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街森研究所 RSSフィード

街や森で思うことがある。心に残ることがある。訴えたいことがある。
日本各地の樹木や自然、風景を見て回りつつ、この記録をつけている。

2013-09-23 熊遭遇レポート

[]至近距離でクマに遭遇する;広島・島根県境の天狗石山

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(クマ出没のシーンを実際の距離で筆者が再現)


 秋分の日の三連休。樹木取材と1歳半になった息子の初登山を兼ねて、妻と母と共に広島・島根県境の天狗石山(標高1191m)に登ることにした。出発が遅れたのと渋滞もあって、標高800mの登山口に着いたのは午後1時過ぎ。登山としてはかなり遅い時間だが、野生動物との遭遇を歓迎する僕にとって悪い時間ではない。そしてこの出発の遅れが、本当に記念すべき出会いのきっかけとなった。

 息子をベビーキャリアに乗せたり、抱っこしたり、歩かせたりしながら、ようやく標高1000m付近に着いたは14時半ごろ。明るい稜線に腰を下ろし、おはぎを食べながら休憩していた時のことだ。ブナ・ミズナラ林内にササが茂る北斜面の下方から、ガサ、ゴソ…と何かの足音がゆっくり近づいてくる。そのリズム、重量感、時間帯からして、9割方人間だろうと思った。僕より登山経験が豊富な母もそう思った。キノコ採り? コースを外れた登山者? 一体誰が出てくるのかと、4人で物音の方向を注視していたら、約7m先のササ藪から、のそっと顔を出したのは、真っ黒で艶やかな毛に覆われた獣。イノシシ⁉ カモシカ⁉ いや、ツキノワグマだ‼

 少し小さい。若い個体だろうか。緊張が走ると同時に興奮する。妻が手にしていたおはぎを狙われないかと不安がよぎるが、写真を撮りたい願望の方が強い。一人だけ立っていた僕は、顔を見合わせた妻に「そのままでいい。ゆっくり」と声を掛け、地面に置いたカメラに手を伸ばそうとする。その瞬間、クマがこちらを視線をやり我々に気づくと、驚いた様子で即座に反転し、一目散に元の茂みに戻っていった。ホッと緊張が解けるが、まだ数十m下の茂みでガサゴソしているので、こちらの存在をアピールするため、大きめの声で会話を始めた。

 いやぁ、これほど至近距離で野生のクマに遭遇したのは初めて。クマ遭遇は3度目だけど、1度目は尾瀬ヶ原で約100mの距離(写真)、2度目は山口県の羅漢山で車を運転中だったので、緊張はなかった。今回は明るい日中で、4人でおしゃべりしていたのに、熊の方から近づいてきたのは、若くて経験の少ない個体だったせいか。

 もしこっちに向かってきたら、と考えると、子どもを守ることを第一に考えるべきだったと反省したが、正直、こんなに近くで出会えてラッキーだ。写真は撮れなかったけど、はっきり見えたクマのつぶらな瞳は、優しく、あどけなさを感じた。何かと恐怖の対象として見られがちなクマだが、広島・島根・山口にまたがる西中国山地では、推定900頭前後のツキノワグマが生息するとされる一方で、多い年には200頭を越すクマが“害獣”として殺処分され、絶滅の危機に瀕している。怖いのはむしろ人間の方だ。

 ともあれ、今日は山に来てよかった♪( ´▽`) 母は約20年の登山歴で初めてのクマ遭遇。まだ数回しか山登りをしていない妻は、もちろん初めての遭遇で「死を覚悟した」らしい。息子は人生初の登山でいきなり「森のクマさん」に出会い、きょとんとしていた強運・強心臓の持ち主。将来が楽しみだ。


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(急斜面を登る筆者と息子。それを見守る母。妻撮影)


【今日見た注目種】
オオヤマレンゲ、キンキヒョウタンボク、アラゲナツハゼ、アカイタヤ、アサノハカエデ、クロマツ(植林跡?)、チャボガヤ、ツルシキミ実、ハスノハイチゴ、コバノフユイチゴ実、アカモノ、マツムシソウ花(草)、ツキノワグマ(獣)

sanposanpo 2013/10/04 03:18 眠れないままお邪魔しました。「森のくまさん」は孫の子守唄として毎日5番まで歌っていましたが、それが現実になったとは! しかもそれが“恐怖のどん底”でもなかったとは、さらに驚きです。山歩きや野生動物との出会いに慣れていらっしゃる所長さんならではのことなのでしょう! ご無事で何よりでした。オフ会ではよろしくお願いいたします。

fumfumfumfum 2013/10/04 21:28 先月の後半から体調を崩してしまい、『熊との遭遇』の劇的なブログを拝見しつつも書き込む気力がなく・・(劇的なブログの書き込みには体力知力を使わなくちゃ・・^_^;)
気候、気圧の変化についていけません。
今月に入ってやっと少し落ち着きました。
所長さんやあろちゃんは平気だったかもしれませんが「母」であるお母さま、奥さまは子供を守るという意味で必死だったと思います。
あとで「呑気なことを」としかられたんじゃないかと察していますが、いかがですか??
オフ会、参加したかったのですが、こんな体調なので断念しました。
掲示板では全くの読み逃げ犯で申し訳ないのですが、近くで開催されたら参加させていただきたいと思っていますので、sanpoさんよろしく。

sanposanpo 2013/10/05 07:27 fumfumさん、はじめまして。
体調不良でオフ会参加を断念されたとのこと、残念でしたね。
私も、こちらのブログでは読み逃げの“常習犯”です。
いつの日かご一緒する機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
朝夕は冷え込む日もありますので、どうぞお大事に。

conokixconokix 2013/10/05 12:17 sanpoさん、僕も「森のくまさん」は息子によく歌っていますが、マツムシソウの花咲く森の中で、まさか本物のクマさんに出会うとは驚きです。実際にはクマさんがトコトコ逃げて行きましたが。sanpoさんにお会いできる日を楽しみにしています。

fumfumさん、なかなか鋭い推察ですね。しかられはしませんでしたが、価値観の違いに驚いていたようです。もしクマがこちらに向かって来そうになったら、カメラなんて撮ろうとしていたらしかられたことでしょう。次回からは、ガサゴソ音がした時点で、前もってカメラを構えておこうと思いました。(反省になってない?)
オフ会はご欠席とのことで残念でしたが、またご縁がありましたら観察会でお会いしましょう(^^) お大事に。

おたみおたみ 2015/04/28 07:46 おはようございます。
初めてコメントさせていただきます。
キンキヒョウタンボクを見にこの山に行ってきました。
頂上とその下がったところに花が咲いていたのですが
素人の私の目には、友人から頂いた写真と先生の図鑑の
ダイセンヒョウタンボクにしか見えないのです。
確認した木は6本ぐらい頂上付近にありました。
私が見てきたのと先生の確認された場所は違ったいたのでしょうか。

conokixconokix 2015/04/28 10:59 コメント拝見しました。私が見た個体もそのあたり2ヵ所だったと思います。花は見ていないのですが、葉の大きさ、毛の状態が明らかに違うので、葉を確認すればダイセンヒョウタンボクと見間違うことはないと思います。もちろん、両者とも分布している可能性もありますね。疑問でしたらお写真をメールして下さい。

おたみおたみ 2015/04/28 17:04 先生
早速返信いただきありがとうございます。
画像はこの木何の木に投稿させていただきますので確認よろしくお願いします。
ところで、先生もカープファンと知り、嬉しくなりました!!
よろしくお願いします。最近負けてばかりで辛いです。
今日こそ大地君に勝たせたいです。失礼いたしました。

おたみおたみ 2015/05/01 14:00 先生こんにちは。
昨日は失礼いたしました。
今日もう一回登ってきました。
先日見たダイセンンヒョウタンボクのすぐ脇にキンキヒョウタンボクの花が咲いていました。
花の時期は1週間ほどダイセンの方が早かったのと、1週間前はキンキの葉が展開していなかったのと
初めて見る私が確認できなかったのです。お騒がせしてすみませんでした。
先生のブログのお蔭で会いたかった両方のヒョウタンボクに会えました。心から感謝します。
ありがとうございました。

conokixconokix 2015/05/01 14:29 おたみさん、両方あったのですね! 花画像を見ると明らかにダイセンヒョウタンボクだったので、おかしいなと思っていたところです。僕が訪れた時はダイセンヒョウタンボクに気づきませんでした、残念。花期の違いなど参考になりました。余談ですがまた1-0で負けちゃいましたね。カープは1点差ゲームを全部落としている気がして...こんなんじゃ優勝できません