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2017’06.09, Fri

#065 一歩踏み出す勇気...絵本「ラチとらいおん」

 ブログを放置して半年。絵本紹介を放置して1年弱。

 怖がってばかりいては前に進めません。そんな気分にさせてくれた絵本です。

 

ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ)


 ここからはネタバレを含みます。ご注意下さい。


 このいえに、ラチという おとこのこが すんでいます。

 ラチは、せかいじゅうで いちばん よわむしでした。


 ラチは、ひこうしに なりたいと おもっていました。

 でも、よわむしの ひこうしなんて いるでしょうか。



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 ラチは、いぬをみると にげだします。

 くらいへやには、こわくて はいれません。


 おまけに、ともだちでさえ こわいのです。 だから みんなは、ラチを ばかにして、あそんでくれませんでした。


 ラチは、なかまはずれにされて、いつも ないていました。

 そして、いちにちじゅう、えほんを みてばかりました。


 ラチは、このえが いちばん すきでした。

 「ぼくに、こんな らいおんがいたら、なんにも こわくないんだけどなあ」



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 ところが、あるあさ、めをさましてみると、ベッドのそばに、

 ちいさな あかい らいおんが いるではありませんか!



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 でも、ラチは おおわらいしました。

 「こんな ちっぽけな らいおんじゃ、なんのやくにも たたないじゃないか」


 らいおんは おこりました。


 「きみ、みていたまえ!」

 らいおんは そういうと、かたてで いすを もちあげてみせました。



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 それから、ラチに とびかかると、

 えい、やっ と、ゆかに おしたおしました。


 「どうだい、ぼくは つよい らいおんだろう。きみも つよくなりたいなら、ぼくが つよくしてやるよ」


 「つよくなるのには、まず たいそうを するんだよ。こんなふうにね」


 いち にっ さん!

 いち にっ さん!


 それから ふたりは、まいあさ いっしょい たいそうを しました。


 あるひ、ふたりは さんぽに でかけました。

 そして、ないている おんなのこに であいました。


 「どうして ないているの?」と、ラチが たずねました。

 「だって、むこうに こわいいぬが いるんですもの」


 ラチは、にげだそうとしました。

 そのとき、らいおんが いっしょにいることを おもいだしました。

 「こわくなんかないぞ。ぼくには、らいおんが ついているんだから」


 そして ラチは、おんなのこの てをひいて、いぬのそばを とおりぬけました。



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 ラチは、ポケットのなかに らいおんといっしょに、うちへ かえりました。うちで、えを かこうと おもったのです。


 けしごむも、かみも、えんぴつも ありました。

 でも、クレヨンが ありません。


 クレヨンは となりのへやに あるのです。

 けれども、となりのへやは まっくらで、おまけに、でんとうを つけようとおもっても、スイッチに てが とどきません。


 「とりに いきたくないなあ」と、ラチは いいました。

 「とりに いきたまえ」と、らいおんが いいました。

 「いきたくないよ」と、ラチは いいました。

 「じゃ、ぼくが ついていってあげよう」と、らいおんが いいました。


 ラチは、クレヨンを とりにいって、ねるまで えを かきました。


 こうして、ラチは、どんどん つよくなって、もう なんでも できるようになりました。

 かたてで いすを もちあげることお できます。


 さかだちも できます。



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 そして あるひ、らいおんと すもうをとって、

 とうとう かちました!


 そこで ラチは、ともだちのところへ でかけていきました。


 ところが、みんなは しょんぼりしています。

 のっぽに、かいたてのボールを とられてしまったからです。

 「きみなんか きたって、なんにもならないよ、よわむしだから」と、みんなは いいました。

 「ぼくは、よわむしじゃないよ」と、ラチは いいかえしました。

 「じゃ、ぼくたちの ボールを とりかえせるかい」


 「とりかえせるとも!」 ラチは そういうと、のっぽを さがしに でかけました。

 「こわくなんかないぞ。ぼくには、らいおんが ついているんだから!」


ラチは のっぽをみつけました。

「まて!」


 のっぽは びっくりしました。

 みんな のっぽを こわがっていたのに、こわがらない こどもが でてきたからです。

 「こいつは、ぼくより つよいらしいぞ。にげたほうが よさそうだ!」

 のっぱは あわてて にげだしました。


 どっちへ にげたのでしょう?


 「こっちだよ」

 のっぽの ぼうしが おしえました。


 「こっちだよ」

 のっぽの えりまきが おしえました。


 「こっちだよ」

 のっぽの ハンカチが おしえました。


 とうとう ラチは おいつきました!


 のっぽは こわがって、ボールを ほうりだすと、たかいきに よじのぼってしまいました。

 そして、よるになるまで、おりてこようとは しませんでした。



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 みんな、おおよろこびしました。

 ラチは、らいおんに おれいを いおうとおもって、ポケットに てを つっこみました。

 ところが、ポケットのなかに なにがあったとおもいますか?


 りんごです!


 らいおんが ついていなくても、ラチは つよかったのです。

 ばんざい! ばんざい! ばんざい!

 でも、らいおんは どこに いってしまったのでしょうか?



 ラチは、はしって うちへ かえりました。

 うちいは、てがみが おいてありました。


 らいおんの てがみです。



 ラチくんへ

 きみは、らいおんと おなじくらい つよくなったね。もう、ぼくが いなくても だいじょうぶだよ。
 ぼくは これから よわむしのこどもの ところへ いって、つよいこどもに してやらなくちゃならないんだ。
 ぼくを いつまでも わすれないで くれたまえ。
 ぼくも、きみのことは わすれないよ。
 じゃ、さよなら

        らいおんより



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 らいおんは、ラチを じまんに おもっていることでしょう。

 ラチは もう、なにも こわがりません。



 だから ラチは、きっと ひこうしに なれるでしょう。



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 おしまい。

 あまり多くは語りません。

 きっと誰の心の中にも「らいおん」はいて、一歩前に踏み出す勇気を与えてくれるのではないでしょうか?

 大事なのはそんな「らいおん」の存在に気がつけるかどうか。

 私は気がつくのに1年もかかってしまいました。