ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

■ 2018-03-29(Thu)

 朝の天気予報では、「今日はほとんど初夏の陽気」といっている。「それではそういう初夏の装いで行こうか」と、半袖Tシャツにジャケットをひっかけただけで家を出る。たしかに、こんな早朝のまだまっ暗な時間でも、そこまでに「肌寒い」というわけでもない。仕事をやっているあいだに日も昇り、予報通りに暖かくなってきた。

 今日はいろいろと予定を立てている。仕事を終えてまずさいしょに千駄木で途中下車し、「去年もチケットを買いに来たなあ」という、「水族館劇場」のチケットを取り扱っている古本屋へ。その古本屋の前に行ってみるとシャッターが閉まっていて、「しまった! 今日は定休日だったのか!」と思ったが、すぐに内側からシャッターが開けられる。ちょうど十二時で、開店の時間だったのだ。ナイスタイミングだったというか、もうちょっと早く来ていたら、あきらめて出直そうと考えていたところだった。‥‥チケットを買って、しばらく店内の棚を見て歩いたけれども、「この古本屋はちょっと価格設定が高いな」という印象で、何も買わずに店を出た。

 今日はこのまま上野まで歩いて都美術館で「ブリューゲル展」を観て、そのあと同じ美術館内の「人人展」に行き、出品しているJさんと会って、夜は湯島あたりで飲む予定。長丁場になるのでいちど帰宅してから出直そうか、とも思ったのだけれども、それでは微妙に時間が足りない。それでダイレクトに仕事の帰りに来てみたのだけれども、逆に時間はたっぷりある。久々に谷中界隈を歩いてみよう。

 不忍通りを渡って谷中方面に歩く。気候は暖かく、薄着して来て正解だった。千駄木から谷中への道はわたしもむかし住んでいたこともあり、よく知っている道。まずは「よみせ通り」を歩くが、この道はむかしっからほとんど変わっていない。今日は欧米系の外国人のグループが多いな。路地で三毛のネコをみかけた。ちゃっちゃっと逃げて行く。

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 さらに歩いて、これが谷中銀座に入ると、とたんにすっごい人波。谷中銀座は古くからの店もいっぱい残っているけれども、新参の「猫グッズ」を売るような店が増えている。街全体がオープンなネコカフェという売り方なのだろうけれども、ネコたちはどこかに隠れてしまっている。これだけの観光客、それは当然だろう。さっき三毛をみかけたのはラッキーだった。

 日暮里駅方向に上がり、上野方面へと右に曲がる。このあたりはむかしと変わらない店が並んでいる。わたしはこの先にある中華の店で昼食を取ろうと思っていたのだが、気づかずに通りすぎてしまった。このあたりで歩く外人観光客が谷中墓地の方へ行くので、「そうか、谷中墓地の<桜>だよね!」と思い、わたしも谷中墓地の方へ歩いた。

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 ‥‥すごい! 壮麗。谷中の桜はこんなにすごかったのか。上野公園に比べて道幅も狭いから、まさに「桜のトンネル」で、もう散り始めた桜の花びらが情緒を高める。「ツィゴイネルワイゼンだ!」と、声を出しそうになる。

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 上野への道、久しぶりに「SCAI THE BATHHOUSE」にも寄ってみた。このあたりは花見目当ての人がいっぱいなんだけれども、「SCAI THE BATHHOUSE」に立ち寄ってみようという人はまるでいない。ギャラリーに来る人はたいてい、さいしょっからこのギャラリー目当てで来ているようだ。今はメキシコの作家、ボスコ・ソディの個展。土、植物からの作品が大地を感じさせる。桜のシーズンに似合った展示だと思った。

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 上野公園に到着。こちらも花見客でなかなかの人出。時間も一時を過ぎ、そろそろ空腹である。「都美術館のレストランへでも」と行ってみたけれども、レストランの外には席の空くのを待つ人が行列をつくっているし、今の都美館レストランはわたしの知っているむかしのレストランと違って、ちとばかし高級指向というか、つまり「高い」のだ。これは科学博物館でも国立博物館でも同じことだろうと思い、つまりは「上野公園の外に出ないとダメだな」と考えて、科学博物館の脇の道から北へ歩き、JRの線路をまたいで北上野へ出てみる。ずっと歩きづめで、いささか疲れても来た。

 昭和通りに出るとすぐにエスニックの店が見つかり、迷わずドアを開ける。どうやらメキシコ料理の店で、ランチメニューの「タコライス」とビールを注文。ワイルドながらなかなかに美味で、満腹になった。これから上野に出てきたときはまた、この店まで来てもいい。

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 ゆっくりと食事を終え、「ではブリューゲル展を観ましょうか」と、再び上野公園へ戻り、再び都美術館に。この展覧会も今週末で終わるのだけれども、そこまでに混み合ってはいなかった。感想は下に。
 ブリューゲル展をゆっくりと観てまわったので、出たときにはもう四時半に近い。「ちょうどいい」と、同じ館内の「人人展」会場に移動。受付にすわっていたJさんともすぐに会うことができた。

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 この「人人展」も、もう何年も観つづけているのだけれども、今年の展示は今まででいちばん良かったような印象がある。今まではどこか「アンデパンダン」、「何でもあり(宝玉混合)」という印象もあったのだけれども、今年は「一作家一壁面」という感じの展示が徹底し、ミニ個展の集合を観ているようなところがあり、それぞれの作家の作品をじっくりと観ることができた気がする。いくつか、「この人の作品はいいな」と惚れ込んでしまうようなものにも出会えた。今年はJさんの他にも、わたしの知り合いのKさんも出品していたし、Jさんの作品もKさんの作品もとってもよかった。

 「人人展」は同時期に湯島の画廊で並行して「小さな人人展」をやっていて、都美館が閉館になったあと、Jさんとその湯島の画廊へと歩く。そちらにはKさんもいらっして、うれしい再会である。Jさんの知り合いのLさんもいらっして、その四人で「飲みに行きましょう」という流れになる。ほんとうは毎年Jさんと行く居酒屋「A」に行くつもりで歩いたのだけれども、途中に「こんなところにも居酒屋があったんだ」という、こじんまりした良さげな居酒屋があったので、「この店にしましょう」ということになった。これがなかなかにいい店で、料理もとても美味だったし、雰囲気も悪くない。わたしも「この店ならまた来たい」と思える店だった。まさにいろいろと話に花が咲き、実に楽しい飲み会になった。会計もこれは「激安」という感じ。

 帰りは皆で上野駅まで歩こうということになり、Kさんのリクエストで、不忍池を弁天堂経由で横断する。夜桜が美しかったし、ライトアップされた弁天堂も格別だった(写真を撮り損ねた)。

 いろいろと歩きまわったりして疲れはしたけれども、生きる活力を得たような、ハッピーな一日になった。Jさん、Kさん、Lさんに感謝。


 

[]「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」@上野・東京都美術館 「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」@上野・東京都美術館を含むブックマーク

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 わたしはこの展覧会のことは先にあまりチェックしていなかったのだけれども、勝手に、ピーテル・ブリューゲルの作品がそれなりに来ているのかな?と思い込んでいた。‥‥そう思い込んだのには理由があって、以前何かの記事で、日本のテレビ局かどこかがウィーン美術史美術館と十年間だかの提携をして、これから先、そのウィーン美術史美術館の作品がど〜んと日本に貸し出されるのではないかという期待があったわけ。その第一回が先年の「クラーナハ展」だったわけで、「ウィーン美術史美術館」といえば数の少ないピーテル・ブリューゲルのコレクションでも有名、去年のそのブリューゲルの「バベルの塔」展で来た作品もウィーン美術史美術館所蔵のヤツではなかったから、今回はそのピーテル・ブリューゲルの作品が何かしら来てるんじゃないかと、勝手に思い込んでいた。それで勝手に期待してこの展覧会を観たのだが‥‥。

 ‥‥これが、大きなまちがいだった。あとで調べたら、その「ウィーン美術史美術館」と十年間のパートナーシップを締結していたのはTBSテレビで、今回のこの「ブリューゲル展」の主催は「日本テレビ/読売新聞社」なのだった。そういうわけで、ウィーン美術史美術館からの借り受けはなし。期待していたピーテル・ブリューゲル(父)の作品は、版画の下絵とか工房作品とか、期待に答えるような作品ではなかったのが残念。

 しかも、この展覧会全体の出品作品の、そのほぼすべての作品が「個人蔵」の作品であって、それは「個人蔵」の作品がクオリティが落ちるとはいいたくはないけれども、でも多少はいいたいのだな〜。いったいどうして、ここまでに「個人蔵」作品にかたよった展覧会を開催出来たのか、そのことにもある意味ではおどろくのだけれども、あまり感心することも出来ない同時代の作家の作品展示を含め、正直いって「イマイチ」という展覧会ではあった、と思う。

 そんな展示の中で、いちばん見ごたえがあったのは、ピーテル・ブリューゲルの息子(2世)による父親作品の模写作品群とかだったのだけれども、その中でもよかった「鳥罠」という作品、「なんか見たことあるよな〜」と思ったら、別ヴァージョン(というのか)作品が、すぐお隣の西洋美術館の常設でいつも展示されている所蔵作品だったわけで、ま、美術研究家が借りて観ることに意義はあるのかもしれないけれども、一般観客からすれば「まるで同じに見える作品をわざわざ海外から借りてきて展示しなくっても、西洋美術館から借りれば良かったじゃん」とも思うわけで、さもなくばその西洋美術館の所蔵作品を並べて展示して、互いを観比べさせるみたいな展示にすれば良かったのに、などとは思う。

 ブリューゲルの子孫のヤン・ブリューゲルというのは花の絵で著名だったらしいのだけれども、展示されていた彼の花の絵は「概念」で描かれた絵で、いってみれば今の時代のクリスチャン・ラッセンのイルカの絵みたいなもので、ま、そこまで酷くはないというか観るところはあるのだが、わたしにはそんなに感心するものではなかった。

 お父さんブリューゲルの系譜も、時代を下るとどんどんデッサンもおかしくなって「下手」になってしまうし、ある面で、「才能ある(というか<天才>だね)父親の絵画才能的な遺産を、その子孫らがいかに食いつぶしたか」という悲惨なドキュメントを観る思いでもあった。残念ね。

 

 

 

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