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2007-03-04

[][]水の恩恵ここにもあった〜茨戸川のワカサギ釣り〜 水の恩恵ここにもあった〜茨戸川のワカサギ釣り〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク


札幌北部を流れる茨戸川は、冬期間(1月〜3月上旬)に厚い氷で水面が覆われる場所があります。そこでは、多くの釣り人が氷に穴を開けてワカサギの穴釣りを楽しんでいます。ワカサギは成魚になっても15cm程の小魚で、湖や汽水域*1に生息しています。天ぷらやフライなどにして食べると、とても美味しい魚なので冬季間の釣りの対象魚として人気があります。

ワカサギ釣りが盛んな茨戸川は、もともとは石狩川の本流でした。しかし、曲がりくねった石狩川の流れを直線化する河川改修が行われ、その際に現在の茨戸川が石狩川の支流として残されました。大きく蛇行する茨戸川の流れは非常に緩やかで、場所によっては雨が降ったときにしか流れが生じない場所もあり、湖沼のような環境になっています。

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筆者が釣りに行った2月の中旬のある日の気温は1.9℃、国道337号線・生振大橋下では氷の厚さが約45cmほどです。ドリルで穴を開けて、釣り糸を垂れると、氷の下から元気なワカサギやウグイが釣り上がってきます。


さて、元気なワカサギやウグイ達が棲んでいる氷の下の水はどれくらい冷たいのかと思い、温度計で水中の温度を測ってみました。

測定地点の水深は約5mです。すると、水面近くでは約0.5度、川底の水温は約3℃となっていて水面近くの温度が低く、川底の方の温度が高くなっています。

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お風呂や夏のプールでは、水面近くの温度が高く、底のほうの温度が低くなっていることはよく知られています。しかし、氷の下では水面近くの温度が低く、底のほうの温度が高くなっていて、ちょうどお風呂やプールの逆の状態になっています。同じ水同士なのに何故このような違いが生じるのでしょうか。



それは、水の温度による密度変化の特殊性が原因となっています。

 物質は、温度によって密度*2が変化します。一般的な変化の傾向は、温度が低くなればなるほど、密度が大きくなります。したがって物質の三態でいうと、同じ物質間であれば気体より液体、液体より固体の方が密度は大きくなります。


ところが、水は他の物質と比べ非常に特殊な密度変化をします。グラフのように温度が約4℃(正確には3.98℃)のとき密度が最も高く(0.999973g/cm3)、温度がそれ以上低くても高くても密度が小さくなる性質を持っています。特に水が固体となった氷になると密度が大きく減少するので、氷が水に浮くことになります。(さっぽろサイエンス観光マップ北極の未来は〜円山動物園〜 参照)

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水は私達にとって非常に身近でありふれた物質ですが、温度変化に伴う密度変化は他の物質と比較すると非常に特殊な性質を持っているのです。


この水の性質によって、生物にいくつかの恩恵を与える現象が起こります。

 

ひとつは、湖や沼は底から凍るのではなく水面から凍ることです。冷えて密度の小さくなった水は水面近くに上昇し、水面から凍っていきます。水面を覆う氷は、お風呂のふたのような働きとなり水中の熱を逃げにくくします。このことにより湖沼の完全凍結がしにくくなります。生物は凍結による死滅の危機から守られます。


ふたつめは、水中の上層部と底層部で水の循環が起こることです。この循環は、次のような仕組みで起こります。

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〜瓦討凌綽爾硫硬戮4℃以上のときに、表層部の水が冷やされて低層部へ沈むことで起こる循環で秋季に起きる。

∩瓦討凌綽爾硫硬戮4℃以下のときに、表層部の水が温められて低層部へ沈むことで起こる循環で、春季に起きる。

この2回の循環により、水中の底の方に沈んでいる栄養分が表層まで運ばれます。光が良く届く表層に栄養分が運ばれることにより、光合成を行なう植物プランクトンが繁殖しやすくなります。植物プランクトンは様々な動物の餌となり豊かな生態系が成り立ちます。

  水の温度による密度変化の特殊性により、私達人間もワカサギの穴釣りをすることが出来ます。とても楽しいワカサギの穴釣りをしながら、多くの水がこの地球にあることに感謝しようと思います。この日、隣で釣っていた人はなんと200匹も釣り上げていました。ちなみに、筆者の釣果は……!?


ちょっと感謝が足りなかったようです。


(文・写真・図:三浦久和)

【アクセス】

  • 国道377号線・生振大橋下

【住所】

【参考文献・参考リンク】

  1. 水の密度表

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*1:淡水と海水が混じりあう水域のこと

*2:単位体積(普通は1cm)当たりの質量(g)を表し、物質を構成する原子や分子の詰まり具合と関係している

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