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街森研究所 RSSフィード

街や森で思うことがある。心に残ることがある。訴えたいことがある。
日本各地の樹木や自然、風景を見て回りつつ、この記録をつけている。

2011-11-11 連載エッセイ7

[][] 原発と私

 拙宅は、山口県の上関原子力発電所予定地から13kmの距離にある。窓からは、美しい上関町の島々が見渡せる。福島原発でいえば、強制避難区域の円の中だ。

 私が5歳の時、上関原発計画は浮上した。子どもながら直感的に不安を感じていたが、大学進学で関東に移り住んでからは、原発のニュースは全く耳に入らなくなった。30歳になり、山口県へのUターンを考え始めた08年、ふと思い出した。「上関はどうなった? 原発ができるならUターンしたくない」

 実際に予定地を訪れると、既に準備工事が進んでいた。原発問題の歴史を綴った本(※1※2)を読み、衝撃が走った。大都会の電力を賄うために、地方に深刻な問題が負わされている。この問題を学び、伝えねば。私は一ジャーナリストとしてこの思いを記事に書き、あるアウトドア雑誌の読者投票では1位にも選ばれた。全国の原発を取材して回り、その実態を各地で講演もした。けれども、難解な原発のリスクを広く伝えるのは難しく、様々な利害も絡む原発問題に、私は神経をすり減らした。

 原発取材から身を引いていた3月11日、福島原発事故は起き、リスクは現実となった。3カ月後、私は出張で東京を訪れたのだが、久しぶりに連絡を取った関東の知人には「上関原発が止まってよかったですね」と、ことごとく逆に励まされた。今まで原発問題にほとんど関心のなかった彼らの言葉に、私は驚いた。日本は変わっている。


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平生風力発電所より原発計画のある上関町長島方面を眺める。

※この文章は2011年7-8月に山口新聞「東流西流」に掲載された連載記事を一部修正したものです。