浦野「イアン・ハッキングの歴史的存在論」ほか

昼食後半と夕食。
最終版がどっかいった(泣)とか、で、第三草稿*を読んでいる(泣)とかいうことも含めあまり大きな声では言えない。
六月あたりの活動層**に堆積していると思われるがどうか。いやどうかと言われてもだ。

* id:contractio:20061220
** id:contractio:20070527#p4


要するにみんな 電子ファイルでくれってことだよ。(←逆ギレ



  • 「記憶の科学」(2007)
  • 社会学と記憶」(2005)
  • 「文化の概念」(2004)

これもあまり大きな声ではいえないが、だんだん話がわかってきた気がする(爆


「記憶の科学」(p.257)から。ラベリング理論と「相互作用種」についての議論はどう違うのか。について。
あるいは「人間の不確定性」について。

この不確定性は、まずは人間の経験や実践と人間科学の言説との間に生じる動的関係を名指したものであると言える。ただしこの関係の動的な性格とは、両者の関係に内在的なものであり、誤謬や虚偽といった外在的理由に由来するものではない。たとえば上記のような多重人格の典型的症例の変化にしても、診断の虚偽性やさらにはこの病じたいの虚構性を含意するものではない。そうではなくこの動的性格とは、ループ効果という、人びととそれについての言説との相互作用ゆえのものなのだ。そしてこの意味において、こうした動的性格からはある人びとの存在とその言説についての恣意性や虚構性といった論点を読み取ることはできない。
 ループ効果と従来のラベリング(および構築主義)の発想との異同が明確になるのも、この点においてである(Hacking 1999)。彼じしんによる理解に沿いながらふたたび整理しておこう。
 たとえばT. J. シェフは、精神科医などの専門家と患者との社会的過程を分析しながら、そのなかでおこなわれる精神病というラベリングこそが人びとを精神病患者の役割へと導いていく点を主張していた(Scheff 1966=1979)。こうした分析は、精神病の概念を対象としながらも、その焦点を相互行為とそのなかでの自他認識においている。また、身体上の病因を想定する医療モデルに代えて偶然的な社会的過程における社会的原因を提示していくことで、精神病にたいして反実在論的な批判をおこなうことが、分析の眼目だったといえる。
 したがってラベリング論の特徴を列挙すると、次のようになるだろう。まず分析の焦点は、既存の概念の存在を前提にしながらそれが使用される相互行為へと分析におかれている。そしてこのもとにおいて、精神病患者の産出メカニズムについての代替的な具体的仮説が提示され、これを通じて医療モデルへの反実在論的な批判が展開されていく。
 他方、ループ効果の視点はどうだろうか。
 まず分析の焦点については、具体的な相互行為的過程を含みつつも、むしろ概念そのものとその存在・変容の条件におかれている。すなわちその射程は、人間科学における概念とその出現の条件、そしてその概念が人びとの経験と実践の論理的可能性と関係づけられることでこれを変容させ、またそのことが当の概念の変容の条件となりうるという一連の過程の可能性である。したがってループ効果とは、概念変容や経験と実践の変容の論理的な可能性を指ししめす視点にすぎない。言いかえれば、概念や経験と実践などの変容の具体的道筋を描くような仮説ではないということだ(Hacking1996: 370)。それゆえ、かりに主題が精神医学上の病であったとしても、代替的仮説を提示することで病についての反実在論的な批判が展開されるわけではない。つまりこの視点は、実在論反実在論かといった論点にたいして無関心を貫いているのである。また、かりにこうした論点が問題になるとしたら具体的な場における具体的争点として、したがって叙述すべき現象の一片としてであってそのかぎりのものとなるだろう(Hacking 1995: 16, 83; 1996: 366)。
 ループ効果という視点の焦点にあるのは、人間科学の概念と人びとの経験や実践との論理的関係と、その変容である。この問題は、身体上の病因の存在の有無とまったく無関係というわけではないものの独自の水準にある。したがってこうした変容が、身体上の病因の否定に直結するわけではない。また反対に、こうした変容が、身体上の病因の発見とそこからもたらされるあらたな治療・施療法の導入を介して成し遂げられるということも十分にありうるということになる(Hacking 1997, 1999: chap. 4)。

粟村「情報利用研究における状況論の可能性」

昼食。

三田図書館・情報学会 2007年度研究大会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/mslis/am_2007.html



■まとめ
状況論が振り出した手形はエスノメソドロジー研究で支払える

品田『家事と家族の日常生活──主婦はなぜ暇にならなかったのか』

サブタイトルがいいですね。タイトル買い。 via june_t 

家事と家族の日常生活―主婦はなぜ暇にならなかったのか

家事と家族の日常生活―主婦はなぜ暇にならなかったのか

同著者。最近は「子どもにあまりかまけるな」的なのが流行ってんの?
“子育て法”革命―親の主体性をとりもどす (中公新書)

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うわー。アマゾンの「これも買え」メソッドに負けまくり〜

育児戦略の社会学―育児雑誌の変容と再生産

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(日本の)本屋で買えるマッキノンの著作と論文についてのメモ

誰か目録作ってないのかな。これで全部?>識者
けっこう訳されてますね。