ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2004-05-17(Mon)

[]『ゴッド・ディーバ』(エンキ・ビラル監督) 『ゴッド・ディーバ』(エンキ・ビラル監督)を含むブックマーク

   ニコポル三部作〈2〉罠の女 (ニコポル三部作 (2)) (これは原作?の表紙)

 実は、もうコレを見てから一週間位経つんだけど。

 とりあえず、この邦題はカンニンしてほしい。原題は『IMMORTAL (AD VITAM)』だし、誰も歌なんか唄わないぞ、この映画。それに、少なくとも「ディーヴァ」と表記してくれ、というのはムリな注文だろうか。

 とりたててストーリーが面白いとか、そういうもんでもないのだけど、いかにもヨーロッパの作品らしい、作家性を貫いた映像が、総体として見ていて面白かったのね。「いったい次はどんな絵が出てくるんやねん」てな興味が、とりあえず私の場合、この本編上映時間104分の間、とぎれることなく持続したんだから、チケット代は充分に回収できた。

 ま、この作品に出てくるニコポル(トーマス・クレッチマン)という造型は、かなり前作『ティコ・ムーン』の主人公とかぶってくるし、全体の設定もその前作を引きずっている部分が大きい。ただ、この『ゴッド・ディーバ』の物語でうまく行っていたのは、「キリスト教」原理を一切捨てて、神という概念にエジプトの神々を借用し、ギリシャ神話の神たちのようにやたら人間くさい振る舞いをさせていたあたりにあるんじゃないかな。神様、モノポリーで遊んでるし。

 まあストーリーの事はさっと忘れて、この「絵」ですね。いきなりのピラミッドにエジプトの神々というのにもやられたけれど、この21世紀の終末(これも次の世紀末)のニューヨークの町の描写も美しい、とわたしは思った。多少『フィフス・エレメント』とかとかぶる気はするけれど、フランス映画はフランス映画で結託するのも悪くはないんでしょう。

 で、この映画には生身の俳優は3人*1しか出てこなくって、あとは皆CGで描かれたミュータントみたいな人物とか妖怪みたいのばっか。‥‥どうも、一般の観客にはこのCGの人物がものっすごく不評なようなんだけど、ちゃちすぎるって言うんですか。どうも、このあたりが同時公開中で大ヒットしてしまっている『CASSHERN』と比較されて負けちゃってるところではないかと思うんだけど、生身の俳優を使って画像処理してCGっぽくしてしまった『CASSHERN』と勝負されたら、(好き嫌いは別にしても)リアルさではそりゃあ負けるだろう。でも、この『ゴッド・ディーバ』、そんなリアルさなんかはなっから求めてなんかいないだろうに。ちょっと古い作品だけど、『ロジャーラビット』でしょ。コレ。

 わたしなんか、あの中国系のギスギスした議員秘書の女性のキャラなんか大好きなんだけど。

 近年のSFって、ある程度「将来現実化してしまうかも知れない」という、予想されうるリアリズムとでもいったモノを基調としている場合が多いのではないかと思うけれど、この映画では、そのSFの「(フィクション)」という言葉が字義どおり徹底されていて、ま、そこにフィクションとしての神話的事象を配していってるんでしょ。そういったフィクションから出発しているからこそ、CG造型の基本にエンキ・ビラルの作家性が色濃く反映されているのではないだろうか。

 そうそう、しばらく前に見た押井守の『イノセンス』にしても、一番面白かったのは、北の果ての地の、ドイツ・ロマン派とかウイーン幻想派みたいな洋館での、時間的トラップのシークエンスだったな。

 でも、押井守の場合残念なのは、そのような描写において、ちょっとオリジナリティに欠けるというか、そういった規範からの引用めいてしまう、という事だろうか(ハンス・ベルメールと言われてもねぇ‥‥)。そのあたりは、バンド・デシネとしてのキャリアも豊富で、ヨーロッパでは舞台美術なども手がけているエンキ・ビラル、こちらの方が作家としての独創性では一日の長があるのではないか。


 ちょっと時間がまたなくなってしまった。続く、かも知れない。

[]『鉄人28号』TV東京:毎週水曜日:25:30〜26:00 『鉄人28号』TV東京:毎週水曜日:25:30〜26:00を含むブックマーク

 これは自分のための覚書。忘れないで見ようっと。

*1:過去のないヒロイン、ジルを演じるリンダ・アルディ、それとトーマス・クレッチマン、そして妙な医学者を演じるシャーロット・ランプリング

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