動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

アイスエイジ4

もう4作目なんだのう。
なんかマンモスの人の娘がでてきてラブストーリーっぽかったけど、
それはたいしてメインストーリーと関係無くて、
サーベルタイガーの人のラブストーリーのほうが本編っぽかった。
ヒロインが可愛らしい。
他の映画と比べると対象年齢がやや低い印象を受けた。

マーリー2

特にクローズアップしなかったけど、これは面白い。
あのマーリーの続編ってだけで面白いし、
なんかしゃべるわハイテクだわで、昔ディズニーでよく見た
ぶち壊し系の続編テイスト満載で、続編マニアの僕は大満足。
でも意外と楽しいので、怖いもの見たさで見るのは全然あり。

日本列島 いきものたちの物語

日本列島 いきものたちの物語 通常版 [DVD]

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日本の動物にスポットを当てたドキュメンタリーは、
案外気持ち良い物で、背伸びして見たこともない世界の動物を見るよりも、
楽に一体感を感じることができるということを、この作品を見て初めて知った。
飽きさせないように短めに切り貼りしてたので、
なんとなくテレビ番組のような印象を受けた。
手放しで面白かったかというとそこまででもないけど、努力賞だと思う。

長靴をはいたネコ

長ぐつをはいたネコ [DVD]

長ぐつをはいたネコ [DVD]

なんか異常にネコネコしかった。
ネコをかっこ良く描く作品はすごく好きなので、結構楽しんだ。
ヒロインとの対決シーンの緊張感とかっこよさは、動物映画名シーンの一つに数えてもいいくらい。
ネコへの熱い思いが映像で流れだすシーンを絶対みなきゃだめ。
とはいえ、ネコ映画ではやはり他に面白いものがあるのでやむなく選外にした。
過剰にネコネコしいものを見たかったらこれしかないなのは間違いないけど。

LOVEまさおくんがいく

これもなんかいわく言いがたい感慨のある映画。
動物バラエティのわざとらしさを再現するためか、
いかにもわざとらしく演技されているんだけど、
その「虚構の虚構」がだんだん現実を飲み込んでいく感じの怖さがあった。
その怖さがあったからこそ、アイドル動物を描ききったなあという余韻が残る。
動物映画というものが、どういうものかを感じられる作品の一つ。
もうひとつ言うと、この映画も、おおかみこどもの直前に公開されていた。

メリダとおそろしの森



これは、ちょっと特別で、うまく表現できないけど、
端的に言うと、「実は動物映画だった」系で、
「動物がちゃんとファンタジーしてくれている」系なんだけど、
そんなことより、ピクサーがこんな上品なファンタジー作品を作ってきたという事の方が、
僕にとっては印象深かった。
ディズニーが全部入りのすごいファンタジーを描くようになった今、
ピクサーも、「手元でちょっと曲げる直球プリンセス」で勝負を挑んできた。
その事実だけで、ディズニーファンを唸らせた作品。
だから、ほんとはここに書くのにはふさわしくないのだが、
動物映画である以上は比較をせねばならないのだった。
でも、ぜひラプンツェルと見比べてみてほしい。
本当は、同時期に公開されていたおおかみこどもこそ、
メリダと真っ向からその姿勢を比べられるべきと思うのだが。
アカデミー賞で認められてよかったね。

フランケン・ウィニー

犬をよみがえらせる話。
スタート地点がよくて、途中までは動物映画の論理がつながっていたのに
なんか急にしぼんでいった。
テクい内容だったけど、せっかく「変数がなんとか」とか言いかけたんなら
最後までやってくれよ、と思わざるをえない。
いい作品だったと思うけど、期待が大きかっただけにちょっと残念だった。

伏 鉄砲娘の捕物帳

伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)

伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)


この映画は、自分の中で全然終わってなかった。
少女浜路は江戸の街から犬のような怪物「伏」を鋭く見つけ出し、命を奪っていく。
その中で現れたイケメンの伏「信乃」を追ううちに、
伝説に語られる里見家の因果に巻き込まれていく、みたいな話で、
伏せの動きも壮快だし、
異種ラブストーリー好きだし、
通してみると、ちゃんと「動物を物語るということ」というテーマになっていたので、
いかんなあと思う点もいっぱいあったけど、結構いいもの見たなーと思ってた。



でも、どうもレビューとかを見てみると評価がめちゃくちゃ低くて、
みな、口を揃えて「原作のすばらしさをオミットしている代物」という。
そりゃ、気になるよってんで、原作も買ったのだった。
原作は、はっきり言ってすごく読みにくい。
児童文学読むことが多い自分には、文体が合わないということもあるけど、
前半の「贋作 里見八犬伝」がまるまる載っていたところで、力つきて
長らく読むのをやめてしまっていた。
そして、今回、レビューを書くにあたってまた読み始めてみて、
後半の、伏が語る物語にはいったとき、ようやく、この小説と、映画が理解できた。



映画は、原作を1から10までバラバラに分解して、
語り手をかえて、再び組み直したものだ。
小説と映画はこの物語の光と影。
つまり、この映画こそが、「贋作 伏」と呼ばれるべきものだったのだ。


小説は、人間と、伏が交互に語り合う物語をテーマにして、
その格子模様を誰かが外から眺めているような語り口だった。
その誰かは、とにかく論理的で、誤解を恐れ、正確な言葉を選んで慎重に物語っていた。
それに対して、映画では、ほぼ人間の側からの視点で、奔放に物語が語られていたように思える。
ただ、それを物語っていたのは誰だったかというと、そこに闇があって、
そこに伏たちの目があったのではないか。
これは、伏たちの口による、一人の人間と一匹の伏の物語だったのではないか。


小説中で、伏たちが、一つの歴史として「贋作 里見八犬伝」を読み、
魂を燃やし、自らのルーツを確認したように、
この映画を「一つの歴史」として見た、今を生きる伏たちが、
魂を燃やし、人間の世界で生きていく糧となる物語なのだろうと
そんな気がした。


いくらなんでもさすがにちょっと考え過ぎかなと思って最後まで読んでみたけど、
あとがきにもしっかり同じことが書いてあって、なんだか安心したよ。


動物映画として比べると、ほかにお勧めしたいものはあるのは確かだけど、
これも、すごく印象の良かった作品。