じじぃの「科学・芸術_70_不気味の谷現象(ロボット)」

Halloween

History of Halloween - Halloween HISTORY.com
http://www.history.com/topics/halloween/history-of-halloween
石黒浩氏  〜人とロボットとの未来〜 2012年09月24日 WISDOM
ロボットが人間に近づいた一歩手前に、すごく不気味に思える地点があります。これを「不気味の谷」と言います。
人間と全然違えば不気味ではないのですが、「人間とすごく似ていて、けれどもちょっと違う」というバランスが強烈に不気味なのです。そのいい例がゾンビですが、ゾンビは人間に似ているけれども動きがロボットっぽいですよね。ですからすごく不気味ですし、人間はこのようなものに敏感なのです。人間らしいものはすべて人間らしくないとダメで、「ちょっと違う」というところに僕らは過剰に反応するのです。これが不気味の谷で、これを乗り越えるにはすべてを人間らしくする必要があるのです。
https://www.blwisdom.com/linkbusiness/linktime/future/item/2282-20.html
『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』 ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
不気味の谷 (一部抜粋しています)
だが、とりあえず、シリコンの代わりに分子トランジスタ搭載のチップを使うなどした、おそろしく高度なロボットと共存する日が来るものとしよう。われわれは、ロボットがどれだけ自分と似ていてほしいと思うだろう? 日本はかわいいペットや子どもに似たロボットを作ることで世界をリードしているが、デザイナーはロボットが人間に似すぎないように気をつけている。似すぎると人をぎょっとさせてしまうからだ。この現象は、1970年に日本の森政弘博士が初めて検討したもので、「不気味の谷」と呼ばれている。ロボットは、あまりに人間に似すぎると不気味に見えるのではないじかというわけだ(この効果は、実は1839年にダーウインが『ビーグル号航海記』[荒俣宏』薬、平凡社など]で初めて言及し、1919年にはフロイトも「不気味なもの」と題する小論で言及している)。以来、この現象は、AI研究者だけでなく、アニメーターや広告業者、人間をかたどったフィギュアを売り込む人たちも、かなり真剣に検討してきた。たとえばCNNのある記者は、CGアニメーション映画『ポーラー・エクスプレス』をこう批評した。「人間のキャラクターが実に……そう、不気味に見えた。そのせいで『ポーラー・エクスプレス』は、控えめに言っても落ち着かない気分にさせ、最悪、少しぞっとさせられる映画だ」
森によれば、ロボットが人間に似てくるほど、われわれはロボットに親しみを抱くようになるが、それもあるところまでだという。ロボットの外見が生身の人間に近づくと、その親しみが急に落ち込む――だから不気味の谷と呼ぶのだ。われわれによく似たロボットにいくつか「不気味な」特徴がある場合、嫌悪感や恐怖を生む。ロボットが100パーセント人間に見え、あなたや私と区別できなければ、われわれはまた好感を抱くようになるのである。
この現象は実用的な意義がある。たとえば、ロボットは微笑むべきだろうか? 一見したところ、そんなことは当然で、笑顔を向けて人に安らぎを与えるべきだと思える。微笑みは、温情と歓迎を示す世界共通の仕草だ。ところが、ロボットの微笑みがあまりにリアルだと、人はぞっとする(ハロウィンのマスクには、うすら笑いを浮かべた残忍そうな悪魔の顔が多い)。だからロボットは、子どもに似せている(つまり、目が大きく顔が丸い)か、完全に人間そっくりである場合に限って微笑むべきで、その中間はない(作り笑いをするとき、われわれは前頭前皮質で顔の筋肉を動かす。しかし上機嫌で微笑むときには、神経は辺縁系によってコントロールされ、作り笑いのときとはやや違う筋肉が動く。人間の脳はこのふたつの微妙な違いを見分けられ、それがわれわれの進化に役立った)。