じじぃの「科学・芸術_140_投資銀行倒産・リーマン・ショック」

リーマンショック 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jEU_k-lNj54


リーマンショックの本当の原因とは?日本への影響を簡単に解説します 2017/02/15 俺たち株の初心者
リーマンショックとは2008年9月、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで起きた、世界的な経済危機のことです。アメリカ市場のみならず世界の市場が混乱に陥り、株価が急落しました。
http://orekabu.jp/lehmanshock/
『ニューヨークからアメリカを知るための76章』 越智道雄/著 赤石書店 2012年発行
リーマン・ブラザーズの栄華と墜落 (一部抜粋しています)
リーマン・ブラザーズ(LB)ショックの期間は、(1)LB倒産だけに絞れば2008年9月8日(月)から15日のの8日間、(2)巨大保険機構AIGアメリカン国際グループ)救済から、ブッシュ政権による「不良資産救済プログラム(TARP)の議会通過までを入れれば9月12日(金)から19日(金)の8日間に起きた。だからそれぞれが「あの8日間」とも呼ばれる。オバマとマケインが大統領選で鎬(しのぎ)を削り合う真っ最中だった。ブッシュ政権の主役は、ヘンリー・ポールスン財務長官、ベン・バーナンキFRB連邦準備制度理事会)議長、ニューヨーク連邦準備銀行総裁ティム・ガイトナー(のちにオバマ政権の財務長官)の3人である。悲劇の主役は、いうまでもなくLBのCEOリチャード・S・ファルドだった。
わかりにくいのは。同年3月、危機に瀕した投資銀行ベア・スターンズ(BS)をJPモルガン・チェース(JPMC)に救済させた上記の3人組が、9月15日に一転してLBを見放し、その翌日、AIGには850億ドルを融資して同社の株79.9%を保有するかたちで救済を決定した経緯だった。
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そもそもなぜ今回の瓦解が起きたのか? 責任はレーガン政権、そしてアラン・グリンスパン(FRB議長)に帰せられる。しかし、それを語る前に瓦解の光景を瞥見しておこう。
瓦解の加速は、2008年9月8日(月)、ブッシュ政権(3人組)がファニー・メイ(連邦全国抵当協会)とフレディ・マック(連邦住宅金融抵当公社)の救済統括(総額2000億ドル)を公表したとき始まった(以降2つ併記する場合はFM&FM)。まず前者は1938年、議会が大恐慌の最中に国民の住宅保有を推進すべく国営として創設、68年に民営化された。後者は分裂したファニー・メイの半分を国営とし、その後、70年、フレディ・マック(公社)となった。いずれも銀行から住宅ローンを買い上げる機構として創設された。
この9月8日からLB倒産の9月15日までが第1の「あの8日間」である。ともかく、FM&FM救済が、9/11でWTC世界貿易センタービル)だけだったが、このときは世界の株式市場が崩壊を始めた。
FM&FMへの救済で平均株価は上げたのに、LB株は2日後には50%余と、半分に低落した。ウォールストリートでは「次はLBだ」という噂が飛び交った。抵当債券市場の危機は2007年夏に始まったが、その数ヵ月前に85ドルの最高値をつけていたLB株がこの始末だった(1998年に6ドル、2007年初頭に85ドル、08年9月15日の倒産公表当日の終値は15セント!)。
しかし、最高値をつける少なくとも1年前の2006年春、ファルドはすでに自社株5〜10%を引き受ける企業を求めて、中国、韓国、中東諸国にまで手を伸ばしていた。07年春の最高値時点で、サブプライド再建機器の初期段階が始まると、ファルドはさらに提携先探しに拍車をかけた。そして08年6月、株価が最高値から47%崩落すると、ファルドは提携先、身売り先の他に、LBを銀行持株会社化にしたり、7月には自社を商業銀行化するなど、10数種の乗り切り策を案出した。商業銀行にすれば担保権が持てるのと、連銀の規制を受け入れた分だけ守られることになる。ちなみに、LBは投資銀行で、日本だと証券会社にあたる(細部では違いがある)。
ところが、魂胆見え見えのファルドに対して、ニューヨーク連邦総裁ガイトナーががルールは変えられないと拒否した。前述のように、ガイトナーや連銀はLBに厳しかった。商業銀行化の特典は、LB倒産の1週間後、最大の投資銀行ゴールドマン・サックスと第2位のモルガン・スタンリーには認めるのである。
弱肉強食の原則は、こういう大瓦解でも生きていて、小さいものから先に倒れていく。逆に言うと、ゴールドマン・サックスばどは「倒産させるのは巨大すぎる(TBTF)」のだ。LBは、TBTFではなかったうえに、業績悪化が深刻だった。生き残った大手投資銀行ではLBが最小だったのである。LBより小さいBSはすでに2008年3月、捨て値でJPMCに買収されていたのだ(これを買収した中心人物はガイトナー)。これも、政府が介入し、JPMCに援助金を出してむりやり買収させたので、「ショットガン・マリッジ」と呼ばれた。娘を妊娠させた男に、父親が銃を突きつけて無理強いする結婚をこう呼ぶのだ。