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街森研究所 RSSフィード

街や森で思うことがある。心に残ることがある。訴えたいことがある。
日本各地の樹木や自然、風景を見て回りつつ、この記録をつけている。

2011-11-16 連載エッセイ8

[][] 原発タブーの崩壊

 福島原発の事故以来、日本の報道が大きく変わったことがある。「原発タブー」の崩壊だ。

 2年前、私が取材していた上関原発問題を、ある週刊誌の編集部に持ち込んだ時の話。若い担当編集者は「ぜひ記事にしましょう!」と意気込んでくれたが、数日後、「ボツになりました。上司から出版社全体の広告主に悪影響があると言われました」と力なく電話してきた。これが事故前の現実で、全国規模のテレビや新聞、雑誌ほど、原発に批判的な報道はタブーだった。日本最大級の企業である電力会社(と原発関連産業)は、マスコミ最大のスポンサーでもあるからだ。

 一方で国は、原発を推進する活動には莫大な予算をつけ、批判する動きは厳しく監視してきた。「原発は絶対安全」「原発は環境にいい」と、広報や教育にも力を注ぎ、世論さえ操作しようとしてきた。しかし、その原発は爆発し、国は放射能汚染の実態を隠し続け、マスコミも原発を懐疑的に報道せざるを得なくなった。

 「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」とは、歴史学者アクトンの名言だ。残念ながら、現代の先進国家や巨大マスコミも例外ではない。インターネットは多くの真実が得られるメディアだが、全くのウソもある。今後の放射線被害を最小限にするためにも、私たちの情報を選ぶ力が問われている。


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事故前の福島第一原発(2009年8月 筆者撮影)

※この文章は2011年7-8月に山口新聞「東流西流」に掲載された連載記事を一部修正したものです。

tssune3tssune3 2011/11/17 21:04 言われるとおりです。(思いっきり善意に解釈し)NHKは人々を不安にしないように情報操作したのでしょうが、そのほとんどがウソでした。政府の下にあるNHKですから、どうしようもありませんが。情報を正しく判断する力量が問われる時代に入りました。同時に、正論を言った知人は上からの不当な扱いで、自ら退職を選びました。コマく、当たり障りがないように生きる人間が多い世の中。太っ腹で「確かにそんな考えもあるな」ですむべきでしたが、違いました。タブーが崩壊しかけていることは事実です。しかし、まだまだ「崩壊しかけている」段階です。本当に大切なことを今こそ考え実践していかないと、このピンチをチャンスに変えていかないと、……とんでもない国になってしまうと恐れる私です。

conokixconokix 2011/11/18 22:02 tssune3さんがおっしゃる通りと思います。「崩壊しかけ」ですね。国もマスコミも、真実を伝えることよりパニック回避を最優先しましたが、その狙いは成功したと言えるでしょう。NHKはスポンサーのない貴重なメディアですが、国から許可を得て行う事業である以上、一定の規制が働きますね。業界や政界にもまだまだ根強いタブーが存在すると思いますが、世間や個人レベルでは真実にきづき始めている人が多勢と感じます。辞職されたお知り合いの新聞記事、見ています。すごいなあと思いました。正論が通らない不当な世の中を変えるために、私たちは何ができるのか考えさせられます。