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お知らせ:2007年3月のCoSTEPウェブ実習の終了にともない、今後当サイトでは定期的なコンテンツの更新は行われません。
ただし今後も実習チームOB有志が、時折新しい記事を追加していく予定ですのでよろしくお願いします。(2007/6/21)

【News】(2008/2/6)優れたブログを紹介する「スゴブロ2008」ベスト20の第3位に選ばれました!
【News】(2007/3/14)『クックブック サイエンス観光マップのすすめ』の配布を開始しました。
【News】(2007/3/1)日経BPのサイト「セカンドステージ」に当サイトの紹介記事が載りました。
【News】(2007/2/7)2月1日の記事にて、公開記事数が100本になりました。
【News】(2007/1/5)はてなの 「こんな人も書いています」コーナーに掲載されました。



2007-04-01

[][] 開拓使の星、札幌の星 〜札幌 時計台〜  開拓使の星、札幌の星 〜札幌 時計台〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク



札幌の古い建物を訪ねて歩いていると、赤い星のマークがついた建物に出会うことがあります。札幌時計台もその一つです。


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  • 札幌時計台の星のマーク

同じ星のマークは、旧北海道庁(赤レンガ庁舎)や豊平館サッポロファクトリーにも見られます。これらの建物はすべて開拓使(明治の初めに北海道の開拓を進めた官庁)が建造したという共通点があります。この赤い星は北極星を表していて、開拓使のシンボルマークでした。


星型は正五角形と5つの二等辺三角形を組み合わせた図形です。この星型は数学的にも特別な性質を持っていることが知られています。

例えば、星型の頂点をつくる5つの二等辺三角形の底辺と、残りの二つの辺の長さの比は、黄金比*1と呼ばれる特別な値になります。

また、正五角形の頂点の対角線をとるとその中に星型ができます。さらにその星型の中にある正五角形の頂点の対角線をとると、また星型ができて、無限にこれを繰り返すことができます。

このときできる辺を長い順からたどってゆくと、長い辺とその次に長い辺の比が常に黄金比となります。


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  • 正五角形と星型の関係:AとBの比、BとC、CとDの比・・・が常に黄金比となる

5つの頂点を共に持つ、星型と正五角形は黄金比という特別な数で結ばれていて、神秘的な美しさを持っています。


ある日、壁に貼った札幌の地図をぼんやりと見ていたとき、私は驚くべきことに気がつきました。


赤い星の付いた、開拓使が開いた5つの建物(札幌駅、時計台、旧北海道庁(赤レンガ庁舎)、豊平館(建設当時は現在の札幌市民会館の位置にありました)、サッポロファクトリー(開拓使麦酒醸造所))が、なぜか美しい星形に配置されていることに気づいたのです。


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  • 赤い星が付いた開拓使の建物は星形に配置されていた!

なぜ、開拓使は赤い星をつけた建物を札幌の街に星形に配置したのでしょうか。


それは、日本に古来から伝わる陰陽道と関係があります。陰陽道では、星形は「五芒星」とよばれ、魔除けの印として伝えられてきました。開拓使は北の地に新しい都を築くにあたり、この街に災難や天災が降り掛かる事がないようにと祈りを込め、赤い魔除けの星をつけた5つの建物を、さらに星形に配置することで札幌の街に結界を張り、二重の魔除けとしたのです。


そして、この「5」という数は、不思議なことに自然の中にもよく見られる特別な数なのです。


例えば、ヒトデや桜の花も、5つの頂点をもつ星型です。人間の指の数も5本です。地球には5つの大陸があります。さらに宇宙へ目を広げると、太陽系の、地球より内側の大きな天体も、太陽、水星、金星、地球、月の5つなのです。


自然のあらゆる場所に「5」という数字が見られる事は、きっと、ある深遠な真理を示しているに違いありません。


すなわち、「5という数字は、万物をつかさどる、宇宙の根本原理と関係している」 ということです。


その証拠に、今日の日付にも「5」が隠れています。


今日は2007年4月1日で、7−2=5、そして4+1=5になるではありませんか!!




エイプリルフールとはいえ、ひどいウソ八百の記事を書いてしまって、ごめんなさい。


上の文章を読んでいて、「へぇー」とか「うんうん」といった感じから、「え?」「あれ?」という感じに変わったところがきっとあると思います。それは、あなたが「ウソ」に気がついた瞬間です。


でも、この記事が何の前置きもなく、いつものように「さっぽろサイエンス観光マップ」の中にまぎれ込んでいたら、あなたはこの「ウソ」に気づくことができたでしょうか。


私たちは毎日様々なメディアからたくさんの情報を受け取っています。誰かの手を経た情報は、情報を送る側の視点で切り取られ、私たちのもとに届きます。このとき、情報の送り手が、情報の受け手(つまり、あなたのことです)をだまそうとして情報をゆがめて伝える事があります。

これが「ウソ」で、単なる「誤り」(間違っているが、だますつもりはないもの)とは異なります。


あなたが信じておきたい話やおいしい話、ネットやテレビや雑誌で見た話や、どこかのえらい人や有名人や科学者がしている話の中にも、あなたをだましてふりまわすための「ウソ」が含まれていることがあります。


上の「ウソ」の記事では、最後の「5は万物の根源となる数である」という、かなり無理のある主張をもっともらしく見せるため、いくつか「演出」をおこないました。


最初の方で述べた、星形と五角形の辺の間に黄金比の関係が見られることは事実です*2

一見、科学の解説のようですが、この話をした本当の目的は、「ある日、壁に貼った〜」以降の「ウソ」に、あたかも科学的な裏付け(と神秘性)がありそうな雰囲気を漂わせることです。ここまでの説明ではウソはついていませんが、「特別」とか、「神秘的な美しさ」とか、主観的な言葉をあえて入れています。

書き手の主観と、客観的な事実とは、しっかり切り分けて読まないとだまされやすくなります。


「開拓使の建物が星形に配置されている」のは「ウソ」です。

この「ウソ」を強調するため、星形に合わせて建物を置いた、「ウソ」の地図を作りました。

目に直接飛び込んでくる図や写真や映像は、直感に強く訴えるため、読み手が自ら考える事をおろそかにさせる力があります。

実際には、建物は星形に並んでいないことが地図を調べるとすぐにわかります(下の矢印のアイコンをクリックすると本物の地図と建物の配置が見られます)。

もちろん、開拓使は星形を都市や建物の魔除けとして使っていたわけでもありません。


  • 上の矢印をクリックすると建物の本当の配置が見られます

(Google Maps Line Saverを使用しました http://blog.zuzara.com/?p=20


「なぜ、開拓使は赤い星をつけた建物を札幌の街に星形に配置したのでしょうか」という問いには、ひっかけがあります。

「開拓使の星の付いた建物」と「建物が星形に配置していること」との間には関連が全くないのに、この二つに強い結びつきがあり、「開拓使が赤い星をつけた建物を星形に配置した」ことを、事実のようにあなたに思わせるための問いかけです。

あなたの身近でこのような問いかけがあったときには、その意味をよく考えてみる必要があります。


最後の、自然界に「5」という数がたくさん見られるという話も、語り手の主張をもっともらしく見せるためのこじつけです。

都合の良い事実(この場合はたまたま「5」が含まれる自然の事象*3)を選んできてたくさん並べると、偶然の一致にすぎないことが、まるで共通の原理で結ばれているかのように見えます。

(「5」のかわりに、「6」や「7」でも同じような話を組み立てる事だってできるはずです)


私たちはもっともらしい話をついつい信じてしまいます。そんな自分を、まず注意深く疑ってみることからはじめてみましょう。

情報をまるごと信じてしまう前に、ひと呼吸置いて、ほんのちょっと考えてみる、調べてみるというひと手間をかけてみると、怪しい「ウソ」に気づく瞬間があるかもしれません。

また、上の「ウソ」の記事を読んでもらった時のように、ちょっと疑いながら情報を読み、情報の送り手の真の思惑を考えることも「ウソ」に気づく方法のひとつです。


さて、あなたの眉はまだ濡れたままでしょうか。

私が「ウソ」の記事のあとに書いた事を、もう、うっかり、まるごと信じちゃったりしていませんでしたか?

(もちろん「ウソ」はついていないつもりですが、「誤り」はあるかもしれません)


そう、だれかがついた「ウソ」を見抜くのは、あなたの眼力が最後の頼りなのです。


(文・図・写真:佐藤登志男)


【アクセス】

  • 所在地

札幌時計台 札幌市中央区北1条西2丁目

地下鉄南北線「大通駅」を下車、徒歩3分


【参考リンク】

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/index.html

  • 北海道人 北の星ヲメザシテ

http://www.hokkaido-jin.jp/issue/sp/200603/sp_01.html

  • Wikipedia 「陰陽道」「五芒星」

http://ja.wikipedia.org/wiki/陰陽道

http://ja.wikipedia.org/wiki/五芒星


【参考文献】

  • マーティン・ガードナー 奇妙な論理 II なぜニセ科学に惹かれるのか?所収 「ピラミッドの神秘」 ハヤカワ文庫NF (2003):原著は1952年に出版
  • マリオ・リヴィオ 黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語 早川書房(2005)
  • E.B.ゼックミスタ、J.E.ジョンソン クリティカルシンキング 入門編、応用編 北大路書房(1996)

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*1:1 : (1+√5)/2= 1 : 1.6180・・・

*2:ここで述べた星型と正五角形の黄金比の関係は、その上で述べた、星型の中の二等辺三角形の辺の黄金比の関係と同じことを、実はもう一度言い換えただけです。星形の頂点を作る二等辺三角形と、正五角形の対角線が作る二等辺三角形とは相似の関係になっていることが図を良く見るとわかります

*3:「五大陸」には南極大陸が含まれていませんし、「太陽系で地球より内側」という条件のつけかたも、天文学上の意味を持ちません

北海道の開拓魂2.0北海道の開拓魂2.0 2007/04/13 12:56 うわっ新発見!星形に配置されているんだ!
みんなに知らせなきゃ〜

(>_<)直後にたねあかし。

4月1日だったのですね・・・。参りました。

佐藤登志男佐藤登志男 2007/04/23 08:54 お返事遅れてすみません。ガセネタで申し訳ありません。
昨日(4/22)はアースデイということでgoogleのロゴが氷山になってたりしましたが、道内でも関連イベントがあったんですね。

2006-11-04

[][] 浜の真砂はいくつある?〜石狩浜海水浴場(あそびーち石狩)〜  浜の真砂はいくつある?〜石狩浜海水浴場(あそびーち石狩)〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク


石狩浜海水浴場(あそびーち石狩)は石狩市にある、海岸線延長800mほどの海水浴場です。

f:id:yukinotoshi:20061103025509g:image(筆者撮影)


 札幌駅から車で40分程度に位置し、単独の海水浴場としては北海道内で一番多くの海水浴客を集めています。今夏には45万人が訪れています。日本海に沈む夕日も美しく、海水浴シーズン以外にもテントを張ってキャンプする人も少なくありません。すぐそばに温泉もあるので、海水浴で冷えた体を温めてから帰ることもできます。


 「砂浜の砂」は「星の数」と同様、たくさんあるものの比喩としてよく使われます。地球上に砂粒が何粒あるかを筆者は知りませんが、少なくとも宇宙を構成する原子の数より少ないことは確かです。宇宙を構成する原子数は10の80乗(1の後ろに0が80個並びます)個くらいと非常に大きな数ですが、無限には多くありません(本マップの「いごよろしく」参照)。この「無限」という概念は非日常的なので、色々と面白い性質があるのですが、今回はそれには触れず、無限に関係して「最大の整数は存在しない」・・・(1)という命題を証明してみましょう。


 (1)の命題は当たり前だと直感で思われる方も多いと思います。その直感は正しいのですが、証明してください、と言われるとどうでしょうか?実は意外に簡単に証明できるのです。


証明)最大の整数Mが存在すると仮定する。

   Mの次の数をNとすると、NはMより大きい整数である。

   よって、常にMより大きな整数が存在するので、最大の整数Mが存在するという仮定は誤りであり、最大の整数は存在しない。(証明終)


 これは、与えられた命題の逆を仮定し、その仮定を検証していくうちに矛盾が出てくれば最初の仮定がそもそも誤りである、という「背理法」という考え方を利用した証明です。(1)の場合、最大の整数は存在しないことを証明したいので、最大の整数があったらどうなるかを考えます。この場合は最大の整数をMと仮定したのに、Mより大きなNという整数が常に存在することになるので、そもそも「最大の整数Mが存在する」と仮定したことが誤りということになります。


 ではこの方法を応用して「最大の素数は存在しない」・・・(2)という命題の証明をしてみてください。素数とは、1とその数自身でしか割り切れない自然数(正の整数)のことです。小さい方から2、3、5、7、11、・・・と続きます。背理法を利用すると簡潔な証明ができます。


証明)最大の素数をMとし、Mまでの素数はすべて既知とする。

Mまでの素数をすべて掛け合わせ、1を加えた数をNとする。つまりN=(2×3×5×・・・×M)+1である。

Nは既知の素数で明らかに割り切れない(1余る)。

よってMより大きい素数が、Nとして、またはMとNの間に存在するので最大の素数は存在しない。(証明終)


 これはどんなに大きな素数があっても、さらに大きな素数を作ることができてしまう、ということを数式で表したものです。もう少し補足しますと、「Nが既知の素数で割り切れない」ということは「Nが既知の素数の倍数ではない」ということを意味しています。この場合、次の二つの場合が考えられます。一つ目は、N自身がMより大きな素数である場合です。二つ目は、NがMとNの間にある素数(仮にP、Qとします)の積である場合で、この場合はPやQがMより大きな素数になります。いずれの場合も、Mが最大の素数であると仮定してもMより大きな素数が存在することになるので、「Mが最大の素数である」という仮定が誤りだということになります。


 一般に「・・・が存在しないことを証明せよ。」という命題は、「・・・が存在することを証明せよ。」という命題に比べて証明が難しいことが多いものです。というのも「・・・が存在すること」を証明するには、存在する例を1つ示せば証明できますが、「・・・が存在しないこと」を証明するには、すべての場合に命題が成り立たないことを示さなければいけないからです。そのような時に、命題が成り立つと仮定すると矛盾が出てくることを導き出し、最初に導入した仮定が間違いである、という背理法を常套手段として利用します。


 砂浜の砂は有限でも、非常に数が多いものです。筆者がそれを実感するのは、砂浜で遊んだり散歩したりした後に、靴や足についた砂を洗い流したと思ってもどこかに必ず残っている時です。北海道は海水浴可能期間が非常に短いですが、それでも砂浜で遊ぶのは楽しいですし、素足で砂浜を歩くのも気持ち良いものですよね。読者が砂浜に行った時に本記事を思い出していただけたら大変幸せですが、彼女や彼氏といる時に、無限だの有限だのという話題を持ち出してせっかくの雰囲気がまずくなっても当方には一切の責任はありませんので悪しからず。

(文、写真:ひるあんどーん)

問合せ先

石狩海水浴組合事務局

石狩市親船町107番地 社団法人石狩観光協会内

TEL (0133)62-4611


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2006-10-30

[][][] 芸術に息吹く科学 〜札幌芸術の森〜  芸術に息吹く科学 〜札幌芸術の森〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク


地下鉄南北線真駒内駅からバスに揺られて15分。坂の上に、立派な門が現れます。この門のなかに広がる札幌芸術の森には、野外美術館・美術館・工芸館・コンサートホールなど、芸術に触れ合える様々な施設があります。その中でも野外美術館は、7.5ヘクタールの広大な敷地に、74点の作品が展示されている広大な施設です。屋内の美術館と違い、走ったり、歓声をあげたり、見上げたり中に入ってみたりと、様々な楽しみ方ができます。作品の解説をしてくれるボランティアガイドさんもいて、詳しい解説を聞きながらの散策もできます。


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  • 展示解説をするボランティアガイドさん(緑のパーカー)

(撮影:宮本朋美)

今回は、この野外美術館で芸術とサイエンスの意外にも親密な関係について探ってみましょう。


まず展示作品の中に、野外にあるにもかかわらず、ピカピカと光沢を放つ作品がたくさんあることに気づきます。ご存じのとおり、金属を水にぬらしたり長い時間放置したりすると錆が付いてしまいます*1。しかしここにある作品は、まったく錆がなく傷も見当たりません。

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  • ステンレスを用いた作品 (左上:「方円の啓示」/小田襄、右上:「位相」/多田美波、左下:「1・9・8・5知性沈下」/湯原和夫)

(撮影:石村源生)

秘密は材料にありました。

これらの作品は、材料にステンレスを使っていました。

ステンレスは、「stain(錆)less(ない)」という名前の通り錆がつかない金属です。ステンレスは鉄にクロムをまぜた合金で、常に水に濡れる台所用品などに使われています。

なぜ、鉄にクロムをまぜると、錆がつかないのでしょうか。実は、クロムは大変酸化しやすい金属で、空気中の酸素ともすぐに酸化反応を起こします。このような酸化還元反応のしやすさのことをイオン化傾向といい、クロムはこのイオン化傾向が強い物質です。酸化したクロムは、金属表面を覆う膜(不動態*2皮膜)をつくります。ステンレスでも、クロムがこの膜をつくり、ステンレス中の鉄と酸素や水分が反応し、錆(酸化鉄)ができることを防ぐことができます。


このほかに、さびにくい純金属としては金やプラチナなどが挙げられ、野外美術館には金箔を使った作品も展示されています。


さて、次に5分ごとに姿を変える不思議な作品に注目しました。*3


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  • 5分毎に赤矢印部が90度回転して姿を変える「1:1:√2」(作/田中薫)

 (撮影 石村源生)

 

この作品のテーマは「1:1:√2」。これは、直角二等辺三角形の辺の長さの比です。

直角三角形の辺には、以下のような法則が成り立っていて、これを三平方の定理といいます。

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  • 三平方の定理

この作品の柱の幅と奥行きの比は1:√2になっており、これを45度の角度で切ると断面が正方形になります。

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  • 1:√2の立体の45°切断面

この作品は、回転部を90度回転させることで形を変化させます。

切断面が正方形なので、90度回転させても辺の長さがぴたりと一致します。

三平方の定理を発見したのは、有名な古代ギリシアの数学者であるピタゴラスでした。なんとピタゴラスは現在使われている音階の元になったピタゴラス音階を開発していたともいわれており、音楽と数学にも密接な関係があることがうかがえます。

野外美術館は森の中を歩くハイキングコースにもなっていて、コースを全て歩くと体がほかほかとあたたまり、今時期ですと自然の生み出す「紅葉」という芸術も楽しめます。(紅葉の仕組みはこちらをご覧ください。)

色づいた木々と人の作り出した作品の、静かで力強い鼓動が野外美術館には溢れていました。

【アクセス】

札幌市営地下鉄南北線 真駒内駅下車 2番バス乗り場よりバスに乗車しておよそ15分

【参考文献】

  1. ウィキペディア
  2. ステンレス協会
  3. 札幌芸術の森 情報誌「ルア」
  4. 札幌芸術の森 野外美術館パンフレット

(文・図 宮本朋美)

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*1:このように金属が外部の刺激を受けて性能が落ちることを腐食といい、腐食した金属に生成されるものの代表が錆です

*2:表面に膜ができて、内部を腐食させない状態のことを不動態といいます。不動態になりやすい金属には、クロムのほかにアルミニウム、ニッケル、コバルトなどがあります。鉄も純度がとても高いものは不動態をつくります。

*3:変化の様子はこちらをご覧ください。

2006-06-22

[][] 自然の中の数式 フラクタル 〜前田森林公園〜  自然の中の数式 フラクタル 〜前田森林公園〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク

 

 お天気の良い休日、お日様の下で楽しむ散歩、ジョギング、ドライブ。この季節は外に出るのが、楽しくなります。そして、いつでも気軽に楽しめるのが、公園めぐりでしょうか。今回ご紹介する手稲区の前田森林公園は、カナール(運河)のある公園として有名です。ここへの道しるべは大空に向かってシャボン玉を吹くかのようにニョッキリ伸びた銀色のモニュメントです。この公園の新しい生命の息吹をイメージしてつくられ、「芽生え」と名づけられています。

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  • 大空にそびえる「芽生え」(撮影:2006/6/11)

 また、平成4年に完成したこの公園には、17世紀のフランス貴族の庭園をイメージしたフランス式庭園の様式が取り入れられています。そのヨーロッパを思わせる景色から、合唱や札幌交響楽団のコンサートなどの数多くのイベントが開かれたことでも有名です。

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  • 「壁泉」を仲良く泳ぐ2羽のマガモ (撮影:2006/6/11)

 公園のメインエリアには、3つの象徴的な水景があります。

1つ目には正門入り口近くの手稲山から流れる水をイメージし、約100メートルにわたる岩壁を背景にリズミカルな水しぶきを揚げる壁泉です。2つ目はカナールと呼ばれる運河で中央ゾーンの正面奥の展望台を城に見立て、入り口から幅15メートル 600メートル長さでゆったりとしてながれています。3つ目は、展望台近く、昭和6年の博覧会と同じデザインで作られた円形の噴水です。それは、サンクガーデンの新緑のトピアリーとともに、幾何学的でおとぎの国のような、ちょっと不思議な空間を作っています。

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  • 展望台に向かって続く「カナール」(撮影:2006/6/11)

 フランス式庭園の最大の特徴は、庭園全体が城を中心にシンメトリー(左右対称)になっており、遠景に庭園の消点が配置されていることです。前田森林公園では、手稲山山頂の中心と公園内の展望台の中心を結ぶ直線上を対称軸として、シンメトリーに構成されています。この幾何学的なレイアウトの効果は庭園に差し込む太陽の光とその影に表情豊かな色彩の変化を生み出します。また風のない天気の良い日には、カナールの水面に手稲山の山影が映るという演出を楽しむこともできます。

カナールの両わきには、シンメトリーをきわだたせる320本のポプラ並木が植えられ、春は芽吹き、初夏は雪のような綿毛で季節の移ろいを人々に知らせています。

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  • 手稲山の山頂とつながるシンメトリーな庭園(撮影:2006/6/11)

 幾何学的で、全体がシンメトリーに配置された庭園は、いささか窮屈におもわれがちですが、いろいろなところにあえてシンメトリーを崩すような様々な変化をもたせ、アンバランスな中に心地良い調和が得られるよう工夫されているのです。

 上の写真の微妙に違う左右の植栽に気がつかれたでしょうか。


 さて、この庭園の幾何学的なデザインについてご紹介しましたが、もちろん庭園を設計したのは人間です。しかし自然界にも幾何学的に興味深いデザインを発見することができます。

 たとえば、太陽に向かって四方に延びる木の樹形に注目して見ましょう。樹形の一部を拡大してみると木全体と似た形になっている事に気づくでしょう。また、一部分を拡大してもやはり同様の形を見出すことができます。 

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  • 樹木の自己相似のイメージ

これに対して、下の図のような単純な曲線の場合は、どうでしょう。どんなに拡大しても同じにはなりません。拡大することによって、前の特徴が失われどんどん直線に近くなってしまうのです。

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  • 曲線の拡大

 樹木の例のように、自分自身の中に自分を縮小したものが埋め込まれているという幾何学的な性質を「自己相似性」といいます。

これを数学的に図形を記述する数式の研究するのが、フラクタル*1幾何学と呼ばれる分野です。微妙な数値の違いで、カエデの葉、雪の結晶、海岸線の模様、雲、木、鳥の羽など複雑に入り組んだ図形を作ることができます。その中でコッホ曲線*2が有名です。

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  • コッホ曲線の考え方

様々なフラクタル図形を以下のウエブで見ることができます。

「Javaでものみながらふらくたるたいむ」より

http://www.nikonet.or.jp/spring/Fractal/Fractal.htm


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  • 伸び続ける藤の穂先にもフラクタルが隠れています(撮影:2006/5/30)

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  • 展望台を翼のように取り巻く満開の藤(撮影:2006/6/11)

現在、札幌には2,573箇所、総面積、20,097haの公園、緑地があります。(平成16年)赤ちゃんから大人までの利用する身近なスペース。市民一人あたりの公園面積は、10.8?とか。休日にのんびり公園を歩きながら、自然の中の隠れた不思議をぜひ、見つけてみて下さい。

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  • ペットを通じての会話を楽しむ人々(撮影:2006/6/11)

(文・撮影・図:北守敦子) 最終更新:2006/6/22 ver.1.0


  • 住    所   札幌市手稲区前田591-4
  • TEL      011-681-3940
  • 問合わせ先    前田森林公園管理事務所
  • アクセス方法   地下鉄「北24条駅」→中央バス[北72]前田森林公園行→「前田森林公園入口」→徒歩1分

【参考文献】

  1. カオスとフラクタル―Excelで体験』 臼田昭司ら オーム社 1999
  2. 造園時代への先がけ―石勝エクステリアの仕事 ZOEN』 涌井史郎 マルモ出版 1997
  3. 公園と緑地 (さっぽろ文庫)』さっぽろ文庫64 札幌市教育委員会編 北海道新聞社 1993
  4. みどりのページ』(web) 札幌市環境局緑化推進部
  5. コッホ曲線』(web) 数学とソフトウェア M.Sanae'S HomePage
  6. コッホ曲線』(web) Wikipedia  

*1:1975年米国IBM社のマンデルブローが自己相似性という特殊な性質を持つ幾何学図形に与えた名称。ラテン語の「砕けた石」から命名。そして、同じ数式の繰り返しから自然界のデザインを再現し、また、コンピューターによりきわめて精度の高い表現が可能となった。

*2:スウェーデンの数学者ヘルゲ・フォン・コッホが考案した、線分を3等分し、分割した2点を頂点とする正三角形の作図を無限に繰り返すことによって得られる図形。フラクタル図形の一つ。

keijikeiji 2006/12/11 17:00 記事、大変興味深く拝見いたしました。
「上の写真の微妙に違う左右の植栽」気づきませんでした。
(トラックバックさせて頂きました)

2006-01-05

[][] ガラスのピラミッド 〜モエレ沼公園〜  ガラスのピラミッド 〜モエレ沼公園〜 - さっぽろサイエンス観光マップ を含むブックマーク


みなさんは、ガラスのピラミッドというと、どこを思い浮かべますか?パリのルーブル美術館でしょうか?それとも、札幌のモエレ沼公園でしょうか?

昔、豊平川が蛇行して出来た三日月湖のモエレ沼は、近くに住んでいる人達がここを公園にして欲しいと望んでから約30年、設計からは約17年、2005年7月に公園として完成しました。

彫刻家のイサム・ノグチさんが「全体をひとつの彫刻」として設計したモエレ沼公園のシンボルとなる建物が、ガラスのピラミッド、愛称HIDAMARIです。

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  • モエレ沼公園 ガラスのピラミッド(撮影:2005/11/23)

HIDAMARIの高さ30mを超える大きな三角形の頂上部は、ピラミッド形になっています。ピラミッドと言えば、エジプトのクフ王のピラミッドを思い浮かべる人が多いですよね。

ピラミッドの形は、四方の面は三角形をしていますが真上から見ると四角形の立体です。この形を四角錐(しかくすい)と言います。クフ王のピラミッドは、ほぼ完全な正四角錐です。

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  • クフ王のピラミッド(四角錐)と黄金長方形のイメージ

クフ王のピラミッドの四方の壁面の三角形は、二等辺三角形です。この三角形を半分にして、片方を逆さまにして、長方形に組み替えると、ヨコとタテの比率が 1:1.618・・・の黄金比となります。この長方形のことを、特に黄金長方形*1といいます。身近なものでは、名刺の縦:横の比率が近い数字です。

また、大昔より建物や美術の中で、不思議な数字黄金比*2が大活躍しています。究極の調和ですね。

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  • クフ王のピラミッドの分解イメージ

HIDAMARIは、見る方向により形を変える、不思議な建物です。

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  • モエレ沼公園 ガラスのピラミッド(撮影:2005/11/23)

モエレ沼公園には、遊び道具、建物、山や森のあちこちに、三角形・四角形・六角形・円などのいろいろな形が、隠れています。それらの面白い形を見つけに、遊びに来ませんか?


【追加情報】

札幌市東区は「山」の無い平坦な土地でしたが、2004年6月、人間が土を延々とトラックで運びこんで作ったモエレ山(62.4m)が、札幌市東区の「最高点」として、国土地理院の2万5千分/1の地図に登録されました。「山」として認められたのです。(2006/05/26)


【住所】

モエレ沼公園 札幌市東区モエレ沼1−1

【公式サイト】

http://www.sapporo-park.or.jp/moere/

http://www.hokkaido-jin.jp/issue/200509/sp_01.html


【参考】

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  • パリのルーブル美術館 ガラスのピラミッド 高さ21m (撮影:2001/10/03)

http://www.louvre.or.jp/

ルーブル所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチの絵やミロのヴィーナスも黄金比で有名です。

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ピラミッド部分、ほとんど同じ形ですね。

(撮影・文・図:荒瀬 美由紀)最終更新:2006/01/05 Ver 1.0

*1:【黄金長方形】長方形から正方形を切り取ると、残りの長方形がもとの長方形と相似になっている図形のこと。

*2:【黄金比】黄金率、黄金分割とも言われ、人間が最も美しい・バランスのよいと感じる形を構成する比率のこと。


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