ワニ狩り連絡帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード

       

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■ 2018-12-19(Wed)

[]「グッド・バイ」太宰治:著(太宰治全集10 小説9より) 「グッド・バイ」太宰治:著(太宰治全集10 小説9より)を含むブックマーク

        

 太宰治の未完の遺作。新聞連載のとちゅうで太宰は入水心中してしまったのだ。わずか20ページほど書かれたにすぎないけれども、つまりは「モテモテ」の男性が本業の編集に専念しようと、付き合っている女性たちと別れようとするストーリー。ユーモア小説というかコメディというか、それで男は考えて、付き合っている女たち(十人ぐらいいるらしい)に、「今度この女性と結婚するんで」とその女性をともなって会いに行き、いやおうもなく別れようという魂胆。それでその、連れて行く(ウソの)婚約者は、一方の女性が「この人じゃあわたしの負けね」とおもってしまうような、とびっきりの美人でなくってはならない。それで男が思い出したのが、普段は肉体労働で稼いでいるある女性なのだが、ちゃんと化粧してちゃんとした服を着ればものすっごい美人なのである。しかし、その声は鴉(からす)みたいな甲高い声だから、しゃべらせたらいけない。‥‥それで、それまで付き合っていた女にそれぞれ、その鴉声の女といっしょに会いに行こうという話だったらしい。それぞれの女性との「別れ」のさまを描いて行きながら、ラストにはそれなりの「オチ」も用意されていたという。

 こういう話って、あのジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」みたいじゃん?とか思って、それで特にその怪力で美人のキヌ子という女性のキャラクターも面白いし、ま、さいごまで太宰は「オレってモテちゃってさ‥‥」てな人だったわけだけれども、これはどこかカラッと明るい、面白そうな作品だったのにね。さいごにこういうユーモア小説みたいなのを書きかけで残したというのは、これは太宰治のダンディズムだったのでしょうか?


 

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