写本で分注の文字数カウントを誤った時の処置・補足

 一昨日は寄り合いに行ったので、例のように神保町でいろいろ買い物をしまして、遅ればせながら『漢字字体史研究』も購入。

漢字字体史研究

漢字字体史研究

 御承知の通り(?)積ん読の量がハンパでなく、本書もいつ味読できるやらという感じですが、パラパラ見ていたら小助川貞次先生の御論文「敦煌漢文文献(漢籍)の性格とその漢字字体」の第1節「書写フォーマット」内の「A:割注行末の不体裁な処理」「A2:埋字処理」の箇所が目に飛び込んできました(154〜156頁)。
 このネタ、私も3月に書いたことでした。写本で分注の文字数カウントを誤った時の処置 - Cask Strength 私が紹介した『文選集注』は論文では言及されていないので、あわせてご参照ください。
 小助川氏は、

割注の左行字数が極端に少なくなってしまった場合、埋字処理が行なわれることがある。埋字処理には「ヽ」のような点を埋め込む例、文末助字の最終画を伸ばす例、文末助字を連続させる例など様々な形態がある。

(154頁)として、

  1. P.2509(『春秋経伝集解』)
  2. 唐鈔本古文尚書
  3. 高山寺本『史記』秦本紀



の例を挙げていらっしゃいます。
 図版を転載してもいいものかどうか少し悩みますが、いずれも公開・刊行されている写本なので、まあ大丈夫でしょう。


(155頁)

(156頁)
 探せば割と出てくると思います。思い出せないですけど、他の敦煌写本でも見たことありますよ。
 【追記】『文選集注』の、曹子建「贈丁儀」詩のすぐ後にも同様の例がありましたー。この間ずっと見逃していました。

(259頁。陸士衡「答賈長淵」)割注最後の「集也矣」が衍字です。