ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

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■ 2018-11-28(Wed)

[]「夢の女」W・コリンズ:著 柴田元幸:訳(「エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 憑かれた鏡」より) 「夢の女」W・コリンズ:著 柴田元幸:訳(「エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 憑かれた鏡」より)を含むブックマーク

        

 この短編集を本屋で見て、「コレを買うぞ」と決めたのは、このウィルキー・コリンズの作品が収録されていたからなのだけれども。
 しかしわたしはウィルキー・コリンズってもっと早い時代の、18世紀に近い時代の人かと思っていたけれども、そういうわけでもないみたいだ。

 「夢の女」。いかにもそそられるタイトルで、同時代のロマン主義小説を思わせられるのだけれども、この短篇はそういう「ロマン主義」の180度裏返しというか、夢に登場した女性は、それをみた男性の「理想の女性」ではなく、その男性を殺めようとする女性なわけである。これでおかしいのは、当事者の男性はめぐり会った女性がかつて自分がみた悪夢に出て来た女性なのだということにまるで気づかず、その悪夢のことを「こんな怖い夢をみた」と話して聞かされた男性の母の方こそが、「その女はまさに、息子の悪夢に出て来た女ではないか!」と気づいて、息子に「あの女と結婚してはいけません!」というあたり。けっきょく男性はその「夢の女」と結婚してしまうのだけれども、それからの顛末は「恐怖譚」というよりは「悪妻物語」という感じで、そ〜んなに怖いお話、というわけでもない。やはりウィルキー・コリンズは、同時代のロマン主義文学にあらわれる<理想的女性>としての「夢の女」というものを茶化してみせたのではないのか、そんな気がする。


 

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