ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2011-12-12(Mon)

[] 「飾窓の女」(1944) フリッツ・ラング:監督  「飾窓の女」(1944) フリッツ・ラング:監督を含むブックマーク

 ようやく観た、フリッツ・ラングのハリウッド時代の名作と評判の作品。エドワード・G・ロビンソン演じる大学の教授(さいしょは助教授で、そのあとに教授に昇格するという展開)が、友人たちとあうクラブの外の窓に飾られた肖像画をみていると、その肖像画のモデルの女性が彼のうしろに立っていて‥‥、という導入部のはなしは知っていたのだけれども、もっと「老いらくの苦い恋ごころ」とか、そういうものを描いた作品だと思っていた。そういうのではなくって、これはコーエン兄弟のデビュー作「ブラッド・シンプル」みたいな、ふと犯してしまった殺人を隠ぺいし、完全犯罪をもくろむ男が、あれこれと思わぬ障害に出会い、あれこれと不用意なドジを踏みそうになって、情況は二転三転していくというお話で、「果たして彼は隠しおおせるんだろうか」という緊張感でさいごまでひっぱっていく。女性(ジョーン・ベネット)がもっとファム・ファタールぶりを発揮するのかと思っていたけれど、犯罪隠ぺいという主題の影で、主人公の女への執着はあまりおもてにはあらわれて来ない。どちらかというとその「犯罪隠ぺい」という目的を達するためのパートナー、という存在であって、主人公が彼女に惹かれているのかどうかということはどうでもよくなってしまう展開だった。

 事件の真相を知る脅迫犯に脅迫された女が主人公に知らせて、どこかのビルのエレヴェーター・ホールで密会するところの、しょっちゅうエレヴェーターが上下するシチュエーションの演出などおもしろいし、ラスト近く、女が主人公に電話するために夜道をかけるシーンでは、観ている方も「はやく、はやく。間に合わないよ」と感情移入してしまう。ラストは、ありゃりゃりゃりゃ、というおなじみのオチになるけれど、しかし、「ソロモンの雅歌」みたいな官能的な書物を読みながらうたた寝して、こんないろごとにかんけいのない夢をみるのかねえと、主人公がかわいそうになってしまうのであった。ってわたし、ラストのオチをばらしてしまいましたね。





 

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