ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2004-05-23(Sun)

[] UA at 渋谷公会堂  UA at 渋谷公会堂を含むブックマーク

 UAのアルバムとか持っているわけではないのだけれど、ちょっとこの人のライヴは前から気にかかる所があったので、友だちと行って来た。その、気にかかる、というのは、例えば今回のサポートミュージシャンの名前から見てとることもできる。こんなメンバー。

Guitar:内橋和久
Bass:鈴木正人
Drums:外山明
Sax:菊池成孔
Trumpet:佐々木史朗
Keyboard/Clarinet:清水一登

 とにかく、その新譜が発売されればCDショップの店頭にずらりと並んでしまう、そんな人気アーティストのバックミュージシャンにこんな名前が並んでしまうのにはちょっと驚いてしまう。いや、実は彼女のCDを持っているわけではないので、レコーディングの際のミュージシャンとどのくらいかぶっているのか、今のわたしに確かめる術はないのだけど、去年の彼女のツアーではチェロの坂本弘道さんも参加されていた事など考えると、レコーディングとは別のコンセプトでライヴ・ツアー用のミュージシャンを選択しているのではないだろうか。

 菊池成孔や外山明は、この種のセッションにもよく顔を出す(というか、どこにでも出て来る)人たちだから、何げに納得も出来るけれど、Ground Zeroのメンバーであり、『維新派』の音楽を毎回担当されている内橋和久、Areposなどで、地味ながら息の長い活動を続けておられる清水一登の起用など、わたしにはうれしい限りの人選だ。

 舞台は、床からバックにかけて、撮影所のホリゾントのような形で、真っ白にスクリーン(?)がセットされている。で、ここに、曲によってはプロジェクターからアニメのような映像が映写されるのだけど、3曲目ぐらいに『情熱』が歌われた時、このスクリーンに映写された映像が、先日イメージフォーラム・フェスティヴァルのロビーで見た石田尚志の作品だったのにはびっくりした。他の作品に見覚えのある作家の作品を特定する事は出来なかったけれども、おそらくはどれも活動中の映像作家の作品を映写していたのだろう。

 バックミュージシャンの選択といい、映像の選択といい、このツアーのディレクションはどのようになされているのだろうか。そんな興味が拡がってしまうのだけれども、当然UA自身の意向も反影されているのだろうし、それをサポートするスタッフも存在するのだろう。なるほど、ポップのフィールドの歌手のライヴとしては極めて異例な(といって、他のポップな歌手のライヴを見ているわけではないけれど)、じつに興味深いライヴではあった。

 舞台装置に合わせた白い衣装で現れたUAは、バックの音に声で対抗して一つのトータルなサウンドを産み出そうとしているみたいだ。このメンバーでの音はフュージョンを思わせるモノで、わたしなどはチック・コリアのバンドの音などを思い浮かべてしまったけれど、どの曲もCDとは異なったライヴ用の編曲がなされていた事は言うまでもない。

 このライヴの前半では、そのUAの声と自己主張の強いバックの音とが、今一つ噛み合っていなかった気もするのだが、ミュージシャンが曲ごとに一人ずつ舞台を去り、ギターとリズムセクションになってしまったあと、再びミュージシャンが全員勢ぞろいしてからの後半には先の不安はすっかり消え去り、実に素晴らしいライヴが繰り広げられた。時にブラジル、時に沖縄とその色彩を変える亜熱帯的な音世界の2時間近い展開を堪能。そのラストは管楽器3本だけをバックに、昔のビョークの音を思い出させる静かな熱のこもった歌唱で終わる。わたしの希望として、いつまでもこの路線で活動してほしい。また機会があれば彼女のライヴを体験してみたい。‥‥はだしのディーヴァ、ね。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/crosstalk/20040523
   3267014