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Obra de Sobra よしなしごと このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-09-13

子供のアニメ離れと嗜好性の高すぎるアニメ

当分は成長するはずのアニメ産業

テレビアニメという事業が大きく伸び出したのはここ30年ほどだ。

現在、DVDを買うほどにアニメが好きな人の一番上の世代が40代くらいだろう。基本的に映像コンテンツは見るだけなので年齢が上がったとしても消費することに困難が生じることはない。そのため、30代40代になってアニメDVDを買うアニメファンは、おそらく50代60代になってもアニメを消費し続けるだろう。


100年の歴史がある映画とは違い、アニメ好きな人の最高齢が未だ40代ということは、時が経つにつれ新たに20代になったアニメファンがDVDを購入し始めることで市場規模は大きくなっていく。

少子化により若年層の人口が少ないため、成長が鈍化するかもしれないが安定して市場が成長していくのはほぼ間違いがないといえるだろう。


しかしながら、それは新たなアニメファンが過去と同様に生まれ続けることが条件となる。

今の子供がアニメを見ない、消費しないということになれば、今現在のアニメファンが消費を終えるまでの期間限定の産業となってしまう。


アニメを見る機会の減少

少子化の影響もあり、プライムタイムにアニメを放送しても視聴率が10%に届かなくなった結果、現在午後7時から10時の間に放送されるアニメはほとんどなくなってしまった。

その結果、土曜日曜の午前中に小学生までを対象とした子供向けのアニメが集中し、そして20代以上のDVD購入者向けのアニメが深夜に多数放送されている。


ここには、10代向けのアニメが存在しない。

深夜に放送されているアニメは中学生高校生が見てもおもしろいと感じるものも多くあるだろうが、いかんせん深夜1時2時では見ていられる時間ではない。

通常テレビを見ている時間(せいぜい深夜1時くらいまでだろうか?)にバラエティに飽きたからアニメを見よう、といった選択肢からははずれてしまいアニメファンの獲得プロセスにはなり得ない。


さらに、現状のDVD販売を中心としたアニメビジネスにおいて、テレビでの放送はDVD購入のための宣伝の役割を果たしているが、DVD購入をするようなアニメファンに遡及できれば良いため費用のかかるテレビ放送である必要はない。代替メディアとしてインターネットによる配信が期待されており今後インターネット配信が主流になる可能性も大きい。

インターネット配信は、オンデマンドで見たいときに見られるために、一旦好きになった人にとっては積極的により多くのアニメを見ることができるようになる。その反面、アニメが深夜放送からなくなると、テレビを中心として映像コンテンツを消費する一般人の選択肢からアニメがはずれてしまい、新たなファン獲得ができないという結果をもたらす。

中は広いけれど、間口が狭いという状態になってしまう。


アニメの内容的な変化

DVD販売を主としたアニメを作ろうとすると、どうしても購買力を持つ20代以上を対象とした作品となりがちだ。

その結果、ここ10年ほどでマニア向けの作品が非常に増えている。

DVDを購入するほどのアニメファンの数はアニメを好きで見ている人の数に比べて非常に少なく、その嗜好も偏っている。しかし、そのDVD購入者をターゲットにアニメを製作しなければならないため、年に100や200の作品が製作されるにもかかわらず、そのほとんどが「萌えアニメ」や「ロボットもの」となり、多様性が失われつつある。


新たな潮流は傍流から生まれるが、その傍流が存在し得ない状態になると、大きな変化が起きたときに一気に産業が転覆しかねない。


課題

現在は、個々の作品が利益を上げるための行動が多様性を失わせ、新たなアニメファン獲得の道を狭める結果となっている。この10年ほどは、それにも関わらずコアなアニメファンが1人当たりの消費額を増やしていったために市場全体の成長につながっていたが、それも所得の限界に達してしまい成長が鈍化している。

この先も成長を続けようとすれば、また、持続的な産業となるためには少数のファンの1人当たりの消費額を増やす方法の他に、広く浅く多くの人から収益を上げるようなシステム作りが必要となろう。


一般的な映像コンテンツの消費の場が6チャンネル程度の地上波テレビ局を中心である限りは、アニメファン獲得のためにテレビ放送がどうしても必要となる。そして、テレビ放送という形で無料で映像コンテンツを提供する以上、スポンサーからの広告収入を得るか他の方法で収益を獲得するしかなく、DVD販売やグッズ販売に頼らざるを得ない。しかし、少数だが声の大きな(=多くのお金を払う)客だけに目を向けていては、多様性が失われ、多くのお金は払えないが少額なら支払っても良いと考えている多数の潜在的な顧客から愛想を尽かされてしまいかねない。

一つの試みとして、路上パフォーマンスのような見ておもしろかったら自分が決めた金額だけ支払うという方法がとれないかと考えたりするのだけれど、ネット上の少額決済が困難なことや消費者の心理が読めないことから実現は難しそうだ。


参考リンク

ページが見つかりませんでした - 47NEWS(よんななニュース)

テレビ東京のアニメが子供にとってのファーストチョイスでないという声。


ページが見つかりません

中ほどに、会場での質問と岡田斗司夫氏の言葉。

エヴァンゲリオンでさえ、誰もが見る世代共通のアニメではない。


ページ移転のお知らせ

エヴァンゲリオンのプロデューサー大月氏の言葉。

オタク向けのアニメを作り続けた結果、中高生に見向きもされなくなってしまった。

(^ ^)(^ ^) 2007/09/14 08:05 私たちは間口が狭いから中に入ろうと決めたのです。
視聴者層のシフトが問題なら少子化も問題になるでしょう。
浅い考察で大きなカルチャーを総括的に語ることそのものが無謀だと言えます。
今まで、誰の懐に入る消費だったのでしょうか。食品やオモチャタイアップ作品が減ったことで
私は作品そのもののコンテンツ力は上がったと見ています。

crimsonstarroadcrimsonstarroad 2007/09/14 08:52 コメントありがとうございます。「浅い考察」とのご指摘ですが、私もそれは重々承知の上でブログを書いています。もしよろしければ、今後も色々指摘してください。
「間口が狭いから」というのは考えたことがありませんでした。アニメーションという表現が気に入ったからというよりは、他に比べマイナーな分野だったからこそ好きになった人もいるということでしょうか。
「私は作品そのもののコンテンツ力は上がったと見ています」というのは既にアニメが好きな人にとっては当然のことで、このエントリで問題としたのはアニメが他の映像コンテンツと同列だと考えている人にとってアニメが魅力的と言えるのかどうかということになります。

epsomepsom 2007/09/15 01:21 日本のアニメ産業の今後を考えることは、私の研究テーマの根幹でもありますので、今回のエントリについてちょっと気になった部分についてコメントさせて戴きます。

>オタク向けのアニメを作り続けた結果、中高生に見向きもされなくなってしまった

とありますが、私も中高生の時にはアニメは全く見ていませんでした。『マクロス』(TV版)で中断し、『エヴァ』で出戻って現在に至ります。現在の中高生のアニメ視聴率が、以前と比べて本当に劇的に下がったかどうか、議論の余地があるところだと思います。だいたい今は、TVには昔ほどの社会的な影響力はありませんよ(先日出たアンケート結果によると、地デジに完全に移行したらもうTVは見ないという人が3%くらいいるらしい)。視聴率からだけでは真実は見えてはきません。少なくとも製作側の意識としては、アニメは「中高生に」見てもらうために作っているとはいえるでしょう(企画書の対象年齢欄にはいつも「中高生向け」と記されています)。放送が深夜枠になってしまうのは局の編成と代理店の都合という純粋に「大人の事情」によるところが大きいかと。

それに現在は、以前とは比較にならないほど業界の産業構造も確立し(それでも完璧とまではいきませんが、昔はメディアミックスやタイアップというビジネス戦略も強くは意識されていませんでしたし、ファンドや海外とのビジネス提携といった形での外部からの資金の流入もありませんでした)、アニメを他の映像コンテンツと相対化して「エンタテインメント産業」として見たとしても、充分魅力的なカテゴリだと言えると思います。

結局は、もう、TVという媒体の枠内だけで議論を進めてはいけないということでしょう。他の媒体も視野に入れた上で、アニメ産業の形成にいかなる現実的状況が実際に関与しているかを考えて、今後どう変わっていくのか、変わっていくべきなのかを議論していかないと、本質を見誤ってしまうでしょう。

とはいえ、乱暴な言い方になりますが、諸悪の根源は製作される番組数が多すぎること、これに尽きると思います。私の主張は、今の1/3で充分ということ。それでも十年前の水準の1.5倍なんですけどね(その議論はウチのブログで追々やっていこうと考えてはいますが)。

市場規模に則した番組数で、画質や動きだけでなくストーリィやレイアウトに至る全般的なクオリティを上げ、それなりにアピール力のある作品をコンスタントに生み出していければ、ユーザと商品の関係性も強固なものとなっていくでしょう。少なくとも京都アニメーションのようなオペレーション(製作数は年に数本だが、アフレコの時に動画までちゃんと出来ていてクオリティも高い)でやっていこうとする制作会社があと5・6社出てきてくれないと、代理店と製作委員会にかき回されるだけかき回されて、後には何も残らないという事態になりかねません。

crimsonstarroadcrimsonstarroad 2007/09/15 05:34 ご意見ありがとうございます。参考になります。
「製作側の意識としては、アニメは「中高生に」見てもらうために作っているとはいえる」とのことですが、事実上20代以上のDVD購入者によって支えられていることも間違いがないわけで、そのあたりのゆがみが問題になるのかも知れませんね。
このエントリではテレビのことだけしか書いていないため説明不足なようです。過去のエントリで、現状のビジネス上は必要なくなるかもしれないが、新たなファンを獲得するためにはテレビ放送は外せない、という意見を書きまして、その続きという形で意見を述べています。

アニメが多すぎるという点については、ほとんど解決策がないように思いますが、なんとなく考えていることを別エントリを書いてみようかと思います。

benjyo-paperbenjyo-paper 2007/09/16 05:20 中高生にはマニア向け作品を見る眼力や嗜好がないということが暗黙として語られていること、「通常テレビを見ている時間について、録画視聴の視点が抜け落ちていることが見受けられます。以上を踏まえた上で質問させて頂きます。

まず、マニア向け作品の嗜好性とはどういうものでしょうか。次に、中高生向け作品の嗜好性とはどういうものでしょうか。
次に、録画機器の発展によって放送時間によらず、見る気になれば大抵の番組は見られるものとなっていますが、その点についていかにお考えでしょうか。

crimsonstarroadcrimsonstarroad 2007/09/16 09:35 コメントありがとうございます。
まず、前提の部分ですが。「中高生がマニア向け作品を見る眼力や嗜好がない」とは考えていません。20代の人がアニメを見ることでマニアになる可能性と現在の中高生がマニアになる可能性は変わらないものの、中高生の普段の生活の中でアニメを見るという選択肢が入って来ないため、新たなアニメファンの獲得が難しくなっていると考えています。

マニアとアニメが好きな中高生の嗜好の違いがあるのかと聞かれれば、正直よくわからないです。本文にも書いたように深夜のアニメでも中高生が見ておもしろいと感じるものも多いとおもいます。
嗜好性については、本文では曖昧になってしまった気もしますが、中高生のアニメを見る機会が減少していることとは別の問題として考えています。テレビゲームなどでも言われているのと同様に、少数のマニアックな人のためにより深い内容の作品を提供することで、ライトユーザーや将来の消費者になりうる人を寄せ付けないような体質になってしまうと、産業として先細りしてしまうのではないかということです。今放送中のアニメなども、「萌えアニメ」「ロボットもの」で半数を超えるのではないでしょうか。

録画機器に関してはインターネット配信と同様、「見る気になれば見られる」ということで、間口が狭いことの解決策とはならないと思います。

benjyo-paperbenjyo-paper 2007/09/16 21:32 回答ありがとうございます。

>アニメが他の映像コンテンツと同列だと考えている人
とありますが、そもそもアニメが他の映像コンテンツと同列だと考えていない人の方が一般的ではないかと思われます。それでも、たまに一般向けを意識した作品があって、それを見てくれる土壌はあると思います。

根本的な質問なのですが、10代向けの作品が存在しないと言い切っておられますが、10代向けとはどのような要素や作品を指すのでしょうか。

crimsonstarroadcrimsonstarroad 2007/09/17 05:26 10代向けのアニメが存在しないというのは、内容の問題ではなく、中学生高校生がテレビを見る時間帯に放送されるアニメがないという意味で使っています。
子供の頃アニメを見ていた人が10代でも引き続きアニメに接することで、20代になって高価なDVDを購入しようと思うようになるという形でのアニメファン獲得を考えたときに、10代がなんとなく見るアニメが少なくなってしまっているということです。

内容的なものを語る程の知識はないのですが、10代向けの作品とは、暴力的な要素や性的な要素、キャラクターの見た目から暗黙のうちに性格がわかるといったアニメのお約束、パロディを楽しむといった過去の視聴経験を前提とすることなどが少ないものと言えるでしょうか?

GETAGETA 2007/09/21 06:00 なるほど、10代がなんとなく見るアニメ、つまりクラスの話題として通用するアニメはほとんど無いのだろうと思います。
もともとアニメ好きで、日ごろからショップに通ったり雑誌を購読したりしている人には自然に入ってくる番組情報も、ただなんとなくTVを見たり番組欄を眺めているだけではたどり着きようもありません。まさにアニメ好き以外をふるい落としていると感じます。

crimsonstarroadcrimsonstarroad 2007/09/23 22:14 コメントありがとうございます。「なるほど」と言ってもらえると嬉しいです。
フジテレビ系列の「ノイタミナ」枠のようなものが23時台や24時台前半にできるといいなあと思ってたりします。

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