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著作権保護期間の70年延長に反対
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2010-06-14

10周年

自分がやっている著作権関連のMLが今日10周年を迎えた。

複写と著作権メーリングリストfreeml

http://www.freeml.com/copy-and-copyrig/

ここ数年は自分も積極的に投稿しなくなってしまったので、閑散としてしまっているが、10年という一区切りを迎えることができたのは、参加していただいている方々や、サポートしていただいている方々のお陰だと思う。

この場を借りて感謝を申し上げます。

このMLを立ち上げたことで著作権に深く関わることになったし、このブログもその延長上で始めた。

そういう意味では、自分にとっては、このMLを始めたことはとても大きかった。

10年前にMLを立ち上げたきっかけは、当時の文献複写を巡る状況があった。

その年の2000年、学術著作権協会が米国CCCの管理著作物の日本での許諾窓口業務を開始した。それまで、日本国内で海外の文献のコピーの許諾を取る窓口は無かったので、国内窓口ができたこと自体は望ましいことであったのだが、日本複写権センターが国内の文献複写料金が1頁2円だったのに対し、学著協のCCC管理著作物の複写料金が1頁50円という25倍の料金であった。その料金の妥当性に加え、国内の複写許諾窓口である日本複写権センターではなく、その構成団体である学著協が許諾窓口になったことなどもあり、利用者側は非常に混乱状態にあった。

その中で、利用者側としての情報共有、意見交換をできる場を作りたいと言うことで始めたのがこのメーリングリストだった。

当初は少人数の信頼できる人達の中だけで自由に意見交換・情報交換を行う場としての側面が強かったと思うが、だんだんと参加者が増えてくるにつれ、著作権全般の動向についてのニュースを投稿するMLへと性格が移っていった。

MLの参加者が増えていったことをベースに、ネット上でのやりとりだけでなく、勉強会や講演会なども企画したり、オフ会を開催するなど、リアルでの活動も行った。

その当時のMLについては、MLの参加者に「情報の科学と技術」誌で紹介していただいたので、ご一読ください。

CiNii 論文 -  複写と著作権メーリングリスト(<特集>価値観の交差点)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004815076

その後、自分の業務が著作権とは直接関わりが無くなったことや、自分の興味が「複写」だけで無くなったこともあり、だんだんとMLでの活動が沈静化して今日まで来ている。

それでも、今でも時々投稿しているし、たまに自分だけでなく参加者の方からも投稿があったりしているので、それなりに場としての機能は維持できているのかもしれない。

このMLを通じて多くの人と知り合うことができたし、自分の今のネット上での活動も、このMLを行ってきたことがベースになっていると思う。

10周年を機に、もう一度MLを活性化したいと思う。

2010-06-04

企業内での一定範囲内での複製を適法にすべきとの意見

5月31日に開催された文化審議会著作権分科会基本問題小委員会(平成22年第3回)の配付資料が公開されていた。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 文化審議会著作権分科会基本問題小委員会(平成22年第3回)議事録

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/gijiroku.html

第10期基本問題小委員会:委員提出意見まとめ(案)(PDF形式(296KB))

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/pdf/shiryo_1.pdf

今回と前回の議事録はまだ公開されていないので、この配付資料がどのような位置づけのもので、この内容についてどれだけの議論がなされているか分からないが、平成22年第1回の配付資料や議事録に目を通した限りにおいては、基本問題小委員会の報告書のとりまとめのベースになるもののようだ。

基本問題小委員会は権利者側の委員と権利強化のスタンスの委員が多いように思うが、読んでみるとそのような意見が多く記載されていた。

しかし、目を引くような意見もあった。

それは資料の12頁の最初に記載されている、権利制限の見直しに関する次の意見。

  • 企業(等)内での業務目的の複製については、以下の要件で適法化したうえで、当該要件を超える複製については、複写権センター等による権利処理を行わなければならないこととするべき。
    • 複製を行う者が所属する同一法人かつ同一構内に、適法に複製・譲渡された複製物(市販書籍等)が存在すること。
    • 適法複製物から一部又は許容されている(小)部数を複製すること。
    • 利用目的を終了した場合、複製物を廃棄すること。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/pdf/shiryo_1.pdf

この意見を述べているのは、松田政行委員。

正直びっくりした。

松田委員からこのような意見が出てくるとは予想もしていなかった。


自分が著作権について関わるようになった最初のきっかけが、企業内での文献のコピーの問題だったが、この範囲が適法になれば、その当時抱えていた問題の大半が解決したのではないかと思う。

私は松田委員のこの意見に全面的に賛同する。

2010-05-31

権利制限の個別規定は必ずしも厳格解釈する必要は無い

いわゆる日本版フェアユースについて盛り込まれた「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」」についての意見募集が行われている。

文化庁 | 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に関する意見募集の実施について

http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2010/tyosakuken_iinkai_ikenbosyu.html

ということで、中間まとめを読んでみた。

これまでもワーキングチームの報告や昨年度の法制小委員会の審議の経過を読んでいたので、大体の流れはつかんでいたけど、やっぱり日本版フェアユースはずいぶん骨抜きにされた印象が強い。

遡って考えてみると、ワーキングチーム設置が決まった、平成21年第6回の小委員会において、資料5として「権利制限の一般規定に関する検討事項について(案)」が事務局である文化庁より出されている。この検討事項が、その後の検討の枠組みを決めてしまった。この検討事項の範囲内でしかフェアユースの議論ができなくなってしまった。それが結果として骨抜きを招いたのだと思う。

この検討事項を読んだだけでは、自分もそこまでのことを理解することができなかったのだから、今更嘆いても仕方が無いのだけど、やられた感が大きい。


とは言え、この中間まとめの中にも収穫があることにも今更ながらに気づいた。

この中間まとめは、日本版フェアユースがなくてもそれほど不都合は生じていない、ということを強調している様に私には思えるのだが、それが逆に現状の枠内でフェアユース的な考え方を追認することに繋がっているところがある。

それは個別制限規定の解釈論のところだ。

まず、問題の所在のところで次のように書かれている(PDFの6頁め。ノンブルでは4頁)。

我が国の現行著作権法は、個別権利制限規定を限定列挙する方式を採用していることから、個別権利制限規定のいずれにも該当しない著作物の利用は、たとえそれが権利者の利益を不当に害しないものであったとしても、形式的には権利侵害に該当してしまい、さらには、個別権利制限規定は厳格に解釈すべきであると一般に理解されているため、個別権利制限規定の解釈等による解決には限界があり、その結果として、著作物の円滑な利用が妨げられているとの指摘が、権利制限の一般規定の導入を求める立場からなされている。

(強調:引用者)

この問題の所在に対し、

我が国の裁判実務においては、既存の個別権利制限規定を拡大解釈することにより著作権侵害を否定した裁判例や、権利濫用など民法の一般規定を活用することにより著作権侵害を否定した裁判例、あるいは権利者の黙示的な許諾を推認することにより著作権侵害を否定した裁判例が複数存在し、

(中略)

かかる事実のみをもって個別権利制限規定が常に厳格解釈されているものと評価することは必ずしもできないと考えられる。さらには、近時の学説では、個別権利制限規定を常に厳格に解釈すべきではなく、合理的に解釈運用すべきとする見解も多いところである。

と述べている。(PDFの6-7頁、ノンブルでは4-5頁。)

この記述は、権利制限の個別規定を柔軟に解釈している裁判例もあるのだから、日本版フェアユースはそれほど必要な無いのではないか、というものではあるが、逆に、権利制限の個別規定を必ずしも厳格的に解釈すべきではない、と言う現状を追認していると見ることもできる。

つまり、法制問題小委員会は、権利制限の個別規定を必ずしも厳格に解釈する必要は無い、ということをこの部分では述べていることになっているのではないだろうか。

この記述は、もしかしたら、この中間まとめの一番重要な部分かもしれない。

このような箇所が他にも無いか、もう一度精読してみるつもりだ。

2010-05-12

日本版フェアユースの中間まとめが文化審議会著作権分科会へ

文化審議会著作権分科会の開催案内が出ている。

文化庁 | 文化審議会著作権分科会(第31回)の開催について

http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2010/chosaku_bunkakai_100512.html

1.日時:平成22年5月21日(金曜日) 14時〜16時

2.場所:旧文部省庁舎 6階 第2講堂

     (東京都千代田区霞が関3−2−2)

3.議事: 1. (1)法制問題小委員会 権利制限の一般規定に関する中間まとめについて

(予定)  2. (2)その他

法制問題小委員会で検討されていたいわゆる日本版フェアユース、権利制限の一般規定の中間まとめが報告される。

中間まとめの案は4月22日に開催された法制問題小委員会の配布資料として公開されている。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 法制問題小委員会 | (平成22年第4回)議事録

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_04/gijiyoshi.html

文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 権利制限の一般規定に関する中間まとめ(案)(PDF形式(1.25MB))

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_04/pdf/shiryo_1.pdf

中間まとめ(案)はPDFで159頁ある。

最近はなかなか時間が取れなくて法制問題小委員会の検討をフォローできていないし、この資料もまだ読んでいない。

21日も他の用事があるので、傍聴はできない。

それまでの間に、せめてこの中間まとめ(案)だけでも読んでみたいと思う。


また、「情報知識学会誌」に2009年度の法制問題小委員会の報告の概要をまとめた論文が掲載されている。こちらも合わせて読んでみたい。

時実 象一: “著作物のフェアユースまたは公正使用に関する動向”, 情報知識学会誌, Vol. 20, No. 1, pp.38-46, 2010 .

http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsik/20/1/20_38/_article/-char/ja/

2010-05-10

北朝鮮が著作権侵害を主張

Google News経由で朝鮮新報の次の記事を見つけた

〈論調〉 日本のテレビの謀略報道は著作権の侵害

http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/05/1005j0510-00001.htm

曰く

フジテレビ、日本テレビなどのテレビ局は、朝鮮のドキュメンタリー、劇映画、ドラマをはじめとする映画編集物の画面を不純な目的で加工、改作して反朝鮮謀略宣伝に盗用している。日本で露骨化している右翼テレビ局の反朝鮮謀略宣伝は、朝鮮の自主権と尊厳に対する乱暴な侵害、挑戦であると同時に、国際法に抵触する重大な著作権侵害行為である。

〈論調〉 日本のテレビの謀略報道は著作権の侵害

北朝鮮と著作権に関しては、何度か取り上げている。

北朝鮮とドラえもんとベルヌ条約と国交 - Copy & Copyright Diary

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20040623/p1

北朝鮮と著作権 - Copy & Copyright Diary

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20040812/p2

北朝鮮と著作権 - Copy & Copyright Diary

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20071214/p1

上記で書いたことではあうるけど、、北朝鮮とは国交が無いので、ベルヌ条約加盟国であっても日本国内で北朝鮮の著作物を保護する必要はない、というのが政府の見解であり、判例もあります。(知財高裁平成20年12月24日判決 平成20年(ネ)第10011号・第10012号:著作権侵害差止請求事件)

だから、朝鮮新報が「著作権侵害だ」と主張しても、日本国内では通用しないでしょう。

でも一方では、北朝鮮国内において日本の著作物の著作権が保護されなかったとしても、国交が無い以上どうしようもないということになるのではないでしょうか。

著作権判例百選 第4版

著作権判例百選 第4版