Hatena::ブログ(Diary)

老兵は黙って去りゆくのみ

2018-04-11

じじぃの「科学・芸術_456_ニュートリノ・スーパーカミオカンデ」

06:04

Super-Kamiokande 動画 YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=HtN0dCS_grQ

ノーベル物理学賞 梶田隆章氏と小柴昌俊

【この道】連載 小柴昌俊 2009/1/7 東京新聞夕刊 より

アメリカのIMBグループは、カミオカンデのデータを基に観測結果を調べ直して、超新星ニュートリノの信号を見つけることができた。

ところがIMBの若い研究者が私の自宅に国際電話をかけてきて、「われわれがカミオカンデより先に信号を見つけた」というようなことを言う。

それで、私は電話口でその男にこう言ってやった。

「何を言っているんだ。こちらの論文の要旨がどういう経路でそっちに伝わり、その時刻で探して信号を見つけたことも、オレには全部わかっている。バカなことを言うと恥をかくぞ」。

それから30分ほどして、今度はIMBのボス格のひとりであるフレッド(フレデリック・ライネル米カルフォルニアアーバイン校教授)がグループミーティング中に電話をかけてきた。

フレッドは「バカなことを言うヤツがいて不愉快な思いをさせて悪かった。われわれの論文の最後にこういう文章をつけるから了承してくれ」と言って、IMBメンバー全員がいる前でこんな文章を読み上げた。

「われわれはモンブランの発表した時間で信号を調べたけれども信号はなかった。その後、カミオカンデの時間がわかったので調べたら信号が見つかった」。

私は「それでいいよ」と答えた。

フレッドはまともな男で、一流の科学者だ。

原子炉から出るニュートリノの観測に世界で初めて成功し、1995年にノーベル賞を受賞している。

私たちはアメリカ物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に論文を出し、89年3月9日文部省(当時)で記者会見して観測結果を公表した。

------------------

『なぜE=mc2なのか?』 ブライアン・コックス、ジェフ・フォーショー/著、柴田裕之/訳 紀伊国屋書店 2011年発行

星々のエネルギー より

それではここで宇宙の暗黒時代に逆戻りしてみよう。ビッグバンからまだ5億年とたたないころで、宇宙を満たしているものと言えば、水素とヘリウムと、わずかばかりの軽い化学元素だけ、という時代に。宇宙が膨張し、冷え続けるなか、重力の影響で原始ガスがゆっくりと凝集して勢い良く互いに接近し始める。本書を落とすと、スピードを上げながら床に向かっていく、つまり地球と接近しはじめるのとちょうど同じことだ。動きが速い水素とヘリウムとは、温度が高い水素とヘリウムということである。したがって、気体でできたそれらの大きな球体は温度も密度も上昇していく。

温度が1万度になると、電子は原子核を巡る軌道から引き離され、あとには「プラズマ」と呼ばれる、陽子と電子の気体が残る。その後も個々の電子と陽子は否応なくいっしょに内側に落下していき、崩壊は加速度的に速くなる。プラズマは崩壊の一途をたどるかのように見えるけれど、温度が1000万度に近づくと、とても重要なことが起り、救われる。何かが陽子と電子の熱い球体を、宇宙の生命と光、すなわち核エネルギーのまたとない源である恒星に変えるのだ。

個々の陽子が融合して重陽子となり、今度はその重陽子が別の陽子と融合してヘリウムとなる。その間ずっと、貴重な結合エネルギーが放出される。

このようにして、新しい恒星はもともとの質量のごく一部をゆっくりとエネルギーに変換し、エネルギー恒星の核を熱するので、恒星は重力崩壊をやめ、少なくともその後数十億年はそれ以上崩壊しないで済む。その周りを回る岩だらけの惑星が温まり、水が流れ、動物が進化し、文明が興るには十分な歳月だ。

     ・

今日、恒星の進化説を支持する証拠はたっぷりある。その目覚ましい例は、陽子が核融合プロセス中性子になるたびに生み出されるニュートリノについての研究から得られる。ニュートリノは幽霊のような素粒子で、どんなものともほとんど作用し合わないため、その大半は、生み出されるとたちまち太陽を離れてしまう。こうして太陽を飛び出すニュートリノは膨大な数にのぼり、地球上では1平方センチメートルの範囲を毎秒およそ1000億個ものニュートリノが通過している。この数は読むのは簡単だけれど、その大きさを想像すると驚かされる。目の前に自分の手を持ってきて、親指の爪を見てほしい。私たちの恒星の核から跳んできた1000億個もの素粒子が、毎秒そこを通過しているのだ。

私たちにとっては幸いなことに、ニュートリノは、自らがまるで存在していないかのように、ほぼ必ず私たちの手を、そして地球全体さえ通り過ぎていく。ただし、ごく稀にニュートリノは相互作用する。実験装置を作れば、この珍しい出来事を検出できる。日本の岐阜県飛騨市に近い茂住鉱山の奥にあるスーパーカミオカンデによる実験が、その任務を担っている。スーパーカミオカンデは直径40メートル、高さ40メートルの巨大なタンクで、5万トンもの純水をたたえ、それを取り囲むように光電子倍増管が1万本以上設置されている。これで、水中でニュートリノが電子と衝突したときに放出されるごくかすかな光を検出できる。その結果、太陽から放出されるニュートリノをこの実験で「見る」ことができ、太陽内部の融合プロセスによってニュートリノが生成されるという説に基づく予測値と、地上に届くニュートリノの数が一致することがわかる。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/cool-hira/20180411/1523394289