ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2016-07-31(Sun)

 今日はしごとは非番で休みなのだけれども、五時半ごろに目が覚めてしまった。普段なら「もういちど寝よう」とそのままベッドから動かないのだけれども、この日はもう起きてしまうことにした。しばらくテレビなど見てぼんやりしていると、六時になって外で「ドーン」という音がひびいた。そう、今日はこの地の祭りの最終日で、六時から「川渡御」が行なわれる。その合図花火の音だった。
 わたしもこの町に来て十年からになるけれども、この「川渡御」というのは今まで見たことがない。せっかくこの時間に目覚めたことだし、いちどぐらいは見ておいてもいいだろうと思い、のんびりと出かけてみることにした。

 朝食をすませてから、七時ごろに家を出て歩く。空は晴天だし、まだ朝早いので暑さも感じない。いい散歩である。同じ方向に歩いて行く人が何人かいて、きっとその人たちも川渡御を見に行かれるのだろう。
 川渡御の行なわれる場所に近づくと、川沿いに大ぜいの人が集まっていた。まだ本番までには少し時間があるようだ。人の集まった先の橋の上にクレーン車が置かれていて、その近くに神輿がある。つまり、クレーンで神輿を持ち上げて川岸に降ろすのである。昔は河原の土手を越えて人が担いだまま川に突入したのだろうけれども、今は護岸工事されてしまっているので、ダイレクトには川に行けないのである。ちょっと残念な演出ではあるけれども、無理なものは無理である。

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 わたしが行ったのはちょうどいい時間だったようで、すぐに神輿がクレーンで吊り下げられ始め、川の中へと降ろされて行く。下で若衆らが待ち構えていて、降ろされた神輿に手をかけて神輿にかけられていたワイヤーが外される。本番開始。

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 まあ、壮大な水遊びをやらかしているという感じではあるけれども、納涼感というものはある。都会では人が入れるような川もないだろうから、地方色にあふれた夏のイヴェント、というところだろうか。あまり長居しないで家へ帰ることにした。

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 今日は東京都知事選挙の投票日。ネットを閲覧していると、もう結果はわかってしまっている。今回の選挙戦では革新側にもいろいろと問題があったし、勝てるわけのない選挙だった。わたしは都民ではないとはいえ、日本の首都、最大の人口を抱える都市の長が、保守というよりももっと右寄りの存在になってしまったということは、日本の今後に大きな影響を与えることになるだろうし、この国がさらに右寄りにシフトしてしまうだろうという危惧がある。


 

[]「シャッター アイランド」(2010) デニス・ルヘイン:原作 マーティン・スコセッシ:監督 「シャッター アイランド」(2010)   デニス・ルヘイン:原作 マーティン・スコセッシ:監督を含むブックマーク

 「これは初めて観る作品だろう」と思っていたのだけれども、この作品もまた過去に観たことのある作品だった。これっぽっちも記憶していない。

 原作はデニス・ルヘインという人で、この人は先日観た「ミスティック・リバー」の原作も書いた人らしい。この二作に共通するある種の救いのなさは、「イヤな感じのミステリー(イヤミス)」とも分類される作品を書かれる作家ということになるのか。わたしは好きだし、邦訳もかなりの数出ているようで、地元の図書館にも数冊在庫している。こんど読んでみようかとも思う。

  この作品については、「この映画のラストはまだ見ていない人には決して話さないでください」ということらしいのだけれども、そういうルールは破ってしまうと思う。
 この「シャッター アイランド」の主役はレオナルド・ディカプリオ演じる連邦保安官のテディで、終始彼の視点のみで描かれた、つまりは一人称映画。テディは相棒のチャック(マーク・ラファロ)と共に、フェリーでボストン沖にある孤島へと向かうところから映画は始まる。その孤島には精神病院があり、精神異常の犯罪者が強制収容されていて、まるでアルカトラズ島のように脱出不可能とされている。その病院からレイチェルという女性がこつ然と姿を消したという。その捜査のためにテディとチャックは赴任して来たのであるという。これがまず、どうも腑に落ちない。そんな、連邦保安官が二人も赴任するほどの事件なのか? 単に島内を探しまわって、あとはフェリーに乗って島から脱出した可能性を調べ、それでわからなければ「彼女は脱走したけれども海で溺死した」という判断でもいいのではないのか? 
 じっさいに病院長のコーリー医師(ベン・キングスレー)はそこまで大騒ぎしていなくって冷静ではあるし、しかもなんと、翌日には、行方不明だったレイチェルは戻って来ているのである。あれだけ脱出不可能と思われた病棟からどうやっていなくなり、どこに潜んでいたのか? そういう説明はなされぬまま、ただ島を襲うハリケーンのためにテディらは島から出られないのである。まるでつじつまが合わない展開である。この展開を説明するのはただひとつ、テディ自身がその精神病院の患者であり、ストーリーのほとんどはそんなテディの妄想なのだろうと。それしかない。そう思って観始めると、とにかくはすっきりする。テディは死んだ妻の幻影をひんぱんに見ることになるし、その妻を焼死させた放火魔のアンドルーという男がこの島に収容されているという。レイチェルが残した書き置き「4の法則 誰が67番目?」の「4の法則」のことはわからないけれども、収容患者数66人というその病院で、67番目の患者とはまさにテディその人のことなのではないかと。そうやって観て行くとたいていのことは説明がつくのだけれども、ではテディの相棒のチャックとは誰なのか? というのがわたしのわからなかったところ。妄想というにはリアルな存在のようだし、なぜこつ然と姿を消してしまったのか、このあたりをどう解釈するかというのはわからなかった。
 しかし終盤にまさにすべてはテディの妄想だったと明かされ、わたしの推測したように彼は病院の患者だったことがわかる。そして、チャックの正体もそこで判明することになる。‥‥そうだったのか。なるほどね。

 しかし、けっきょくこの映画って、「どこで謎がわかるか」という謎解き映画なのだろうか。ちょっとそのあたり、「謎」を越えて観るものを引きつける力には欠けていたようには思う。

 ラストにそのテディのことばとして、「モンスターとして生きつづけるか、善人として死ぬか」ということが語られるのだけれども、この部分、昨日観た「その土曜日、7時58分」のラストのことを思い浮かべてしまった。はたして錯誤と罪の中で生きた人間は、生き伸びた方がいいのか、そのまま死んでしまった方がいいのか?

 この作品、映像として思い浮かべたのは「薔薇の名前」だった。この精神病院はまるで「薔薇の名前」に登場する修道院のようだし、重症患者が収容されているという「C病棟」の内部や、手術室があるという灯台の内部は、まさに「薔薇の名前」でのあの図書館を思わせられる「迷宮」だった。ベン・キングスレーの医師はどこか「薔薇の名前」でのベルナール・ギー(F・マーリー・エイブラム)を思わせる風貌だったし、「薔薇の名前」での図書館長ホルヘを思わせる存在として、この「シャッター アイランド」にはマックス・フォン・シドーが出演していたではないか。
 そう、音楽にペンデレツキやリゲティ、そしてジョン・ケージなどの現代音楽が多数使われていた。イーノの曲もあったけれども、一曲、ティム・ホジキンソンの曲も使われていたようなのにおどろいた。まあどこで使われたどの曲なのかはまるでわからないのだけれども、こういう選曲もロビー・ロバートソンによるものなのか。

 

[]二〇一六年七月のおさらい 二〇一六年七月のおさらいを含むブックマーク

舞台:
●アパラタス3周年 アップデイトダンスNo.37「夜」la nuit 勅使河原三郎:演出・照明 佐東利穂子・勅使河原三郎:出演 @荻窪 カラス・アパラタス B2ホール

映画:
●「マジカル・ガール」カルロス・ベルムト:脚本・監督
●「第一アパート」(1992) 井土紀州:脚本 井土紀州+吉岡文平:監督
●「百年の絶唱」(1998) 井土紀州:脚本・監督

美術:
●「松本零士展 ―夢の彼方に―」@筑西市・しもだて美術館

読書:
●「才智あふるる卿士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 前篇」ミゲル・デ・セルバンテス:著 会田由:訳
●「アメリカの没落」アレン・ギンズバーグ:著 富山英俊:訳
●「動物という文化」日高敏隆:著

DVD/ヴィデオ:
●「疑惑の影」(1943) アルフレッド・ヒッチコック:監督
●「三人の名付親」(1948) ジョン・フォード:監督
●「波止場」(1954) エリア・カザン:監督
●「騎兵隊」(1959) ジョン・フォード:監督
●「シャレード」(1963) スタンリー・ドーネン:監督
●「シャイアン」(1964) ジョン・フォード:監督
●「ハズバンズ」(1970) ジョン・カサヴェテス:脚本・監督
●「ジョン・カーペンターの要塞警察」(1976) ジョン・カーペンター:音楽・脚本・編集・監督
●「アルカトラズからの脱出」(1979) ドン・シーゲル:監督
●「ペイルライダー」(1985) ブルース・サーティース:撮影 クリント・イーストウッド:監督
●「キリング・ゾーイ」(1993) ロジャー・エイヴァリー:脚本・監督
●「クリムゾン・リバー」(2000) マチュー・カソヴィッツ:監督
●「インソムニア」(2002) クリストファー・ノーラン:監督
●「ミスティック・リバー」(2003) デニス・ルヘイン:原作 ブライアン・ヘルゲランド:脚本 トム・スターン:撮影 クリント・イーストウッド:音楽・監督
●「ブラザーズ・グリム」(2005) テリー・ギリアム:監督
●「その土曜日、7時58分」(2007) シドニー・ルメット:監督
●「Dr.パルナサスの鏡」(2009) テリー・ギリアム:脚本・監督
●「シャッター アイランド」(2010) デニス・ルヘイン:原作 マーティン・スコセッシ:監督
●「アンナ・カレーニナ」(2012) レフ・トルストイ:原作 トム・ストッパード:脚本 ジョー・ライト:監督
●「マジック・イン・ムーンライト」(2014) ウッディ・アレン:脚本・監督
●「チャイルド44 森に消えた子供たち」(2015) トム・ロブ・スミス:原作 ダニエル・エスピノーサ:監督
●「クーデター」(2015) ドリュー・ドゥードル:製作・脚本 ジョン・エリック・ドゥードル:脚本・監督
●「祇園囃子」(1953) 川口松太郎:原作 依田義賢:脚本 宮川一夫:撮影 溝口健二:監督
●「グラマ島の誘惑」(1959) 飯沢匡:原作 川島雄三:脚本・監督
●「肉弾」(1968) 岡本喜八:監督
●「復讐するは我にあり」(1979) 佐木隆三:原作 今村昌平:監督
●「復讐 運命の訪問者」(1997) 高橋洋:脚本 黒沢清:監督
●「復讐 消えない傷痕」(1997) 黒沢清:脚本・監督
●「苦役列車」(2012) 西村賢太:原作 いまおかしんじ:脚本 山下敦弘:監督
●「さよなら渓谷」(2013) 吉田修一:原作 大森立嗣:監督
●「私の男」(2014) 桜庭一樹:原作 熊切和嘉:監督
●「ロマンス」(2015) タナダユキ:脚本・監督

 

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