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老兵は黙って去りゆくのみ

2018-05-15

じじぃの「科学・芸術_487_反粒子・マイナスのエネルギー」

06:03

反物質はどこへ−素粒子実験が挑む物質優勢宇宙の謎− 市川温子 動画 Youtube

https://www.youtube.com/watch?v=p1F9-5YQ0u0

特殊相対性理論 エネルギー

反物質 ウィキペディアWikipedia)』より

反物質(antimatter)は、ある物質と比して質量とスピンが全く同じで、構成する素粒子電荷などが全く逆の性質を持つ反粒子によって組成される物質。例えば、電子はマイナスの電荷を持つが、反電子(陽電子)はプラスの電荷を持つ。中性子反中性子電荷を持たないが、中性子クォーク反中性子は反クォークから構成されている。

反物質の消滅】

反物質がどうしてわれわれの住む宇宙では殆ど存在していないのかは、長い間、物理学の大きな疑問の一つであったが、最近その疑問への回答が部分的ではあるが得られつつある。初期宇宙においての超高温のカオス状態の中で、クォークから陽子や中性子が出来、中間子が生まれ、それぞれの反粒子との衝突で光子(電磁波ガンマ線)に変換されたり再び対生成されていた頃にすべては起こったと考えられている。

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『E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか』 山田克哉/著 ブルーバックス 2018年発行

マイナスのエネルギー より

まず、特殊相対性理論において粒子のもつ相対論的エネルギーの2乗は、式(画像参照)のように表されます。ここで「p」は粒子の運動量を表します。式はプラスのエネルギーとマイナスエネルギーの2つに分かれます。

この2つの式は、2を2乗すると4になる一方、マイナス2を2乗しても4になることと同様です。

 22 = (+2)2

 22 = (-2)2

  これは、プラスのエネルギーもマイナスのエネルギーも、2乗すればともに E2(この例では22)というプラスの値になることを示しています。

すなわち、プラスのエネルギーもマイナスのエネルギーも、2乗すればどちらもプラスになるのですが、「2乗する前の粒子のもつエネルギー」については、プラスとマイナスの両方を考慮しなければならないことがわかったのです。

ディラック波動方程式はもともと、電子にあてはめて作られたものですが、特殊相対性理論の要請を満足させるためには「プラスのエネルギーをもつ電子」と「マイナスのエネルギーをもつ電子」の両方を組み込まなくてはならなくなりました。”マイナスのエネルギーをもつ電子”など前代未聞ですが、特殊相対性理論に適合させるためには、この奇妙な電子を簡単に理論から葬り去るわけにはいかなかったのです。

当時の科学者たちは、この「マイナスのエネルギーをもつ粒子」がどのような物理的意味をもつのか、そして、それをどのように取り扱えばよいのか、ということに頭を悩ませました。とうとう最後には、「マイナスのエネルギーをもつ粒子は、時間を逆行して走る」というアイデアを思いついたのです。

時間を逆行して走る? これはつまり、マイナスのエネルギーをもつ粒子は、未来→現在→過去の時間方向に運動するという発想なのですが、これに対する斬新な解釈がもたらされたことで、難題は決着を見ることになりました。

その解釈とは、「マイナスのエネルギーをもつ粒子が時間を逆行して走るとは、プラスのエネルギーをもつ反粒子が時間を順行して走るのと同じことである」というものです。つまり、「マイナスのエネルギーをもつ粒子」を「プラスのエネルギーをもつ反粒子」に置き換えたのです。

ここに、物理学史上初めて、「反粒子」が登場しました。

もちろん、解釈の仕方を変えて、時間を逆行して未来から現在にやってきたマイナスのエネルギーをもつ電子が、現在を境にして通常のプラスのエネルギーをもつ電子に変身し、そのまま未来に帰っていく、ととらえることも可能です。しかし、実際に観測されたことのない”マイナスのエネルギーをもつ電子”が時間を逆行するなんてことは、あまりにもSF的すぎますね。

反粒子を導入することで、粒子もその反粒子も、いずれもプラスのエネルギーをもち、ともに時間を順行するとシンプルに考えることができます。反粒子という卓抜したアイデアを導入することによって、マイナスのエネルギーという難物を”排除”できたのです。

理論の整合性から、粒子とその反粒子はまったく同じ質量をもちます。決定的な違いは、まったく同じ量でありながら、互いに符号が異なる電荷をもつことです。たとえば、電子はマイナス電荷を有していますが、「反電子」はプラス電荷をもっています。プラスの電荷をもつことから、反電子は「陽電子」とよばれるようになりました。

そして、人類が初めて観測に成功した反粒子は、実にこの陽電子だったのです。実験の結果、陽電子は確かにプラスのエネルギーをもち、過去→現在→未来と、ふつうの粒子と同じように時間を順行していることが明らかになりました。

こんにちでは、それが素粒子であろうと、いくつかの素粒子からなる複合粒子(たとえば陽子や中性子)であろうと、すべての粒子にはその反粒子が存在することが証明されています。

唯一の例外が「光子」です。光子は電荷をもたないため、反粒子もまた光子なのです。

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