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著作権保護期間の70年延長に反対
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2009-04-20

基本問題小委員会傍聴記

本日開催された文化審議開著作権分科会基本問題小委員会を傍聴してきました。

先のエントリーでも書きましたが、委員の構成が権利者側に偏っていると危惧しているので、どのような方向性が打ち出されるか気になって、傍聴してきました。


最初に主査の選出があったけど、その部分は非公開で行われた。

公開になって会場に入出した。

主査には野村豊弘委員(学校法人学習院常務理事・学習院大学教授)が就任されたようだ。


配付資料を見て驚いたのだけど、17名の委員のうち、出席した委員は10名。*1

出席した委員は次の10名。*2

いではく委員(作詞家、社団法人音楽著作権協会理事)

川村真紀子委員(主婦連合会常任委員)

佐々木正峰委員(独立行政法人国立科学博物館長)

瀬尾太一委員(有限責任中間法人日本写真著作権協会常務理事)

玉川寿夫委員(社団法人日本民間放送連盟専務理事)

中村伊知哉委員(慶應義塾大学教授)

野村佐和子委員(株式会社イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長)

野村豊弘委員(学校法人学習院常務理事・学習院大学教授)

三田誠広委員(作家、社団法人日本文藝家協会副理事長)

宮川美津子委員(弁護士


公開になってからは、小委員会は、配布資料の説明、各委員からこの委員会における今後の検討課題についての意見を順に発言、自由討議、という形で行われた。

配付資料では、文化審議会著作権分科会でのこれまでの検討課題と審議状況、知的財産推進計画で揚げられた事項とその審議状況についての資料の説明があったが、これは基本問題小委員会での検討項目というわけではなかった。

この委員会では何が議論されるのだろうかと思いながら、各委員の発言を聞いた。

出席した主査も含めた10名委員と、欠席した委員で書面で意見を出した石坂敬一委員(社団法人日本レコード協会会長)、大林丈史委員(社団法人日本芸能実演家団体協議会専務理事)、苗村憲司委員(慶應義塾大学教授)、松田政行委員(弁護士中央大学法科大学院客員教授)の意見が紹介された。

正直なところ各委員が勝手なことを言っているだけという印象を受けた。

ほとんどの委員が権利者側の立場から、権利保護を重視すべきだというスタンスで、私的録音録画補償金の話や著作権保護期間の話をしていたし、日本版フェアユースについては慎重であるべきだと話していた。

Google Book Searchについても、批判的な意見が出された。

自由討議の場面で、いで委員から文化庁に対して、「この委員会は何を求められているのか、私的録音録画補償金や延長問題といったここの問題を検討するのか、それよりももっと大きなことをやるのか、文化庁はそれを明確にして欲しい。個別の問題を検討しないのであれば、評論家に出てもらった方がいい。」という質問がなされた。

それに対して文化庁の山下課長は、「事務局としては議論の進め方も含めて、委員の皆さんの意見を伺った上で判断したい。今年度中に結論を出さなければならないということは今は無い。補償金も延長問題も大事だが、フェアユースについては法制問題小委員会で検討を行う。今後の進め方も、今日頂いた意見を元に判断したい」と、訳の分からない説明がなされた。


正直言って、傍聴した私には、この基本問題小委員会文化庁が何をしようとしているのかが分からなかった。

各委員は各自勝手なことを述べているし、文化庁は検討の道筋を示さない。さらに次回の日程すら明らかにしなかった。

欠席の委員も多い。配付された資料は、これまでの著作権分科会の資料を流用したものだけ。

本当に、文化庁はこの基本問題小委員会に何を求めているのか。

いで委員の疑問も当然だ。


今日の委員会を踏まえて、次回ではちゃんとした方向性が提示されるのだろうか?

正直よく分からないし、できないのではとも思う。

このまま毎回各委員が好き勝手に話すだけで回を重ねるのではないかと不安に思う。


しかし、明確になった点もある。

それは、この小委員会の委員の大半が権利保護強化の方向性で考えていることだ。

補償金問題、延長問題も権利者側のスタンスからの発言がほとんどだったし、フェアユースも慎重論が大勢を占めた。

個々の利害を超えた議論をすべきとの発言もあったが、ほとんどの委員はポジショントークをしていたように思う。

その中で、ユーザー側の意見を述べたのが主婦連の河村委員だけだったというのが、この小委員会の性格を示しているように思う。

河村委員もがんばっていたが、大半が権利者側からの発言では、一人では何ともしがたいという状況だった。


そういう意味では、この小委員会の議論が空転し続けても、最後には文化庁が権利強化の方針を提示すれば、それがそのまま通ってしまうのではないかという危惧がある。

毎回傍聴できる訳では無いが、小委員会の動きをできる限り注意していきたいと思う。

各委員の発言・意見

委員会の場での各委員の主な発言と、欠席委員から書面で提示された意見をまとめてみた。

会場で取ったメモと、自分の記憶に基づいてまとめているので、正確性は保障しないし、自分の主観を元にまとめているので、その点は考慮に入れて読んで頂きたい。


いではく委員

これまでの議論を議事録で読ませてもらったが、人のものを取ってはいけないという基本を押さえた議論がなされていない。

隣の河村委員の発言だが、車でCDを聞くのにもう1枚CDを買うのは当たり前。

保護期間延長も同じで、利用する側が決めることではない。

あくまで作った側の意見で決めるべきだ。


河村真紀子委員

この委員会で議論すべき事項についてはまとめてきたが、その前にいで委員の誤解を解かねばならない。

私の発言は、私的録音が禁止されれば車でCDを聞くのにもう一枚買うとあなたたちはお考えですか、と問うたもの。

そうじゃなくてCDを車に持って行って聞きますよ、だから自分で聞くための録音が行われても、権利者には何ら損失を与えないのですよ、という意味での発言だ。

消費者はお金を払ってCDを買っている。それにもかかわらず、消費者はリスペクトしてないという権利者の発言がなされるので、私たちは傷ついている。消費者のほとんどは文化を大事に思っている。


佐々木隆一委員

これまでは個別具体的な問題についての議論をしてきたように思うが、それでは問題が出てくる毎にまた議論をしなければならない。権利保護・権利制限についてのトータルな議論をすべきではないか。


瀬尾太一委員

法改正のためだけの議論をするだけで良いのか。

文化行政への提言のような議論をしたい。

例えば、コンテンツ流通促進が言われているが、量を増やすだけならアマチュアの作品を大量に流せばいい。それが本当にいいことなのか。

量だけじゃなく質も必要だ。質と量とを高めることで、日本の文化を高めなければならない。そういう議論をしたい。

また、著作権法ができた時点に立ち返ると、そのときにスキャナだとかiPodだとかがあることを想定していたのだろうか。そうではないはずだ。当時想定してなかった状況になっているのだから、想定していなかった当時のことを前提に議論すべきではない。

権利制限の一般条項(フェアユース)も、著作物の流通促進のために導入すべきだという議論は危険だ。アメリカとは裁判の在り方が違うし、非親告罪化の問題と同様に根本的に問われるべきだ。


玉川寿夫委員

放送番組のネット配信については、放送局が囲い込んでるという誤解があったが、NHKのネット配信が始まったのでその誤解は解消できたと思う。

ネット法のような議論もなされているが、当事者間で解決すべき問題だ。法が介入すべきではない。ネットだけを特別扱いするのは不公正だ。

最近の著作権の議論は利用する側に偏っている。保護と利用のバランスが大事だがそれが崩れている。その象徴が私的録音録画補償金だ。

技術の発展によって利用者は利益を享受している。それを権利者にも還元するのが補償金の本来の目的。補償金の本質を踏まえた議論をして欲しい。

著作権の問題は他の省庁が口出しする問題ではないので、文化庁が主体的に取り組むべきだ。

権利の保護を主に置いて建設的な議論をして欲しい。


中村伊知哉委員

議論の優先順位、方向性、政策手段の3つの観点が大事だ。

優先順位と言うことでは、今はアナログからデジタルという100年に1度、いや500年に1度の動きがある。その動きの中で優先順位を考える必要がある。

議論の方向性では、産業政策という観点ではなく、長期の文化政策という観点で議論をすべきだ。

政策手段という点では、法改正も1つの手段に過ぎない。民間の努力で解決できる問題もあるので、それも踏まえた議論をすべきだ。


野原佐和子委員

昨年の過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会では、外部の人の意見を聞く機会があった。ネット事業をしている人の意見に権利者が賛同をするような場面もあった。そのようなこともこの委員会でやって欲しい。

補償金の問題や保護期間の延長も大事だが、列挙された問題を議論するのではなく、幅広く基本的な議論をしたい。

その際には、基本的な概念の共通認識を持って議論したい。


三田誠広委員

Googleによって日本の出版界は大混乱している。Googleがやっていることはヤクザ海賊版DVDを大量に作って販売しているようなものだ。*3

しかしアメリカ著作権法ではフェアユースということだという。

ヨーロッパでもこれが問題視されていて、フェアユースはアンフェアなものだというのが世界の共通認識である。

その中で日本版フェアユースを導入しようというのは、世界の潮流を見ていない。

日本でも国会図書館が同じことができるようにしようという法改正が国会に出されているが、国会図書館の中で海賊版を作らせるようなものだ。

日本版フェアユースが導入されると、国が、お上がやることは何でもOKとされてしまう。フェアユースというのはそれだけ危険なものだ。

しかし、フェアユースを求める声があるのも事実だ。

そのために我々は利用しやすい環境を作るために努力している。先日報道された著作隣接権の許諾窓口一本化もその一つだし、権利者情報のポータルサイトも作っている。

それでもカバーできないところは、裁定制度の簡略化で対応できる。

それらが実現できれば、保護期間の延長のハードルはクリアできるだろう。

ここは有識者の場なので、個別の利害を超えた議論をしたい。フェアユースで儲かるのは弁護士だ。そういう利害を超えて、一人の有識者として発言することが大事だ。


宮川委員

これまでは名前や立場を知れば、どのような発言をするのがわかってしまうことが多かったが、この委員会ではそれを超えられると思う。

これまでの決まった言葉、ステレオタイプの考え方から離れて、議論をしたい。


また、欠席委員からの意見を事務局が代読した。


石坂敬一委員

私的録音録画補償金、延長問題については、この小委員会で議論し、今年度中に結論を出したい。

フェアユースについては慎重にすべきだ。


大林丈史委員

私的録音録画補償金について、文化論的文明論的に大本に立ち返って議論をしたい。

保護期間の延長については、保護期間鎖国をすべきではない。

また、戦時加算の撤廃も行いたい。

なお、委員が欠席するときに、事前の申し出によって代理出席(オブザーバー)を認めて欲しい。


苗村憲司委員

著作者対利用者の対立を前提とする議論はすべきではない。

技術進化・国際状況の変化を前提に、その本質をみて議論を行いたい。

その際には、法学だけでなく、学際的見地からの議論を行うべきだ。


松田委員

ネットワーク流通の促進について、民間の提言を元に審議をすべき。

Googleの問題については、委員会が審議すべき問題ではないと思うが、Google一社に集中するのは危険だ。日本の文化をどうすべきかという観点から取り組む必要がある。



以上が各委員の意見。

基本問題小委員会の記事

見つけ次第、ここに追記していきます。

著作権制度の抜本見直しへ、「基本問題小委員会」の初回会合が開催――文化審:ニュース

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090420/1014448/

ネット時代の著作権、利害離れて議論を 「基本問題小委員会」スタート - ITmedia News

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0904/20/news102.html

「新たな視点から既存の問題に展望を」,文化庁の基本問題小委員会が第1回会合:ITpro

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090420/328813/

権利者軽視では結論出ない? 著作権制度「大所」からの議論開始

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/20/23214.html

*1:後で書面で意見を出した委員の意見が紹介されたが、書面で意見を出したのが4名。3名は欠席し意見を出さなかった。

*2:肩書きは配付資料による。

*3三田委員の発言を正確に再現はしていないが、「ヤクザ」と「海賊版」の言葉を三田氏が発したことは、確かである

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