2006-11-11 ロックザ室内楽!
■[CDレビュー]Acoustic Asturias/Marching Grass on the Hill
- アーティスト: ACOUSTIC ASTURIAS
- 出版社/メーカー: avex io
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: CD
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アストゥーリアス、実に二年九ヶ月ぶりの新譜。
ガットギター+ピアノ+クラリネット+ヴァイオリンという編成からもわかる通り、鳴っている音は室内楽のそれなんだけど、やっている音は間違いなく(プログレ寄りの)ロック。熱いです。
やはり、どの楽器もメロディとリズムの両方を奏でられるというのが大きい。一応ヴァイオリンとクラリネットが主なメロディ、ギターとピアノがリズム、という大まかな担当はあるのだけれども、所々で入れ替わり一つの曲の中でめまぐるしく変わっていく旋律は、何とも言えない高揚感をもたらしてくれます。
ついさっきまでジャカジャカとリズムパートを弾いていたギターが一転、切ないメロディを奏でてみたかと思えば、先ほどまで高らかに歌っていたヴァイオリンがいつの間にか切れ味鋭いリズムを刻んでいる。
そのスリリングな展開は紛れもなくプログレのそれであり、強くロックを感じます。
次に楽曲。
『日本のマイク・オールドフィールド』と謳われる大山曜氏だけあって確かにその影響は強く感じられるものの、そこにクラシック等さまざまな要素を加え、Asturiasとしての世界観をキチッと出しています。
ここで面白いのは楽曲のセレクト。
美少女PCゲームであり、ロボットアクション(で良いのよね、一応)であるデモンベインからの楽曲があったかと思えば、同じ美少女ゲームでも柔らかなファンタジーものであるシャマナシャマナの曲があり、クラシックのメドレーなども織り込みつつ、真っ当な歌ものやアイルランド民謡、かと思えば獣神ローガスなんてものまで出てくる始末。
ここまで節操のないチョイスでありながら、アルバムとしてのまとまりはしっかりしているというのが驚き。
それはやはりAsturiasという個性が確立しているからであり、更には作・編曲している大山曜氏の音楽的な軸がぶれていないという事の証明になるのではないかと。
以前上野洋子が参加していた事や、同じマイク・オールドフィールドをルーツに持つという所からZABADAKと割合近いポジションに居るんじゃないかと個人的には思うのですが、大きく違うのはやはりクラシック的な素養の有無。
吉良氏がハードロック、そしてそれに連なるタイプのプログレを根っこに持っているのに対し、大山氏はクラシックと『歌ものじゃない』プログレをルーツに持っているというのが大きいんじゃないかと思います。
このアルバムの中でも特にヴァイオリンの旋律は非常に印象的で、強く胸に残るのですが、あくまで『泣いていない』というか、どこまで行っても気品と気高さを感じさせてくれるのが非常に良い。まさに『静かな熱気』と形容したくなるような音。
音や演奏に込めたものは非常に熱いのだけれども、どこかで越えちゃいけない一線を設定している感じ。
それが室内楽的な編成と相まって、どれだけロックな演奏をしてもどこか上品な音として聞こえてくるのはやはりこのユニットの強みでしょう。
その辺りも、メロディに土臭さと『泣きの一撃』を込めてくる吉良氏とは対照的かな、なんて思ったり。
(一応言っておきますが、僕は吉良氏も大好きですよ。どちらが良いとかではなく、どちらも良いのです)
ロックと室内楽、その狭間で絶妙の音を出しているアルバム。
僕のように普段クラシックを聴かない人間が聴いても十二分に楽しめるどころか、思わずそっち方面に手を出してしまおうかと思ってしまうくらいの作品。たぶん逆もいけるんじゃないかな。頭の固い人はともかく。
そんなわけで、この作品、ひいてはAcoustic Asturiasがしっかりと売れて、クラシックファンとロックファンの距離感を埋めてくれるのを楽しみにしています。(ほら、販売元はエイベックスですし!)
そんなわけで、大絶賛お勧め中。


アストゥーリアス、前々から気になっていたバンドだったのですが、
そちらの解説を読んでて非常にそそられました。
新作リリースを機会に、聴いてみようかなと思います。
アストゥーリアスは作品が少ない分どれも質が高いので、文句なしにお勧めできますね。
更にその中でも今作と1stは別格だと思ってます。個人的にですが。
camelletgoさんの感想も楽しみです。