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2018-01-21 有安杏果さん、おつかれさま。貴女は明日から晴れて部外者です。

[]有安杏果さん、おつかれさま。貴女は明日から晴れて部外者です。

有安杏果さま



今までももいろクローバーでいてくれてありがとう。

たくさんの幸せな時間をありがとう。

たくさんの幸せな記憶をありがとう。

貴女がくれた幸せを十分返しきれないままお別れすることになってしまってごめんなさい。

おつかれさま。

明日から貴女は晴れて部外者です。

この先どんな奇跡が起ころうと、貴女は私とももいろクローバーZにとって部外者です。気持ちを通わせる相手でもなければ、同じ夢を共有する同朋でもありません。貴女の居場所はもうここにはありません。金輪際、ありません。



だから、次に会うときは「はじめまして」です。

演者の貴女に会ったら、気に入ればファンになるかもしれません。あるいは、無関心に通り過ぎるのかもしれません。

アルバイトする貴女に仕事先で会ったら、ビジネスライクに接します。若くて可愛らしい女子バイトである貴女にデレデレしていたら、普通の人と同じように気持ち悪がってもらって結構です。

親戚の青年が婚約者として貴女を連れてきたら、・・・さすがに戸惑ってしまうかもしれませんが、まあ祝福できると思います。


そんな機会が私の人生に訪れるかは分かりませんが、ひとりの人間として、貴女が幸せな人生を送ってくれることを願います。


あんなに世間知らずなのに、1人で本当に大丈夫なんでしょうか。守ってくれる人はいるんでしょうか。世の中には悪意を持って近付いてくる人もたくさんいるというのに。芸能の世界で仕事には、特にそういう輩が多いというのに。

部外者になる貴女の人生に、願う以外に何もさせてもらえなくなることが残念です。

せめて、座り込んだ貴女が見送った4人の幸せな姿をたくさん見せられるよう、ももいろクローバーZを精一杯応援しようと思います。まずは4人で迎える東京ドームの10周年記念ライブ、微力ながら盛り上げてみせますよ。

同じ青空の下、どこかで暮らす貴女へも届くとうれしいです。最後まで心の声を絞り出してはくれなかった貴女が、ももいろクローバーZの幸福を自分のことのように喜んでくれると信じて。

2018-01-20 ももいろクローバーZ 有安杏果卒業について、いま思うこと

[]ももいろクローバーZ 有安杏果卒業について、いま思うこと


1号です。

逆境のたび強く大きく育ってきたアイドルももいろクローバーZ が私は大好きです。

ももいろクローバーZが息の長い芸能活動ができるよう、微力ながら応援しています。

ももクロ関連記事における1号は総じてキモいけどご容赦ください)



既報の通り明日、2018年1月21日にももいろクローバーZのメンバーである有安杏果さんが卒業することになりました。

ファンの皆様へ|ももいろクローバーZ 有安杏果オフィシャルブログ「ももパワー充電所」


このブログももクロについて書き始めた2011年には、彼女たちを取り上げてくれるメディアも少なく、まとめサイトのようなキュレーションをしてくれるサイトも未整備でした。

これだけ多くのメディアに取り上げてもらい、これだけ多くの人が有安杏果の卒業について様々な意見を表明するようになったことを嬉しく思います。


1号もこの一週間、仕事に身が入らず有安杏果Twitterをしていた時間が長かったです。

特に印象に残ったもの、心の整理に役立ったものを紹介します。



ひとりでドアを閉めて。ひとりで名前消して。|フモフモコラム グラマラス

推しの著名ブロガーの方です。1号もフモフモ編集長の記事を読んで満足してしまうことが多く、自分でブログを書こうという使命感が薄れてしまったくらいです。この回も名文でした。

卒業発表当日の困惑する気持ちが伝わってきたんですよね。

そう、こんな気持ちだと1号も思いました。

ただ「なぜこんないきなり発表したの?」については、事務所の慰留もあって有安本人が望む形ではなかったのだろうことが以後のインタビュー等で徐々に分かってきました。



有安杏果さん、貴方を嫌いになりました。|hisayonaraのブログ

この記事はとても話題になりましたね。

卒業発表の15日から一夜明けて、id:hisayonara さんに限らず多くのファンにとってフツフツと怒りが湧いてくるタイミングだったのだと思います。

読み返したら追記がだいぶ増えていますね。

1号も有安杏果卒業について、言葉にならないモヤッと感をこの時期感じていました。

様々なメディアに出演して卒業を決断した理由について語る彼女の晴れやかな顔、「普通の女の子の生活をしてみたい」「先のことを何も決めたくない」「もっと成長したい」といった通り一遍のコメント。これらは「ももクロらしくない」なと1号は思っていました。


15日のエントリへ付いたコメントへ返信を書きながら、1号がたどりついた考えはこうでした。


Twitterの140文字では足らないから解説記事でも書こうかと思っていたところで読んだのが id:voleurknkn さんのこの記事でした。

ももいろクローバーZ有安杏果さんの卒業と残酷さについて|生きてみた感想


私の感じていた事が、整然と詳細に書かれていて感服しました。


ももクロについてはしばしばメディアに現れる姿とそれ以外の素の場面とでまったく裏表がない、というエピソードが言及され、ファンたちもそのことを誇りに思っている。実際には、ももクロの運営はすべてをさらけ出しているわけではなく、むしろ見せる部分と見せない部分とをきわめて繊細にコントロールしている。ファンたちが見ることができるのは、ももクロという存在の「ファンタジー」を裏切らない部分だけであるはずなのだ。しかしももクロファンたちは、その「ファンタジー」をももクロの「リアル」だと感じている。ここに、ももいろクローバーZという存在の魔法があったのだ、と個人的には考えている。ファンタジーをファンタジーとして消費するのでなく、ファンタジーをリアルとして消費するということ。ももクロというのは、ファンタジーのような、でもリアルな存在なのだとみんなが信じていたこと。ここに、ももクロの唯一無二の魔法があったのだ。



このパート、読んでいて心を抉られる思いでした。

有安杏果さんがこの期に及んで辞めると言えてしまった事実は、ももクロとモノノフのアイドル史上最も幸福な関係*1に疑問符を付けてしまった。


でも、有安さんが一年以上まえから卒業を決意しており、またそれ以上前から卒業という決意にいたるような苦悩を抱いていたのだとすれば、これは残酷な状況といわざるをえない。他のメンバーも、スタッフも、ファンもみな信じ切っていたももクロという魔法を信じられなくなったまま、笑顔で活動をつづけなければならなかったこと。これは、残酷だ。ぼくがもっともショックを受けていることの一つは、ももクロには無縁だと思っていた残酷さが、ももクロのど真ん中にじつは潜んでいた、という事実かもしれない。そしてそのことを知らずに、結果としてはその残酷さに荷担しながらももクロという魔法を享受していた、という事実。


先の1号のツイート、文字数の関係で削りましたが「えっ、僕がこんなに愛しているももクロをキミは大して好きじゃなかったの!?」の後に「その、だったらなんかゴメンね・・・」という言葉が付いています。

筆者の方も、この後でももクロファンとして、ぼくたちはさらに一段成熟する必要がある」と指摘しています。


有安杏果卒業に関して、1号は二つの心配をしていました。

落ち着いて言語化すると以下のようにまとまります。


ひとつめは、「(5人で完成体だと信じていたのに)4人になってしまったももクロを自分は愛せるのだろうか?」ということ。


ふたつめは、「『ももクロとモノノフのアイドル史上最も幸福な関係』を否定して、その外側へ出てしまった有安杏果をどう遇すればよいのか?」ということ。


ひとつめはすぐに解決しました。

15日にメンバー5名全員が出演した「川上アキラの人のふんどしでひとりふんどし」で百田夏菜子さん、玉井詩織さん、佐々木彩夏さん、高城れにさんの姿を見たら「自分はこの子たちを支えていける」と素直に思えたのです。

ファンとしてもう一弾成熟する必要はあるのかもしれません。それでもこの4人を自分は愛していると思えたのです。


ふたつめは「ももいろクローバーZ 2018 OPENING〜新しい青空へ〜」を明日に控えた今になっても分かりませんでした。ライブ会場で感じた素直な気持ちを明日あらためて書こうと思います。


でも有安を責める気持ちは全く無いんですよね。

そもそも自分とももクロの貸し借り勘定を考えるとファンになった瞬間からずっと「借り過ぎ」の状態(つまり1号が恩返ししないといけない状態)なんです。有安を含むももいろクローバーから向けてもらった親愛に、感動に、相応しいものを返してあげられてない。返すためにライブへ行って応援すると、そのたび借りが増えて帰宅している。

こんなにもらいっぱなしの状態で、有安に「もっと欲しいです」となんて言えませんよね。

よくもまあ、あんなリーダーとメンバーとマネージャーに8年も付き合って付いてきてくれたよな、とも思います。

今日まで頑張ってくれてありがとう。良かれと思って応援したけれど、悲しい気持ちやつらい気持ちにさせていた部分があったら本当に申し訳ない。



2018年1月21日がやってきます。

5日じゃ間に合わないだろうと思っていたLVもAbemaTV生中継も、実現しました。

たくさんの人がももいろクローバーZのために必死で動いてくれたのでしょう。

1号がブログを書いている今この時間にも、幕張メッセでは夜を徹して設営や準備が進んでいるのでしょう。

これだけ多くの人が動いてくれるのは、ももいろクローバーZがこれまで積み重ねてきたたくさんの笑顔に対するささやかなお返しなのだと思います。

生で5人ライブを見られる幸運を噛み締めつつ、今夜はここで筆を置くことにします。

*1:1号は今もそう思っています。

2018-01-15

[]ももいろクローバーZ 有安杏果さんの卒業発表について

1号です。



かれこれ2年弱ぶりに更新するブログのタイトルが、このようなものになるとは思いませんでした。

既報の通り、本日12時に有安杏果さんが自身のブログにてももいろクローバーZからの卒業を発表しました。

ファンの皆様へ|ももいろクローバーZ 有安杏果オフィシャルブログ「ももパワー充電所」


まだ、詳しいことは分かりません。明らかにされることも無いのかもしれません。

1号自身、気持ちの整理がつかない状態でこの記事を書いています。


ブログを書きはしませんでしたが、1号は1人のモノノフとして変わらずももクロ応援をしていました。

変わったことと言えば、応援8年目にして箱推しから紫寄りの箱推しになったくらいでしょうか。

昨年末も「ゆく桃くる桃 〜第1回 ももいろ歌合戦〜」を現地で観ることができました。


2017年ももいろクローバーZは、これまでで一番“良かった”なと思っていました。

きっと2018年も過去最高を更新してくれる、そんな期待に胸を膨らませていました。


2017年ももいろクローバーZの活動は本当に充実していました。

国立競技場ワンマンライブという大きな目標を予定よりも大幅に前倒しで達成した後、しばらく迷走していた時期がありましたよね(軽井沢スキー場は流石に寒かった……)。

要するに「この子たちに、どうやって息の長い芸能生活をさせてあげられるか」の出口が見えなかったんですよね。

その時期を越えて「ゴールデンヒストリー」をリリースしたあたりから視界が拓け、うまくまわり始めたのが2017年だったように思います。

ももクロを近くで支えてくれている人たちが見つけてくれた出口戦略は、雑にまとめると地方営業という芸能界では由緒正しいビジネスモデルだったように思います。1号が真っ先にイメージするのは昭和の大スター・杉良太郎さんです。メディア露出は多くなくても知名度があって各地には熱狂的に迎えてくれるファンがいる。全国のファンを定期的に巡って慈善活動やディナーショーを行い喜んでもらう。そんな感じです。


ももいろクローバーZには、2つの大きな強みがあります。

ひとつは「直接ももクロと触れ合った人は大抵好きになってくれる」人柄。

もうひとつは「全国どこへ行っても1万人前後の人が集まる」動員力です。

2015年にKISSがジャパンツアーを行う際、パートナーにももクロを択んでくれた大きな理由の一つは「ももクロと組めば興業的に失敗するリスクは少ない」とプロモーターが推薦してくれたからだと思います。ももクロの動員力を支えてくれるモノノフ各位は、間違いなく彼女たちの支えになっています。


地方営業モデルは、ももいろクローバーZの強みにとても良く噛み合っていました。


ももいろクローバーZ ジャパンツアー「青春」が全国47都道府県を巡ったり、春の一大事を自治体とコラボする地域振興イベントに衣替えしたのも、地域振興の担い手としての実績作りだと思います。(実際、スターダストプロモーションはイベント系の展示会に出展して自治体アイドルによる地域振興を売り込んでいたりします)

ライブの前後に地元小学校や企業、施設などを積極的に慰問するようになったのも、地元で応援してくれる人を増やすための活動だと思います。カメラが回っていようと回っていなかろうと変わらない彼女たちの誠実な振る舞いは、直接会った人の心を掴んでいると思います。

↓ こんなこと言われたら好きになっちゃいますよね! ↓


ここ数年、ももクロの活動が安定するとともに離れていったファンも少なからずいました。それは1号も肌で感じましたし、そのことについてメンバーがMCで不安を口にした現場も見ています。

でも直接会ってファンになってくれた人たちは10年、20年経ってもももクロのことを好きでいてくれると思うのです。子供番組『ぐーちょきぱーてぃー』を開始したのも、下の世代から新たなファンを作ろうという意思の顕れだと1号は感じています。

刹那的なギャラの多寡ではなく、10年先20年先のももクロにとってプラスかどうかで仕事を択んでくれる運営スタッフに1号は感謝しています。

将来「僕は『ぐーちょきぱーてぃー』新規です」とか「子供の頃に頭をなでてもらったことがあります」と話すファンがライブ会場にチラホラ出てくるようになったら嬉しくて泣いちゃうな、と1号が思う由縁です。


その一方で個人活動にも各々のカラーが出てきた2017年でもありました。

「嵐のように個人でも活躍できるグループ」として各人の適正や希望に応じて成長する場を用意してくれた運営スタッフに1号は感謝しています。

件の有安杏果さんについてはソロライブ「ココロノセンリツ」を成功させて、シンガーソングライターとして大成する道もあるかもしれないな――そんな風に思っていました。有安杏果さんはaikoさんやYUKIさんのような活動がメインになって、他の4人もソロ活動の比率が増え、5人での活動が減るかもしれない。でも、年に1度くらいは全員で濃密なライブをしてもらえたら嬉しいな、そんな風に思っていました。


まさか、まさか卒業発表が先に来るとは夢にも思っていませんでした。

熱愛・結婚・産休、そんなライフイベントは幸せな人生を送る上でむしろ応援したいと思っていましたが、それはあくまで「帰ってきてくれること」を前提にしていました。


ももクロクローバーのメンバーは、もはや欠員補充できるものではありません(1号はそう思っています)。

また、役割分担の面でも5人のうち1人が欠けるダメージは計り知れません。



でも、そんな事は有安杏果さん本人の方がよっぽど分かっているはずなんです。

分かった上で、決断したのでしょう。



有安さんの心の内は、本人以外の誰にもわかりません。


ただ、更新された有安さんのブログに付記された写真は晴れ晴れとしていて幸せそうな姿が写っていますよね。

メイクも薄く、「ももかくど」*1でもない、飾らない雰囲気の写真を大事な報告用の写真として択んだことに意味があるのかな、と思いました。




ここまでとりとめもなく書き連ねましたが、また気持ちの整理がついたら続編記事を書くかもしれません。

とりあえず今日のところはココロノオトを聴きながら仕事に戻ります。


*1:彼女の自撮りは常に同じ角度・同じ構図で投稿されることから「ももかくど」といじられています。反面、彼女の容姿に関するコンプレックスの顕れでもあると1号は思っていました。

2016-03-21

[][]『無彩限のファントム・ワールド』第11話「ちびっこ晴彦くん」/誰かにとっての“大切な運命の1話”になれる話

1号です。

大分更新の間があいてしまいました。

ももクロのドームツアーは西武ドームに両日参加の予定ですが、今回はアニメのお話です。

というのも、今週オンエアされた『無彩限のファントム・ワールド』第11話がとても良い話だったからぜひ書き留めておきたくなったのです。

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無彩限のファントム・ワールド』第11話「ちびっこ晴彦くん」

脚本:吉田玲子絵コンテ演出:石原太一

<あらすじ(※公式サイトから引用)>

夜、阿頼耶識社で拾った謎のデバイスを修理していた晴彦。修理道具を探そうとクローゼットの中を漁っていると、小学生の頃に書いた作文が出てくる。こんなことを書いていたんだな……と過去を懐かしんだのち、晴彦は眠りについた。

翌朝、起きたらなんと体が小さくなっていた!?

身体も記憶も小学生になった晴彦。小学生のままホセア学院に登校するが……。

TVアニメ「無彩限のファントム・ワールド」公式サイト


無彩限のファントム・ワールド』は、『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズや『けいおん!』等で有名な京都アニメーション制作のTVアニメーションです。原作は京都アニメーション自身が運営するライトノベルレーベルkaエスマ文庫から出版されている第4回京都アニメーション大賞小説部門奨励賞受賞作です。

内容は、世の中を騒がせる妖怪変化(作中ではファントムと呼ばれています)を退治する部活に所属した主人公とヒロイン達が繰り広げる“学園異能ファンタジー”です。


まあ観てほしいのです。1号は何度も見返してます。

「主人公が不思議な力で身体と記憶が小学1年生に戻ってしまい、ヒロインの1人と母子家庭ごっこをする」と書いてしまうとこれだけの話なのですが、心の奥深くに刺さる良い話になっています。『境界の彼方』の監督でもある石原太一の演出が上手いのでしょうか*1、自然に深く感情移入できるし観終わると晴彦と舞先輩が愛おしくなります。

心の動きを台詞で直接説明してしまう箇所はそれほど多くないのにちょっとした表情や仕草、何気ないやりとりで晴彦や舞先輩の気持ちがスッと観ている自分の中に入ってくるんですよね。それがとても心地良いし言葉で言われるより遥かに感情移入できる。

また、2人が良くあるラブコメ的な関係になるわけではないのもいいですね。恋愛対象ではなく、家族に向ける愛情をメインテーマにしたストーリーなのもライトノベル原作作品としては珍しくて新鮮でした。

アニメには稀に「心の琴線に触れてしまう」話数があり、アニメファンとしての人生を踏み出すわけですが「ちびっこ晴彦くん」はその運命の一話たりえると思いました。

今回はその話を書いておきたいと思います。


アニメファンは心に「運命の1話」を持っている】

これは1号の私見ですが、Youtubeニコニコ動画をはじめとした動画共有サービスが台頭する以前のアニメファンにはアニメファンになるきっかけの1話」というものがあります。

時系列で表現すると、こんな感じです。

■なんとなくTVでアニメを観ているうちに、運命の1話に出会う

必ずきっかけはTV視聴です。

U局やBSCS専門チャンネルまで様々な選択肢のある現在のテレビと違い、一昔前にはNHKNHK教育日テレTBS・フジ・テレ朝+地元テレビ局(テレ東)の7択が最大でした。

なんとなく毎週見ていたアニメのうち、今回紹介した「ちびっこ晴彦くん」のような心の琴線に触れるような1話に出会います。そして作品やキャラクターのことを好きになります。

■もう1度観たいという願望が叶わないために苦悶する

現在放送されているTVアニメの大半はビデオパッケージとして販売されます。

しかし以前のアニメはビデオパッケージとして販売されるものは稀でした*2し、そもそもビデオデッキが多くの家庭に普及して自宅で映像パッケージを楽しむことができるようになったのは1980年代後半あたりからなんですよね。

そのため「運命の1話」をもう一度観るためには、再放送を待つか映像のパッケージ化を待つしかありませんでした。

ちなみに、1号の運命の1話は『NG騎士ラムネ&40』第34話「リトルロマンス…君の名は!?」なのですが見直すことができたのは初めて見た5年後くらいの再放送だったと記憶しています。

同作の映像がCMに使われているdアニメストアをはじめ、様々なアニメ配信サービスが揃った現在は本当に天国のような環境ですよね。

■ビデオテープにアニメを録画しまくるようになる

運命の1話を見直せない後悔に苛まれた結果「二度とこんな思いをしたくない」と考えるようになります。

そして運命の1話が来そうなアニメについては事前にビデオデッキに録画してリスクヘッジしよう……と考えた結果、多くのアニメファンは自室内に大量のビデオテープが保管されるようになります。

ちなみにビデオデッキ普及前のアニメファンには、食い入るようにテレビに見入って全てのシーンを暗記しようと努力していた……という人も一定数います。

アニメのタイトルをWebで検索すればすぐ映像を観ることができる現代の中高生アニメファンには想像もできないでしょうが、少し年配のアニメファンに聞いてみれば必ず似たような経験をしていると思います。


【「運命の1話」を持たないアニメファンの誕生】

アニメファンの映像再生メディアを手元に持っておきたいという欲求の源泉は、アニメファンになりたての時期に体験した「運命の1話を観直せなかった」トラウマなんじゃないかと1号は考えています。このトラウマは、ビデオパッケージを購入するモチベーションに繋がり、現在のアニメビジネスモデルの維持に一役買っています。

冒頭にも言及した動画共有サービスの台頭によって、この流れは断絶します。

これはアニメーション業界にとって非常に大きな意味を持っていたと思います。

節目となったのは2006年。ニコニコ動画のサービス開始年ではないでしょうか。

この時期以降に学生だった世代、具体的には1980年代後半生まれのアニメファンは程度の差はあれ「運命の1話を観直せなかった」トラウマを持っていません。なぜなら彼らにとって、アニメはWebで検索すれば無料で観られるものになったからですね。

この世代アニメファンは、映像パッケージそのものに大した価値を認めていません。そもそもアニメBlu-ray/DVDハリウッド映画のそれと較べても法外に高いですし。そのためイベントチケット封入や豪華特典によって購入を煽る傾向が年々加速しているわけです。

ニコニコ動画のサービス開始から10年、ビデオパッケージによる回収モデルは制度疲労の限界に来ています。

いま様々な試みが進んでいるのは、HuluAmazonプライムをはじめとした会員制動画配信サービスが新たなスポンサーとなるビジネスモデルです。動画配信サービス側は「人気アニメ●●が観られるのは当サービスだけ!」を売り文句にして新規会員を獲得する代わりに、制作費の相応の割合を負担する……というものですね。

今後の経過を見守りたいです。


ただ、上記のアニメファンが生まれる過程で言及した通り、きっかけは地上波TV=誰でも無料で観られて、かつチャンネル選択肢も少ないメディアに多くの子供が触れる機会があったことなんですよね。

そのような意味で、民放で放送された人気アニメの放送権を買い始めたNHKには期待したいですね。

『ラブライブ!』 『進撃の巨人』 そして 『けいおん!』――人気アニメをガンガン放送!! 中の人に聞く、NHKがさらに”はじまった”ワケ


無彩限のファントム・ワールド』もNHKで放送されれば、今回の話をきっかけにアニメを積極的に観る子供が増えるかもしれません。でも『けいおん!』みたいな人気は無いし難しいかな……



では。




↑『無彩限のファントム・ワールド』第11話「ちびっこ晴彦くん」は6巻目に収録


*1:この回は作画面でも非常に優れていましたが、私の琴線に触れたキモは演出だったので敢えて取り上げていません。

*2:映像パッケージを販売してアニメの制作費用を回収するビジネスモデルは1990年代後半に本格化したもので、それ以前のアニメは玩具の販売促進や視聴率を稼いでCMスポンサーを募る(サザエさん東芝スポンサー等が有名ですね)ことによって制作費用を回収していました。

2015-02-28

[][][]『幕が上がる』(2015年,日本)/ファン以外の鑑賞にも堪えるアイドル映画

1号です。

前に進み続けるアイドルももいろクローバーZ が私は大好きです。

ももいろクローバーZが息の長い芸能活動ができるよう、微力ながら応援しています。

ももクロ関連記事における1号は総じてキモいけどご容赦ください)

いよいよ本日、2015年2月28日にももいろクローバーZの初主演映画『幕が上がる』が封切られます。


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『幕が上がる』

監督:本広克行/脚本:喜安浩平/原作:平田オリザ

出演:ももいろクローバーZ百田夏菜子玉井詩織高城れに有安杏果佐々木彩夏)、黒木華 ほか

<あらすじ>

舞台は地方都市に建つ富士ヶ丘高校の弱小演劇部。3年生となり新部長になった高橋さおり(百田夏菜子)は元“学生演劇の女王”だという新任教師・吉岡(黒木華)との出逢いをきっかけに演劇の本当の愉しさに触れ、自分が「全力」で打ち込みたいものを見つける。富士ヶ丘高校演劇部は吉岡先生の指導のもと力を付け、全国高等学校演劇大会の全国大会出場を目指す――

映画『幕が上がる』公式サイト


監督は『踊る大捜査線』シリーズ等で有名な本広克行、脚本は『桐島、部活やめるってよ』でリアルな高校生の会話を描いた喜安浩平という布陣で、「幕が上がる 史上最大のプロモーション大作戦(※当社比)」という大規模なキャンペーンも打たれています。


1号は一足先に舞台挨拶付きの試写会で観てきました。

とても良い青春映画だと思います。


ファンじゃなくても十分に楽しめる映画です。



「弱小チームが一念発起して全国を目指す」という筋立てはスポ根青春ものの王道で、私は(かなり古い作品ですが)ちばあきおの『キャプテン』というマンガを思い出しました。

キャプテン 全15巻セット (集英社文庫―コミック版)



ちゃんとしたレビューは、あと何回か観てから書きたいと思いますが、今日なにか書かずにはいられなかったのでエントリだけ投稿します。


これまでももクロが出演した映画やドラマは良くも悪くも芝居がコントっぽくなってしまっていたのですが、クランクイン前に演劇界の第一人者でもある平田オリザに鍛えられたという彼女たちの芝居は、ちゃんとした映画女優のそれでした。


願わくば『セーラー服と機関銃』のように何年も後にふと見返されるような映画になるといいなあ。

そのためならアイドル映画成分がさらに薄まってもファンは怒らなかったんじゃないかな、と思いました。

たくさんの人に観て欲しいです。心から。





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