夏目友人帳 伍 第7話

 ちょっとしたミステリーっぽいと思ったら。
 あんまミステリーとしての出来は今一…というか、そんなのは本筋でもなんでもないのでどうでもよいというか。田沼を見守る人たちと祭りに関したちょっとした顛末の巻。大筋では贈与と返礼といった形なのだが、それが高校生の成長物語としてだけでなく、それを見守るという相互相補的な関係が示されていてちょっとうまくまとまってたように思う。
 いかにも日本的ごった煮ってところではあるんだが、正直この程度で構わないような気はしてる。もう一世代前の妖怪に関する共有事項ってのは今の世代には受け継がれていなくって、近代的個人観で昔の文物を再構成するしかない段階なんだろうなという。かといって日本が近代国家ではないわけだし、近代的個人のバックボーンである「市民」観は西洋のそれとは全然似通ってすらいないってのがネックにはなるが。情緒に訴えかけるというのは現実問題として有効な手段ではあるが、諸刃の剣であってなんとも難しいところ。ちゃんと理を弁えた人がこのような作品を見て受け取るのと、そうでない人が受け取るものがどうにも結果として不思議と違うものに結実してしまうのがもどかしい。