ロボットは好きか?

みなさんロボットは好きですか?
私は、『超好き』です。
私の構成要素はヒーローと忍者とロボットです。
ヒーローになることは性格的に不可能なのですでに諦めていますが、忍者とロボットになることは今でも諦めていません。30手前の人間の思考とは思えません。
そんな訳で今日は秋口ぎぐるグループSNE製作のロボットRPGエムブリオマシンRPG』を取り上げてみたいと思います。



1.今更、エムブリオマシンって...
エムブリオマシンRPGは、2007年にグループSNEにより製作され、ジャイブより発刊されたTRPGっぽいゲームです。TRPGっぽいと勝手に言っている理由は後述します。
中世ヨーロッパ風の異世界を舞台としており、俗に言うファンタジー的なヤツです。しかし、魔法に類する超常の技はありません。
この世界の各地には前時代の遺跡が数多く点在しており、そこから様々なロストテクノロジー品が出土されています。その中の1つにエムブリオマシン(以下、EM)と呼ばれるロボット兵器も含まれます。
EMは全高4〜6メートル、重量4〜6トンの(基本的に)1人乗りのロボットでして、謎の超合金Xによって造られています。ですので、PCたちが活躍する舞台における技術レベル武器では傷つけることはかないません。つまり、EMに対抗できる兵器はEMしかないということですね。
PCたちの活躍する世界*1には、複数の国家が乱立し、鋭意戦乱中です。
PCたちはこうした世界の中で、傭兵として世界へ介入します。*2


ここまで解説してピンときた方もいるでしょう。
そうです。ワースブレイドですね。
強弁すればワースブレイドから練法とか奇跡を省いたらエムブリオマシンRPGになります。*3
また、並行してモノトンを読んでいたので、エムブリオマシンRPGの世界設定のガサさが目にあまります。邪気眼設定のゲームを見ると、「頭のいい中学生ならできそうだな」と揶揄したりしますが、このゲームにはそんな評価すら出来ません。あれならば世界設定がない方がまだマシだったと言わざる得ません。
まぁ、逆説的には余白を多めにとったとも考えられます。
「君たちだけの世界を展開しちゃいなYO!」とも取れるので、ここでは強弁を控えましょう。



2.RPGなのか?
このゲーム不思議なゲームです。
まずRPGと題している割にRPG的ルールはありません。
ルールブックのほとんどは戦闘ルール*4に割かれており、RPGっぽい部分は2、3ページ程度しかありません。
パイロットなど飾りに過ぎないのです。エライ人にはそれがわからんのです。
とでも言いたげですが、事実そういうゲームです。
サプリメント類もほとんどが追加データと新しい“ボードゲーム”ですし。
まぁ、私も敬愛する友人に「システムに必要のないルールは作るだけ無駄である」という金言を頂いたことがあるので、悪いと思いませんし、ある程度の熟達したプレイヤー*5であれば、ルールなどファイティングファンタジーで十分なわけですし。無論、そんなプレイヤーは多くありませんが。*6
ともあれ、このゲームにおけるRPG部分はおまけです。
ファンディスクレベルです。サルでも思いつきます。



3.プロッティング戦闘
このルールがシステムにおいて最大の肝であり、これがなければなんの意味もありません。
これがなければエムブリオマシンなどやらず阿修羅ファンタジーをやっていたほうがまだ生産的であると言えます。
どのようなルールかといいますと、戦闘ではプロッティングフェイズなる時間があり、各プレイヤーは専用のシートに自らの行動を相談なしに記入する必要があります。
全員がシートに記入した後、シートを開示して行動を処理していくというものです。
つまり、状況に合わせてイニシアティブ通りに行動していくスタイルとは異なり、相手あるいは仲間の行動を予想しつつ、自らの行動を決定する必要があるということになります。
ですので、予想によっては相手への攻撃が不可能であったり、EM同士が接触してしまうこともあります。
これは純粋に知性と洞察の問題であり、どんなに優秀な武装を搭載していようが、どんなにルールブックを買おうが優劣への影響は非常に少ない良システムです。
プレイヤーの介入度の高いゲームシステムと言えるでしょう。
反面、PCの介入度は非常に低いです。
能力値が高いからと言って攻撃を命中させやすくなったり、回避しやすくなったりはしません。
ルールの簡易化のために仕方ない部分とは思いますが、非常にRPG的ではなくしている要因ではあります。ガンダムなどのようにエースパイロットとか作ることはほぼ無理ですね。*7
ただダメージの高低や当たりやすさなどは搭載する武装に関わってくるためパワーゲームになりがちになるのではないかという懸念点は残ります。つまり、長くは遊べないゲームではあります。*8



4.結局どうなのか?
ルールブック1冊当り2500〜3000円ほどします。*9
ハッキリ言いますとこのゲームには、それだけの価値はありません。
よく見積もっても1500〜2000円程度の出来です。
よくできた同人ゲームレベルです。
ですので、万人におすすめできません。
シノビガミを喧伝したときは、「みんな買えよ!」と言えましたが*10、このゲームに関しては、全く宣伝できません。ニッチ オブ ニッチです。
とまぁ、ここまでボロクソ書きましたが、あくまで“ゲームとして”は非常に秀逸にまとめられています。私としてはバトルテックが好きなので、「簡単にロボットゲームできたらなぁ〜」と思っていたので、渡りに船ですね。*11
ですので、「ロボット超好き!」な人以外は購入する必要はないでしょう。
私は「ロボット超好き!てか、ロボットになりてぇ!」なので、サプリメントを含めて全部買いましたけどね。

*1:ヴェルムと呼ばれている。巨大な大陸の西側らしい。

*2:ヴェルムにおける傭兵はEM乗り。また、EM乗りが傭兵をやる理由は実入りが非常に良いからです。

*3:D10使うところも似てますね。

*4:このゲームにおける戦闘とはEM同士の戦闘のことを指します。最もこのEM戦闘ルールこそがこのエムブリオマシンRPGにおける最大の魅力なのですが。

*5:F1ゲームに耐えうる身体能力を有したプレイヤーを指す。

*6:TRPGがニッチな趣味であり続ける要因でもありますけどね

*7:能力値が高い場合、特殊技能を利用することができるため一概にPCの介入度がないとは言い切れません。

*8:D&Dもパワーゲームではありますが、その他の楽しみ(領地経営やイモータルトライアル。転職など)があるため、一点特化している本作のような打ち止め感は少ない。また、打ち止めが出る前にだいぶ飽きてるはず。それぐらいは長く遊べる。また、「今日はネームレベルで遊ぼう」といった具合に遊び方のバリエーションも豊富である。

*9:サプリメント含む

*10:安いしな。

*11:まぁ、ヴェルトロオーバードライブがありますけど。