く機会ができて嬉しく思ってたところです。
小さな島のこと・・・社会の一番大きな問題を一番小さな所に押し付け、被害者を少なく見せて黙殺するのが、資本主義・大量消費社会のやり方ですね。廃棄物処理場も原発も、本来は都市のまん中に作るべきです。そのとき初めて、この問題にどう取り組むべきかを多くの人が考えるからです。「役所とゴミ処理場を同一敷地に作りなさい法」、なんて名案だと思いませんか。

conokixconokix 2008/09/01 10:05 >青い鳥さん
上関原発問題の構図とは少し異なる思いますが、行政は臭いものに触れたがらず、カネで物事を判断し、住民より我が身を大事にする点では、少なくとも共通しているでしょうね。
祝島住民の活動にも頭が下がりますが、豊島住民の行動力もすごいです。全島民が分担して県内100カ所連続説明会などを実施し、世論を動かしたそうです。

象山象山 2010/09/06 23:56 林将之様はじめまして。象山(かたやま)といいます。瀬戸内芸術祭で豊島を訪れたのですが、不覚にも産廃問題を見落としてしまいました。私のblogでこのページを紹介させていただきましたのでご報告します。

conokixconokix 2010/09/07 08:58 象山さん、リンクのご報告ありがとうございます。このレポートが活かされてとても嬉しいです。物事には陽と陰の側面があるのでしょうね。豊島や直島がアートの島として今注目されている背景には、この産廃問題や直島の三菱精錬所の問題など、負の要因が少なからず関係しているようです。島を訪れた人たちが、少しでもそのことに気づいてくれると嬉しいですね。