分配されない著作権料

ITmedia ライフスタイル:私的録音・録画補償金制度では誰も幸せになれない
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0505/16/news020.html

ITmedia小寺信良氏のコラムがいい。
私的録音・録画補償金制度の問題点を誰にでも分かり易く解説している。
特に、補償金を

分配するだけで赤字になってしてしまう

との、私的録音補償金管理協会の発言を紹介し、その状況に対する疑問点の提示などは、とても興味深い。
これを読むと、何のための補償金制度なのか、疑問を感じざるを得ない。

しかし、私的録音・録画補償金の他にも、実際に利用者が支払った著作権使用料が分配されていないケースは他にもある。
文献のコピーについての著作権管理事業を行っている日本複写権センター(JRRC)がそうだ。
平成15年度収支計算書によると、約1億6千万の複写使用料を徴収し、約1億2千万円を分配している。
分配先は、著作権団体連合、学術著作権協会、出版者著作権協議会、新聞著作権協議会の4団体。
この4団体には、JRRCは複写使用料を分配しているが、その先が問題だ。
新聞著作権協会についてはわからないが、学著協は学協会に対して複写使用料を分配しているのは確かだ。私がとある学会の事務局長をしている時に、分配を受けたことがあるので、それは間違いない。
著団連と出著協については、個々の著作権者には分配していない、という話を聞いたことがある。著団連の関係者と出版社の人から直接聞いた話なので、まず間違いは無いだろう。
学著協の場合は、著作権者が個々の著者ではなく学協会に著作権を譲渡しているケースしか取り扱っていないので、分配先が数百と限られている。そのため、複写使用料を分配できるが、著団連の場合は、個々の著作者が著作権者であり、著作権者の数が非常に多いため、それこそ振り込み料で消えてしまうらしい。
こういった状況を考えると、何のために複写使用料を徴収しているのか、疑問に感じる。*1

書籍の貸与権につても、貸与権管理センターが設立されているが、個々の著作権者にきちんと分配されるのか、管理センターの手数料は妥当なものになるのか、まだまだ見えてこない。

著作権使用料を集めても、個々の著作権者にきちんと分配されなければ意味はない。
管理事業者などについても、きちんと監視の目を光らせていく必要があるだろう。

*1:JRRCの場合は、複写使用料が2円/1頁と、非常に安価に押さえられていることが、この状況を生み出している面もあるが。

ブックポータルのサービス中止

TRCが提供しているブックポータルが8月半ばをめどに中止されるそうです。

「ブック・ポータル」サービス中止のお知らせ
http://www.trc.co.jp/trc-japa/pr/data/0183.htm

4月から仕事が変わったので、最近は余り利用していませんでしたが、3月まではほとんど毎日のように利用していました。
なじみのサービスが中止されるのは残念です。