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街や森で思うことがある。心に残ることがある。訴えたいことがある。
日本各地の樹木や自然、風景を見て回りつつ、この記録をつけている。

2011-10-10 連載エッセイ4

[][] 木を見て自然を読む

 クヌギ、シラカシ、モチノキ……。15年前、関東の千葉大学に在学中の私が、雑木林でまず始めに覚えた木々だ。図鑑やノートを片手に、葉っぱとにらめっこしながら木を調べ、ようやく名前がわかると感激したものだ。

 主要な木は覚えたつもりで、山口県田布施町の実家に帰省したある日、裏山を歩いて驚いた。クヌギと思った木はアベマキで、シラカシはアラカシに、モチノキはクロガネモチに置き換わり、クロキやシャシャンボなど、関東では見たこともない暖地性の木が次々現れる。関東と山口では、木の種類が大きく異なるのに気がついた瞬間だった。

 同様に、北日本に行けば寒さや雪に適応した木が増え、九州に渡れば暖地性の木が倍増する。山登りをしても、沢沿いはオニグルミなど湿り気を好む木が多いが、尾根に近づくと、あるラインでリョウブやネジキといった乾燥地を好む木に入れ替わる。沢と尾根の境が明瞭にわかるのだ。

 クヌギの樹液にはカブトムシが来るように、オニグルミがあればリスがいるし、クロガネモチの実には冬鳥が集まる。木は自然の土台なので、木がわかれば、その土地の生態系や気候、歴史まで推測できる。それを楽しみに、日本各地の知らない土地に木を見に行くのが私のスタイルだ。木を見分けることは、自然を読むことである。


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西日本では普通種だが、関東ではほとんど見る機会のないアベマキ

※この文章は2011年7-8月に山口新聞「東流西流」に掲載された連載記事を一部修正したものです。