明日菜がエヴァよりも長寿かもしれないという可能性

ネギま!169話を改めて読み込んでみると、ナギの容姿はかなり幼い。回想の最終コマの等身をみてみると、約10年前、武道会で再現された行方不明になる直前の姿というよりも、明らかに20年前、大戦直後の姿に近い。(遠近法のせいかもしれないが、その他のコマからも感じられる)
もしかすると、やはりこれは20年前の事を描いているのかもしれない。つまりこの戦いは大戦時のもの。そして、もしかしたらアスナこそこの大戦の原因になったという事すら考えられる。(ただ、ナギが自分自身の事を「サウザンドマスター」と呼んでいる事からすると、大戦を通じてその名を得たはずなので、この時点は既に大戦終盤である可能性の方が強いが。)
つまり、アスナが「見た目通りの年ではない」という事は、明らかに描写されているのかもしれない。アスナが何がしかの魔法によって成長を止められていた可能性はかなり高いだろう。
そして、その理由も状況からするとかなり推測出来る。描写によると「魔法無効化能力」はかなり強大な力だ。魔法力による戦争の帰趨を変えかねないほどに。この戦いでも、実際にはアスナの力を巡って争っているらしい。そんな、あまりにも希少かつ重大な能力を持って生まれてしまった為、その力を崇め、継続させようとする思考が働いたとすれば充分納得できる。
しかし、だとするとアスナは一体どのくらい前からその成長を止められていたのだろうか。「黄昏の姫御子」と呼ばれ、王族だともいうが、実際の彼女の扱いはかなり酷い。鎖に繋がれ、血を吐くほどに酷使されている。当然この行為を行っているのは、この国の王族そのものだろう。つまり近親者のはず。それなのに、まるで道具のようなこの扱いをみると、少なくとも「現在の」王族はアスナに対して親近の念はまるで持っていない。これはどういう意味なのか。
もしかしたら、アスナは「黄昏の姫御子」として、言わばその国の守り神的存在として長い期間安置されていた可能性がある。「歴史と伝統だけが売りの小国」というのも、実は「黄昏の姫御子を保有している歴史と伝統」という意味なのかもしれない。
遥かな昔、王族に「魔法無効化能力」を持つ娘が生まれ、それを「黄昏の姫御子」として崇める事で国力を維持してきた。もしくは、「黄昏の姫御子」を保有したからこそ、その一族は国を興せたのかもしれない。その国にとって「黄昏の姫御子」は現人神であるとともに、重要な「道具」。だから、成長を止めるという非人道的な事も躊躇わずに行えるし、その力を際限無く引き出す事も厭わない。そうしてアスナは長い時を生きてきたのかも・・・。
もしかすれば、その時間は、エヴァの数百年の時間よりも遥かに長い可能性もあるだろう。とすれば、109時間目に明日菜がエヴァにかけた言葉は限りなく重い。
「大丈夫 今からだって全然遅くないよエヴァちゃん 幸せになる権利は誰にだってあるんだから」
…「テキトーに発言するな このバカ頭」どころの話ではないだろう。
明日菜は過去の記憶を消されている。しかし、完全に思い出せないわけでもないようだ。無意識に何かを感じ取れている可能性もある。
そして、少なくとも現在、明日菜は幸せだ。普通の女子中学生として、普通の学生生活を実に前向きに幸せに生きている。(最近は「少し」普通じゃないけどw)
この言葉は、そんな彼女からの、我々の想像より何十倍もの実感を伴った重たい言葉なのかもしれない。
そして、これらの推測からすると、アスナはナギ達に助け出されれた後、約10年間彼らと行動を共にしていたということになる。ナギは、大戦後一体どんな活動をしていたのか、あまり多くが語られていない。しかし、ナギは京都で後にアスナが隠される麻帆良学園の事を研究した後消息を絶った。そしてその後(だと思われる)、ガトウもアスナの目の前で命を落としている。
彼らのこの10年以上の行動は、もしかするとアスナにかけられた成長を止める魔法を解く為、アスナを隠す場所を探す為、つまりアスナに幸せを与える為の行動だったのかもしれない。
もしそうだったとすると、明日菜が背負っている幸せ(もしくは「十字架」か)は、想像以上に重い。
そして、その事は明日菜をパートナーと選んだネギにも、大きく関わってくるのかもしれない。