ブルーレイ課金、文化庁と経産省合意?

延期されていた私的録音録画補償金のブルーレイ課金が決まるようだ。

asahi.com朝日新聞社):ブルーレイも補償金課金へ 文化庁経産省と合意 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY200904240332.html

文化庁、5月22日からブルーレイに課金 著作権料を上乗せ デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=AS1G2402X%2024042009

昨年の6月に文科省経産省の間で合意がされたということだったが、もつれにもつれて、既に合意から10ヶ月が過ぎている。
パブコメを行った政令案も、当初の予定通りに施行できずにいた。
それがようやく動き出すらしい。


ただ、この2つの記事の報じている内容が少し違っている点が気になる。
asahi.comの記事では

反対してきた機器メーカーを所管する経済産業省との事前協議で合意を得たことで、来月中旬の閣議政令の改正案を提出できることになった。料率は1%前後となる見通しだ。

http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY200904240332.html

とし、

制度の従来の運用からいえば、DVDなどへの料率と同じ1%がブルーレイにも適用されるのが一般的だ。ただ、メーカー側の要求で料率が下がる可能性は残っている。

http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY200904240332.html

と報じていて、料率について変動の可能性があることを述べている。


一方でNIKKEI NET(IT-PLUS)の記事では

文化庁は22日までに公表する施行通知で、デジタル放送についてはメーカーが補償金の回収に協力しないおそれがあると明記する。メーカー側は事実上、製品価格に補償金を上乗せしない可能性が高く、今後、権利者側はメーカーを提訴する可能性が残った。

テクノロジー : 日経電子版

と報じている。
文化庁政令の施行通知でメーカーを名指しで批判するとのこと。


正直、信じがたい。
このようなことって、本当にできるのだろうか?


asahi.comの記事だと経産省との合意を得ているとのことだが、このことも含めた上で合意しているのだろうか。
しかし、NIKKEI NETの記事では、経産省の合意を得たとは記されていない。経産省の合意無しに進めようとしているのかもしれない。


このように2つの記事が報じている内容は、ブルーレイ課金を盛り込んだ政令を施行するという点は共通しているが、それ以外の部分はだいぶ違うように思う。
今後どうなっていくのか、引き続き注目していくつもりだ。

日本版フェアユースを審議する法制問題小委員会が始まる

文化審議開著作権分科会法制問題小委員会の開催案内が出ている。

文化庁 | 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第1回)の開催について
http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2009/chosaku_hosei_090424.html

議事としてあがっているのは

(1) 法制問題小委員会主査の選任等について
(2) 法制問題小委員会審議予定について
(3) 権利制限の一般規定について
(4) その他

http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2009/chosaku_hosei_090424.html

(3)の「権利制限の一般規定について」は日本版フェアユースのことだろう。
ついに日本版フェアユースについての審議が始まるのだ。


気になる委員は次の方たち。

山善充  明治大学法科大学院教授(院長)
上野達弘  立教大学准教授
大渕哲也  東京大学大学院法学政治学研究科教授
小泉直樹  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
清水節   東京地方裁判所部総括判事
末吉亙   弁護士
多賀谷一照 千葉大学法経学部総合政策学科教授
茶園成樹  大阪大学大学院高等司法研究科教授
筒井健夫  法務省民事局参事官
道垣内正人 早稲田大学大学院法務研究科教授,弁護士
土肥一史  一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
中山信弘  明治大学教授・東京大学名誉教授・弁護士
前田陽一  立教大学大学院法務研究科教授
松田政行  弁護士,中央大学教授
村上政博  一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
森田宏樹  東京大学大学院法学政治学研究科教授
森本宏   法務省刑事局参事官
山本隆司  東京大学大学院法学政治学研究科教授

前期の委員は、苗村憲司委員を除いて全員留任。*1
新任は、上野達弘委員、小泉直樹委員、多賀谷一照委員、筒井健夫委員、森本宏委員の5名。
注目すべきは法務省民事局参事官の筒井氏と法務省刑事局参事官の森本氏の2名が加わっていること。
法務省の民事局と刑事局の両方の参事官が加わった委員で出された結論というのは、相当に重要なものになるだろう。
この法制問題小委員会の審議の行方に注目したい。

*1:苗村委員は基本問題小委員会の委員になっている