ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2011-12-07(Wed)

[] 「原爆の子」(1952) 新藤兼人:脚本・監督  「原爆の子」(1952) 新藤兼人:脚本・監督を含むブックマーク

 冒頭などに、この1952年というときの広島のようすが映され、ちょっと貴重なドキュメンタリーという感覚をおぼえる。作品は一九四五年に広島で幼稚園で園児を教えていた乙羽信子が、七年のときを経て、生き残った三人の園児をたずねて広島を訪れるというもの。原爆症で死んでいく少女、そしてさいごの滝沢修演じる老人とその孫との挿話がつらいけれど、演出には明るさと希望を前面に打ち出そうとする意志が強く感じられる。乙羽信子が連絡船で広島に向かうとき、船の甲板には東野英治郎が牛を連れてしゃがんでいて、乙羽信子にしゃべりかける。それでその連絡船の船長は殿山泰治である。なんて楽しい連絡船だろう。

 冒頭の原爆投下の惨状の描き方は、がれきなどではなく、これを若い女性を主にした人体のショットの蓄積で描いていて、おそらくは丸木位里・俊夫妻による「原爆の図」に大きくインスパイアされた演出なのではないかと想像する。短いけれども、映画表現として強烈なインパクトだった。

 この時代にまさに並行して、広島は「仁義なき戦い」の舞台にもなっていたと思うと、なんとも複雑な気分にはなってしまうのである。


 

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