涜書:ハイデガー『シェリング講義』

何もする気がしない夜のためのハイデガー


フライブルク、1936年夏講義。

シェリング講義

シェリング講義

  • 序論的究明
  • A シェリングの論文における最初の究明の解釈
    • 一 学問的な世界観全体のなかでの自由
    • 二 体系とはなにを意味するのか、また、哲学においてはなぜ体系が形成されることになるのか
    • 三 近代の体系構想の概略
    • 四 カントを超え出ていく歩み
    • 五 自由の体系は可能か
    • 六 自由の体系への問いかけが避けがたいこと
  • B シェリングの論文の「序論」の解釈
  • C シェリングの自由論の「本論」の解釈──自由論の課題は、自由の体系の基礎づけとしての悪の形而上学である

本日はAを。

  • p.48 「世界観」なる言葉への注釈。
  • p.51 次いで「体系」。
  • p.66 συστημα の三つの意味
  • p.69 summa とシステムの違い。「要するに、大全は教科書なのです」
  • p.77 交通、経済、天才、主権の内的な連関。自由に形成し知るという仕方で、その結構を備えた存在を意のままにしようとするこの意志は、人間を天才として新たに経験することによって本質的に鼓舞され、是認されるのです。
  • p.78 存在者全体という それまでキリスト教的に経験されて来た領域が、すべての存在を数学的な基礎づけ連関という形式のうちで規定して行く思考作用の法則性に従って考え直され、作り直されます。「観念ノ秩序ト連結ハ、物ノ秩序ト連結ト同一デアル。」(『エチカ』2定理7)
  • 三は ずっとカントの話。地平あるいは虚焦点としての理念。
  • 四は ドイツ観念論における「知的直観」(〜非感性的直観)と「絶対者」の意味。および それが要請される理由について。
  • 五は シェリングの謂う「神的悟性」について。Ontotheologie としての存在論

A 二

Aの準拠問題四つ。

  • (一)そもそも体系とはどういう意味でしょうか。
  • (二)哲学において体系が形成されるに至るのはどのようにしてであり、いかなる条件下においてでしょうか。
  • (三)なぜ「体系」なるものがまさにドイツ観念論の哲学において闘いの雄叫びとなり、もっとも内的な要求となるのでしょうか。
  • (四)自由の体系および体系一般の可能性に関するどんな問題点を、シェリングはその序論の一般的究明において取り出してくるのでしょうか。[p.65]

A 三

問い(二)「体系形成の可能性条件」への回答まとめ:

近代の最初の体系形成の可能性の条件は、同時に現代諸科学の成立と存続の前提にもなっています。

  • (一)知の尺度としての数学的なものの優越。
  • (二)真理に対する確実性の優位としての、こうした要求を顧慮した知の自己基礎づけ。事象に対する手続き(方法)の優位。
  • (三)「我思う」の自己確実性としての確実性の基礎づけ。
  • (四)存在の本質規定にとっての法廷としての思考。つまり ratio。
  • (五)存在の全体についての従来のキリスト教的な経験を新たな問いかけのうちに承け継ぐことと同時に起こった、知の形成におけるキリスト教的信仰の独占的支配の崩壊。知と信仰、つまり知性と信心との区別は、いまはじめておこなわれるわけではないのですが、しかし、知とそのさまざまな可能性と権利とについての自己解釈が変わるのです。
  • (六)人間的現存在のあらゆる領域における創造的な征服と支配と再編へ向けて人間が開放されること。[p.82-83]