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著作権保護期間の70年延長に反対
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2012-01-23

議員立法で出版社に隣接権を付与する動き

電子書籍に絡めて、出版社が著作隣接権を求める動きがあったが、先日、文化庁の検討会では結論が出ず、継続審議となったとの報道がなされている。

出版社への電子書籍の権利付与は「継続審議」――文化庁検討会議:ニュース

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20111221/1039880/

文化庁の検討会議報告書から:出版社への著作隣接権付与は継続審議へ - 電子書籍情報が満載! eBook USER

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1201/12/news077.html

ところが、21日付けでこのような記事があった。

自公、出版業界と懇談 | ニュース | 公明党

http://www.komei.or.jp/news/detail/20120121_7107

自民党公明党が、「自炊」代行業の提訴について、出版業界から説明を受けたと言うことだ。

短い記事なので、全文を読んでいただきたいが、気になるのは次の箇所

その上で、出版社が著作権に準じる「著作隣接権」を持たないため、原告になれないことに言及、出版社が隣接権を持つ必要性を強調した。

池坊さんは、自公議員立法を検討する考えを示し「要望を真摯に受け止め、法案に盛り込めるものは盛り込みたい」と述べた。

(強調:引用者)

自公、出版業界と懇談 | ニュース | 公明党

つまり、自民党公明党が、議員立法で出版社に著作隣接権を付与することを検討する、ということだ。

議員立法といえば、違法ダウンロードへの罰則導入という動きもあるが、出版業界やコンテンツ業界は、審議をせずに力尽くで押し切る方向に舵を切っているように見える。

自民党内にて違法ダウンロードへの罰則導入の動き、ただし慎重意見もあり - P2Pとかその辺のお話@はてな

http://d.hatena.ne.jp/heatwave_p2p/20110903/p1

文化庁の検討会で継続審議を行うことが決まった直後に、審議をすっ飛ばして、議員立法で通してしまおうというスタンスには危険なものを感じる。

2011-11-17

文部科学大臣・副大臣が記者会見でTPPについて言及していた

TPPが日本の著作権法に影響を及ぼしそうだということは、福井健策先生達の活動で一般にも知られるようになってきた。

TPPで日本の著作権は米国化するのか〜保護期間延長、非親告罪化、法定損害賠償 -INTERNET Watch

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20111031_487650.html

TPP農業だけじゃない、著作権分野でも議論を――福井弁護士らが呼びかけ -INTERNET Watch

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20111109_489343.html

TPP著作権侵害が非親告罪化されたら〜同人誌コスプレを守る方法とは -INTERNET Watch

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20111115_491036.html

一方で所轄官庁である文化庁文部科学省はどのように認識しているのかが気になったので、ちょっと調べてみた。

文部科学省のサイトの大臣記者会見のページを見ていったら、11月10日の記者会見で森副大臣が、11月11日の記者会見で中川大臣が、それぞれ記者からの質問に答える形でそれぞれTPPについて言及していた。

その箇所を抜粋する。

まずは森副大臣の発言。

記者)

 副大臣、お話は変わるんですけれども、環太平洋経済連携協定TPPの交渉への参加をめぐる党の提言が出まして、慎重に判断進めていくと。これに対して、首相は今日にも交渉参加の姿勢を表明する見通しというふうに伝えられていますが、この一連の経過の中で、かなり説明不足、国民に対する説明不足であるというような指摘もあります。この一連の問題に対してのお考えと、それから、教育分野を含め、文科省の所管分野への影響についてはどのようにお考えでしょうか。

副大臣

 説明不足という御指摘でございますけれども、あらゆる可能性を考えてきちんとやはりどんなメリット、デメリットがあるのか検証しなければいけないのではないかというふうに私は思っています。

 残念ながら、私どもの方でそのことについて議論をしたわけではありません。知的財産権における著作権あるいは越境サービスにおける学校教育等、文科省に関連する分野がございます。これはどういうことに気をつけていかなければいけないのかということについて、もう少し整理が必要なのではないかなというふうにと思います。

 TPPの問題は、何か農業とほかの輸出産業というか、工業との対立のような感じにあおられている部分もあるんですけれども、私はTPPの問題というのはもっと広く大きな問題だというふうに思っていますので、やはりどんな形になるにせよ、慎重に、そして戦略的にきちんとやっていかなきゃいけない問題だというふうに思います。

森ゆうこ文部科学副大臣記者会見録(平成23年11月10日):文部科学省

そして、中川大臣の発言。

記者)

 首相TPPの関係で、昨日TPP交渉に参加するかどうかの判断を、1日遅らせて今日表明するということになりました。このことの受け止めと、それから今後、文科省の所管分野に対してどんな影響があるかということについても協議・検討を省内でどのような形で行っていくかについてお考えをお願いします。

大臣)

 党内でも非常に活発な議論があったということでありますので、総理も慎重にその辺を考えて1日ずらしたということと、今日、今、正に今ですが、予算委員会の場で改めて、これは野党も含めた形での議論というのをしていくということ。そのことによって、さらに総理としては国民の皆さんにも理解をしていただくという機会をつくっていくということだったというふうに思っています。それはそれで慎重にといいますか、大切なことであったというふうに思います。

 我が省に関してなんですが、今までに分かっている範囲での項目付けでいくと知的財産権の分野における特に著作権ということ、それからもう一つは越境サービス部分における社会サービスとしての教育というところ、この2点ぐらいが文部科学省としては対象になってくるのかなというふうに思っています。ただ、それが具体的にどういうところで議論になるかというのは、はっきりしていません。はっきりしていませんということは、項目はこういうふうに置かれているんですけれども、具体的な問題について、まだ提起がなされてきていないということだと思います。なもんですから、あらゆる形を想定して、日本としてどういうふうにそれに対応していくかということについては議論は始めております。

記者)

 大臣御自身は、このTPP交渉への参加についての賛否については、どのようにお考えでしょうか。

大臣)

 私たちの、文部科学省の分野を含めても個々に検討していくとプラスになっていく面、あるいはマイナスになっていく面、それぞれあります。それをどう理解するかということなんですが、私は一つはこうした交渉の中で出てくる問題に対して、逆に国内の制度改革に結びつけていく、そういうきっかけにもなっていくんじゃないかというふうに思うんです。TPPの議論だけじゃなくて、やはり国際化という中で私たちの分野それぞれ考えていくと、内にこもるんじゃなくて世界に展開をしていくという形になっていくと、やはり国際的な基準、あるいはスタンダードといいますかね、そんなものを作っていく、あるいはそういう、逆に言えば日本の持っているスタンダードを世界に対してアピールもしていくという機会にもなっていくと思うので、TPPが今課題にはなっていますけれども、FTAEPAの流れというのは、これはどんどん進んでいくわけですから、いつやるかと、今やるのか、それともその先の流れにするのかというその違いだけであって、今やるということであるとすれば、それが一番いいんだろうというふうに思っています。そういうふうに果敢に挑戦をしていくということが大事なんじゃないかなという意味でTPPには私は賛成なんですけれども。これは私たちの分野だけの話じゃなくて、それぞれの日本の中の分野に共通することだと思うんですけれども。

中川正春文部科学大臣記者会見録(平成23年11月11日):文部科学省

中川大臣の発言のなかで気になるのは、「逆に国内の制度改革に結びつけていく」きっかけになると述べている点と、TPP自体には「賛成」だと述べているところ。

特に制度改革について、どのように進めていくのか、それを提示していないので、正直不安である。

これからも、中川大臣の発言には注意していかないと。

2011-11-13

電子書籍のスキャン・デジタル化

またしても、とある電子書籍に、トンデモない注記を見つけてしまった。

f:id:copyright:20111113220503j:image

 また、本書のコピー、スキャン、デジタル化等の無断複製は、著作権法上での例外である私的利用を除き禁じられています。本書を代行業者等の第三者に依頼してコピー、スキャンデジタル化することは、たとえ個人や家庭内での利用であっても一切認められておりません。


(強調:引用者)

多分、紙の本に記載した注記をそのまま掲載したのだと思うけど、電子書籍が「スキャン」されたり「デジタル化」されたりされると思っているのだろうか? それを代行業者に依頼する人がいると思っているのだろうか?

しかもこの本は「電子書籍」について書かれた電子書籍なんだけど。

もうちょっと考えてから記載した方がいいんじゃないかな。

2015年の電子書籍

2015年の電子書籍

2015年の電子書籍/前原孝章/川元麻衣子/石田樹生(東洋経済新報社)|電子文庫パブリ

http://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20234%2D120093913%2D001%2D001

2011-10-24

電子書籍の「閲覧」を許諾しているという主張

とある電子書籍を読み終わったら、最後のページに次のような表示があった。

f:id:copyright:20111024220513j:image

◎本電子書籍は、購入者個人の閲覧の目的のためにのみ、ファイルの閲覧が許諾されています。私的利用の範囲をこえる行為は著作権法上、禁じられています。

この表示を見て驚いた。

閲覧」を「許諾」していると言うのだ。

しかも「購入者個人」にのみとは。

まず基本的なところから確認しよう。

著作権には「閲覧権」とかは無い。

「見る」とか「読む」とか「聴く」とかの行為には著作権は及ばない。*1

だから、「見る」「読む」「聴く」などの行為は基本的に自由なのだ。

その、基本的に自由な「見る」とか「読む」とか「聴く」とかの手前のところの、「複製」とか「上演」とか「上映」とか「公衆送信」とか「口述」とか「展示」とか「譲渡」とか「貸与」とかを一定の範囲内でコントロール出来るようにしているのが著作権だ。私はそのように理解している。

では、この電子書籍の表示は何に基づいて、「閲覧」を「許諾」しているという主張をしているのだろうか?

一つ考えられるのは「上映権」。

実は、最近、電子書籍と「上映権」の関係について気になっていた。

というのも、「上映権」は映画の著作物のみに付与されている訳では無く、言語の著作物にも美術の著作物にも付与されている。そして「上映」とは著作権法では「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写すること」と定義されている。

そのことから考えると、PCやスマートフォンタブレット端末や電子書籍端末の液晶もしくは電子ペーパーなどのディスプレイに表示することも「上映」ととらえられる可能性があるのではないかと、懸念している。

仮に電子書籍をディスプレイに表示する行為が著作権法上の「上映」に該当するとしたら、「上映権」を元に「閲覧」を許諾しているのだという主張をしてくる可能性はあるかもしれない。

しかし、仮にそうであったとしても、上記の記述は「上映権」の過剰な主張であるだろう。

というのもそもそも「上映権」が及ぶのは「公衆」*2への上映であり、「公衆」で無いもの、つまり特定少数の者に対する「上映」には「上映権」は及ばない。

また、「非営利かつ無料」の「上映」に対しては「上映権」は権利制限されている。

従って、仮に電子書籍をディスプレイに表示する行為が著作権法上の「上映」だったとしても、権利者は公衆に対する営利もしくは有料の「上映」しか許諾の対象にはならない。

つまり、上記の表記は過剰な権利主張であって、著作権法で認められた範囲を超えたものであると思う。

もう一つ考えられるのは、「契約」。

契約の中に上記の表記のような記載があるのであれば、契約に基づいて主張しているということも考えられる。

そこで調べてみた。

この表示があったのは、電子文庫パブリで購入した「原発社会からの離脱」。

原発社会からの離脱/宮台真司飯田哲也講談社)|電子文庫パブリ

http://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20062%2D120069010%2D001%2D001

あと確認してみたら、これとほぼ同時に購入し、すでに読み終わっていた次の本も同じ表示があった。

原発報道メディア武田徹講談社)|電子文庫パブリ

http://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20062%2D120069009%2D001%2D001

なので、パブリの会員規約を確認してみたが、関係ありそうな条項は次の2つぐらい。

第12条(知的財産権等の帰属)

電子書籍およびこれに付随する情報その他パブリに掲載された情報(著作物、標章、キャラクター、マーク等、すべての掲載内容)に関する知的財産権その他一切の権利は、パブリまたはパブリの掲載内容の提供者等に帰属します。

第13条(私的利用の範囲外の利用の禁止)

会員は、パブリが承認した場合(当該情報について権利を持つ第三者がいる場合には、当該第三者の承諾が条件となります)を除き、サービスを通じて入手したいかなるデータ等も、著作権法、関連諸法規、関連国際条約等で認められた私的利用の範囲を超える複製・改変、販売、出版、自動公衆送信等のための利用はできません。また、これらの行為を第三者にさせることもできません。

第14条(その他の禁止事項)

会員は、前条の他、次に掲げる行為をすることはできません。

1)パブリまたは第三者の著作権商標権等の知的財産権を侵害する行為、または侵害する恐れのある行為。

2)サービスによりアクセス可能なパブリまたは第三者の情報を改ざん、消去する行為。

3)第三者になりすましてサービスを利用する行為。

4)上記各号の他、法令および本会員規約に違反する行為、サービスの運営を妨害する行為、パブリの信用を毀損しもしくはパブリの財産を侵害する行為、または第三者もしくはパブリに不利益を与える行為、不正な手段でアクセスをする行為。

電子文庫パブリ

これらの条項は、基本的には著作権をベースにしたものなので、これを元に前述のような主張をするのは、やはり、過剰な権利主張であると言わざるを得ない。


なお、パブリで自分が購入したほかの電子書籍も確認してみたが、この表示があったのは、講談社刊のこの2点だけだった。

ほかの電子書籍サイト(hontoReader Storeパピレス、eBook Japanなど)で購入した電子書籍も少し確認してみたが、自分が見た範囲ではこの表示はなかった。

講談社刊では、G2を何巻かボイジャーストアで購入しているが、それにもこの表示は無かった。

現状では「閲覧」を「許諾」しているというような電子書籍はまだまだ少数かもしれないが、このような過剰な権利主張を行うことは、電子書籍の普及には決してプラスにならない、むしろマイナスにしかならないと私は思う。

電子書籍を普及させるには、何よりもユーザーの利便性を高めることしか無いだろう。

使いやすい端末・ソフトを提供することと、そして何より、電子書籍で提供するタイトル数を圧倒的に増やすこと。*3その2つしか無い。

まずは、過剰な権利主張など考えずに、それに注力してもらいたい。

*1:そのようなところに権利を及ぶようにすべきだという意見の人も一部にはいるようだが。

*2:不特定もしくは特定多数

*3:当面の目標は10万タイトルだろう

2011-07-06

同じタイトルで異なる価格

また、電子書籍は再版制度の対象外だから、同じタイトルであっても違う価格で販売されていても何ら問題は無い。

でも、チャント調べてきたわけでは無いが、自分の印象では複数の電子書籍販売サイトで発売されている電子書籍は同じ価格である場合がほとんどだったと思う。

ところが、今同じタイトルの電子書籍が二つの電子書籍販売サイトで違う値段で販売されているのを見つけた。それは萩野正昭氏の「電子書籍奮戦記」という本の電子書籍版。

紙の本の情報は下記をご覧ください。

電子書籍奮戦記

電子書籍奮戦記

日本の電子書籍パイオニアとも言うべき、ボイジャー社の社長萩野正昭氏の著書。

この本は自分の確認した範囲内では、ボイジャーストアhonto電子書籍版が発売されている。*1

電子書籍奮戦記 [萩野正昭] - 660円 : 【Voyager Store】電子書籍ショッピングモール

http://voyager-store.com/index.php?main_page=product_info&products_id=11158

honto | 電子書籍奮戦記:萩野正昭

https://hon-to.jp/asp/ShowSeriesDetail.do?seriesId=B-MBJ-20007-120041563-001-001

両方とも通常価格は税込みで1,092円なのだが、ボイジャーストアでは、7月1日から12日の正午まで特別価格の660円で販売されている。

ボイジャーストアで特別価格が適用されているのは、著者の萩野氏がボイジャー社の社長であるから実現したのかもしれないので、特殊なケースかもしれない。

それでも、それが実際に行われているのを目の当たりにすると、感慨深い。

なお、注意したいのは、電子書籍販売サイトが異なれば利用条件、例えば再ダウンロード可能な期間や対応機種、複数の端末での利用の可否など、が異なることもある。

今回のケースでは、PCでの利用はボイジャーストアはダウンロードでは無くストリーミングであるが無期限である一方、hontoでのPCではダウンロードであるが端末認証が必須であるし、iPadやiPhoeでの利用はボイジャーストアは複数端末での利用が可能で端末登録も不要、再ダウンロードは無期限であるが、hontoではiPadiPhoneのそれぞれ1台ずつ端末登録されている端末での利用に制限されており、再ダウンロードも1年以内であるが、ボイジャーストアで対応していないアンドロイドスマートフォンでも利用ができる。

これだけ利用条件が違うのだから、電子書籍の場合、販売サイトごとに価格が違うのはむしろ当然なのかもしれない。

今回のケースでは、特別価格の期間が終了すれば価格は同じになるのだが、利用条件が違うのであれば違う価格で販売されても良いと思う。

*1ボイジャーストアとhontoでは表紙のイメージ画像が異なるし、ボイジャーストアの方では電子書籍版で加筆がなされていることが明記されているが、hontoではその旨の記述が無いので、本当にこの2つの電子書籍が同一のものかは不明である。