くろうのだらオタ日記

だらけたオタクのだらけた駄々漏れ感想日記。基本的にネタバレです。

2007-08-13

[]アニメひだまりスケッチ」3つの魅力 その1 〜構成の妙〜 23:29 アニメ「ひだまりスケッチ」3つの魅力 その1 〜構成の妙〜を含むブックマーク アニメ「ひだまりスケッチ」3つの魅力 その1 〜構成の妙〜のブックマークコメント

先日、TBSアニフェスで、ひだまりスケッチ特別編前編を見た。やはりすばらしい出来で、大いに楽しませてもらったが、その魅力を大いに語りたくなったので、ここに書き殴ってみたい。特に今回の作品は特別編ということもあり、「ひだまりスケッチ」の良い点が凝縮していたので、これを題材にすると、とても語りやすい。

まず、「ひだまりスケッチ」第一の魅力として、「パズルを完成させる快感」をあげてみたい。

ひだまりスケッチ」は元々四コマ漫画が原作である。よって、アニメも個々の細かいエピソードの集合体であり、それほど明確なストーリーがあるわけではない。もちろん、各話はある一日を題材にしていて、時系列の繋がった連作で構成されているので、そこにストーリーらしきものもあるにはある。しかし、各エピソードはあまり意味の無いようなものも多く挿入されているし、エピソードの積み重ねでドラマチックな展開になる事もほとんどない。基本的には、ばらばらなエピソードの積み重ねによる、ゆるい展開なのだ。

これは4コマ漫画を原作にするアニメに共通する事だ。この「ばらばらさ」「ゆるさ」こそ4コマ漫画アニメの魅力の一つと言ってもよいだろう。

しかし同時に、4コマ漫画アニメの全てが単なる「ばらばらさ」「ゆるさ」だけを売り物にしている訳ではないだろう。そのばらばらなエピソードを効果的に積み重ね、1話を見たときに何かが残るような「意味」(テーマと言えばよいか)を形作っている作品も多い。ただ、4コマ漫画の魅力を残すためにもそのテーマを前面に出して語る必要はない。

ある意味、4コマ漫画アニメ最大の利点とは、「あえて無作為なエピソードの積み重ねを行う事で、さりげなくテーマを語ることが出来る」というものなのかもしれない。

その点、「ひだまりスケッチ」はこの「さりげないテーマの提示」が非常に優れているように思う。それは、「さりげなさ」においてもそうだし、「テーマ提示の明確さ」においてもそうだ。「テーマ提示が明確」なのにも関わらず、それが「さりげない」というのは矛盾しているかのようだが、「ひだまりスケッチ」ではその両者を見事に両立させている。

ひだまりスケッチ」におけるテーマ提示の材料となる個々のエピソードは、非常に意図的に提示されているにも関わらず、それらは見事なほどばらばらに配置されている。これらのエピソードを組み合わせてテーマを理解しようとする作業は、まるで「パズル」にすら似ている。一寸した困難さも伴うのだ。しかし、それが組み合わさってテーマが浮かび上がった時の快感は、単にパズルが解けただけではなく、テーマを感じる事も伴って実に得がたいものになる。

ここで、今回の特別編「そして元の位置に戻す」を題材に、これを少し解説してみたい。

パズルを分かりやすくするため、意図的にテーマに関連すると思えるエピソードを抜き出してみる。

  1. プールに遊びに行くことを決める。(B)(C)
  2. ゆのが金槌。(A)
  3. 宮子がゆのの浮き輪の栓を抜く。(C)
  4. ゆのをプールに浮かべる。そして元の位置に戻す。(B)(C)
  5. ゆのが泳ぎの練習を決意。(A)
  6. 宮子がすいかの芯を食う。(C)
  7. 縁側で互いの必要性を実感。(A)(B)

各項目の後ろにつけたアルファベットは、(A)=ゆのの行動、(B)=ひだまり荘の行動、(C)=宮子の行動、だ。

個々のエピソードがバランス良く配置されている事(この間にも他のエピソードは挿入されている)、ゆのの行動とひだまり荘としての行動には連続した流れがあるが、宮子の行動は連続性がない事、とかが分かるだろう。そして、宮子のこの一見意味の無い行動が、実はゆのの行動とひだまり荘の行動に非常に意味のある連続性と関連性を持たせている。

この回描かれているテーマについて語るのは次回に回そう。しかし、これを見ただけで、この回において浮かび上がってくるテーマ性は、なんとなく分かるのではないだろうか。

このパズルのようなテーマの提示は、この特別編の1回だけでなく、各話にさりげなく散りばめられている。それは、今回のように分かりやすい事もあれば、非常に難解な事もある。

さらに、このテーマ提示はテレビシリーズ全体においても展開されている。ご承知のとおり、「ひだまりスケッチ」の各回の時系列は最近流行のザッピング形式になっている。その為、このテーマ提示というパズルはより複雑になっている。しかし、これを解いてみると各話で描かれているものよりもより深い、実に興味深いテーマになっているのだ。

この、一見「ゆるい」作品であるにも関わらず、見え隠れするテーマを探るという「パズル」を解くにしたがい、より深みにはまってしまう「構成の妙」は、「ひだまりスケッチ」の基本的な魅力といえるだろう。

・・・次回に続く

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