『まほろ駅前多田便利軒』

まほろ駅前多田便利軒 スタンダード・エディション [DVD]

　WOWOWでやっていたものの録画を観る。妻は三浦しをんの原作を読んでおり、是非ちゃんと見たい、とのこと。なぜ映画好きなのに、劇場で見なかったのかを問うと、予告編でさほど興味を覚えなかったのとすぐに劇場公開が終わっちゃったんだよね、とのことであった。
　今どきの俳優陣の中ではこの二人のコンビというのは異色だと思うが、つい先だって、『探偵はバーにいる』で松田龍平の相棒役を賞賛したばかりのぼくの眼には、やはりこの映画の行天役もある種の到達点であるかに見える。他の男優では追随できない個性を持っている。ぼくは彼に、松田優作のコミカルな部分を持っているように感じ、妻は彼が母・熊谷美由紀の眼を継いでいいるとの意見であった。
　原作にほぼ沿った内容、ときに「なんじゃ、これはー」などの原作にないサービス・シーンがあったりするのはご愛嬌、ってところか。
　いずれにせよ、便利屋と言いながら、卑しい街をゆく誇り高き探偵、って構図はハードボイルドそのものの骨格を持っており、そのあたりを意識して作られた映画ではないのかな、と現代の男たちが持つ傷痕を描いたビタスウィートなテイストを味わえる、とても好感の持てる作品でありました。