2007-01-16 惚れたが悪い

今回ははてな匿名ダイアリーのこちらの記事から。
この記事には100件を超えるはてなブックマークが付けられ、それらの大部分がこの相手の女性を非難する論調のものでした。もしこれが「非モテ」の総意なのだとすれば、個人的には何とも暗鬱な気分にさせられます。 (※ この部分について追記しました。)
この記事に関連する発言の中で、唯一完全に同意できたのがjituzon氏の記事でした。
なぜこの「当たり前」が当たり前として通らないのか、理解に苦しみます。
この女性への批判として、「その気にさせた責任はないのか」などといった論調もいくつかありましたが、そんな「責任」などどこにもありません。このように考える人達は、「恋愛」という関係性がそもそも人間関係におけるイレギュラーであることを忘れています。
「それは違う、恋愛は多くの人が『するのが当たり前』だと考えているものだ」といった反論があるかもしれません。しかし、一般的な「恋愛」という観念の中には既にモノガミズムが内包されています。「恋愛」は一般的には、「誰かと恋愛している時は他の誰かとは恋愛できない」んです。従って、「恋愛」はその性質上「誰とでも出来るものではない」と言えます。「恋愛」は(モノガミーを前提する限り)「閉じている」と言ってもいいかもしれません。
「恋愛」は通常の人間関係における拡張パッチのようなものです。要は、通常の人間関係の中で「恋愛したい人」達だけが特別に「恋愛関係のステージ」に上がればよい、ということです。これが先ほど述べた「イレギュラー」の意味です。「恋愛したくない人は恋愛しなくていいよ」ということでもあります。
「恋愛」が人間関係におけるイレギュラーである以上、一方的に「恋する」ことは「恋した側の問題」であり、「恋心を抱かせた側」には関係のない話です。故に、どれだけ恋で苦しもうと、どれだけ相手が魅力的であろうと、「恋愛感情」の責任はすべて恋愛感情を抱いた側にあるんです。相手の行動が思わせぶりに見えたとか、そんな話は何のエクスキューズにもなりません。
この話は、「恋愛」を「セックス」に変えても一緒です。例えばpal氏のこちらの記事では、次のように述べて件の女性の行動を批判しています。
「性的に欲情すること」と「性的な行動を起こすこと」の間には大きな開きがあります。pal氏のように両者を混同するなら、例えば小児性愛者は(何ら小児に関わらなくとも)存在しているだけで犯罪者になってしまいます。「恋していること」が「恋愛感情を表明すること」のエクスキューズにならないのと同様、「性的に欲情すること」も「性的行動」のエクスキューズにはなり得ないんです。
太宰治の小説に「お伽草子」という、日本のおとぎ話をパロディ化した作品があります。太宰はその中の掌編「カチカチ山」の最後に、兎に恋慕した挙句、諮られて溺死する狸にこんな台詞を言わせています。
件の記事への反応を見て、この「惚れたが悪いか」という台詞を思い出しました。もちろん狸に対する答えは「ああそうだ、惚れたが悪い」で充分でしょう。恋愛感情はどこまでも自己責任であるという意味において、常に「惚れたが悪い」んです。
(1/17追記)
この文章を「非モテ批判」と読んでいる方も少なくないようなので、ちょっと補足。
私自身「非モテ」の一人でもありますし、「非モテ」の人達が皆「恋愛感情は自己責任」と考えていない、とは私は最初から思っていません。しかし、「総意」という表現のために、非モテ全体を批判しているように受け取った方も居られるようです。
引用元記事の件の女性を批判している人は「非モテ」に限らないので、「非モテ」を主に攻撃するような書き方は不適切でした。批判者にたまたま「非モテ」の人達が目立ったというだけであり、本文の趣旨は「非モテ」には直接関係がないことをお断りしておきます。
俺と話す時はすごいうれしそうな顔してて
しばらく会わなかったらメールで「ねえ、私のこと覚えてる?忘れてないの?」
とか送ってきやがって
「彼氏にしたい人は家族みたいにいっしょにいて落ち着ける人」とか言いやがって
それでこれは99%大丈夫として告白したら
「他に好きな人がいるの」だと。「君の事は大事な友達のつもりだった」だと。
この記事には100件を超えるはてなブックマークが付けられ、それらの大部分がこの相手の女性を非難する論調のものでした。
この記事に関連する発言の中で、唯一完全に同意できたのがjituzon氏の記事でした。
勝手に99%いけると思い込んで告白してんじゃねーよ。いや、まあ告白するのはいいとして失恋は失恋として受けとめろよ。恋愛感情は「自己責任」だろ。自分の感情には自分で責任取れ!
なぜこの「当たり前」が当たり前として通らないのか、理解に苦しみます。
この女性への批判として、「その気にさせた責任はないのか」などといった論調もいくつかありましたが、そんな「責任」などどこにもありません。このように考える人達は、「恋愛」という関係性がそもそも人間関係におけるイレギュラーであることを忘れています。
「それは違う、恋愛は多くの人が『するのが当たり前』だと考えているものだ」といった反論があるかもしれません。しかし、一般的な「恋愛」という観念の中には既にモノガミズムが内包されています。「恋愛」は一般的には、「誰かと恋愛している時は他の誰かとは恋愛できない」んです。従って、「恋愛」はその性質上「誰とでも出来るものではない」と言えます。「恋愛」は(モノガミーを前提する限り)「閉じている」と言ってもいいかもしれません。
「恋愛」は通常の人間関係における拡張パッチのようなものです。要は、通常の人間関係の中で「恋愛したい人」達だけが特別に「恋愛関係のステージ」に上がればよい、ということです。これが先ほど述べた「イレギュラー」の意味です。「恋愛したくない人は恋愛しなくていいよ」ということでもあります。
「恋愛」が人間関係におけるイレギュラーである以上、一方的に「恋する」ことは「恋した側の問題」であり、「恋心を抱かせた側」には関係のない話です。故に、どれだけ恋で苦しもうと、どれだけ相手が魅力的であろうと、「恋愛感情」の責任はすべて恋愛感情を抱いた側にあるんです。相手の行動が思わせぶりに見えたとか、そんな話は何のエクスキューズにもなりません。
この話は、「恋愛」を「セックス」に変えても一緒です。例えばpal氏のこちらの記事では、次のように述べて件の女性の行動を批判しています。
いい加減わかってください。
男の親友の素っ裸見ても、男は勃ちませんが、
女の親友の素っ裸見たら、海綿体から出撃要請が出ます。
これはどうしようもない男女の非対称性であり、ご理解下さい。
(中略)ですから、男女の友情は基本的に成立しえないというのです。危険なんですよ。性欲の対象として見られてしまうんだから。
「性的に欲情すること」と「性的な行動を起こすこと」の間には大きな開きがあります。pal氏のように両者を混同するなら、例えば小児性愛者は(何ら小児に関わらなくとも)存在しているだけで犯罪者になってしまいます。「恋していること」が「恋愛感情を表明すること」のエクスキューズにならないのと同様、「性的に欲情すること」も「性的行動」のエクスキューズにはなり得ないんです。
太宰治の小説に「お伽草子」という、日本のおとぎ話をパロディ化した作品があります。太宰はその中の掌編「カチカチ山」の最後に、兎に恋慕した挙句、諮られて溺死する狸にこんな台詞を言わせています。
ぽかん、ぽかん、と無慈悲の櫂が頭上に降る。狸は夕陽にきらきら輝く湖面に浮きつ沈みつ、 「あいたたた、あいたたた、ひどいぢやないか。おれは、お前にどんな悪い事をしたのだ。惚れたが悪いか。」と言つて、ぐつと沈んでそれつきり。
件の記事への反応を見て、この「惚れたが悪いか」という台詞を思い出しました。もちろん狸に対する答えは「ああそうだ、惚れたが悪い」で充分でしょう。恋愛感情はどこまでも自己責任であるという意味において、常に「惚れたが悪い」んです。
(1/17追記)
この文章を「非モテ批判」と読んでいる方も少なくないようなので、ちょっと補足。
私自身「非モテ」の一人でもありますし、「非モテ」の人達が皆「恋愛感情は自己責任」と考えていない、とは私は最初から思っていません。しかし、「総意」という表現のために、非モテ全体を批判しているように受け取った方も居られるようです。
引用元記事の件の女性を批判している人は「非モテ」に限らないので、「非モテ」を主に攻撃するような書き方は不適切でした。批判者にたまたま「非モテ」の人達が目立ったというだけであり、本文の趣旨は「非モテ」には直接関係がないことをお断りしておきます。
トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/crowserpent/20070116
- http://d.hatena.ne.jp/bule_rose/20070116
- http://d.hatena.ne.jp/weeeee/20070117
- 恋愛は惚れたほうが、猫は飼ったほうが「負け」
- http://d.hatena.ne.jp/PANZIG/20070117
- http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070118
- http://d.hatena.ne.jp/hirofmix/20070117
- 「遊び/労働」「性交/暴力」 〜手鏡イルカと部屋上げ男性はかわ...
- もう一生女なんて信じない 反応まとめ
- 「異性の友達」に対する考え方の傾向には男女間で大きな差がある
- Ohnoblog 2 - 「惚れたが悪い」という言葉
個人的にはリンク先のブログ主さんは気の毒だと思いますが、「そういう無防備な娘だから」惚れたのかもしれませんしね。
お互い様、と言えばお互い様なのかも。
客観的に語れる「恋愛という実体」など存在しない、「語りえぬ物には沈黙せねばならない」という意味でなら、部分的には同意しますよ。恋愛に限らず、人間の関係性一般においてそうでしょう。しかし、そうでありつつも「恋愛についての語り」は「語りえないから無意味」、と言い切るわけにはいきません。
>しぎこ氏
「惚れた相手につれなくされたから」って逆恨みする人もいっぱい居ますけど、それは結局ストーカーの論理じゃないかな、と思うんですよね。基本はやはり「惚れたが悪い」であるべきじゃないかな、と。倫理的な問題ですけども。
ええ、それはそう。
そう言い切りつつ、ダメージを乗り越える強さってのがなかなか持てないんだよなあ。(もちろん、人によります。)
「非モテ」という単語を出したのは、私自身も「非モテ」の一人だから、というのが大きいんですけどね。非モテの人達が付けているブクマコメントの多くが否定的見解だったことから、一種の同族意識みたいな感じで言及しちゃったわけです。本文の趣旨に直接関係ない話だし、この点に反応してる人も居るんで、余計な一言だったかなぁ、とちょっと反省してます。
>しぎこ氏
ダメージを乗り越えるのが大変なのは理解できますが、それを相手の所為にしちゃうとマズいですよね。
>ごくう氏
最も議論になりそうな点はそこだと思います。私は件の記事を読んで「相手の女性は恋愛のステージに上がっていない」と判断しました。「恋愛という形式」の難しいところは、「恋愛という形式」に不慣れな人が無自覚に「ステージに上がってしまったように見える」場合があることで、引用元の話にもこういう面が確かにあります。NR氏の言っておられる「無神経」という問題もその辺にあるでしょう。
個人的には「明言されていなければ」恋愛のステージに上がったとは断定できない、というのが原則ではないかと思うんですが、これを言い出すと「コミュニケーション能力の低い奴は恋愛なんてできないじゃないか」と言われそうなのが微妙なとこです。
ただ、「非モテ」に関して言うなら、「恋愛という形式」の効力を限定的に扱うことは結果的に「非モテ」の人達を利すると私は考えています。「恋愛できるかできないか」だけで考えている限りは、こうした視点は見えてきませんが。
前半部と後半部の論理的な繋がりがわかりません。
件の記事の男性のスタンスを批判するのはある程度理解できるのですが、恋愛関係をこうしたものとして限定することには、やや違和感を感じます。
ということで、言及させて頂きました。
「惚れたが悪い」という言葉
http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20070117
それでも引っかかりを感じるのは自分がモテないからだろうか?「モテない男に優しくすんじゃねーよ」と言ってしまう可能性があるからだろうか?と考えてしまいました。
ところで、この場合「自分の感情に責任を取る」とはどのようなことを指すんでしょうね。
私もえらく同情的ですけどね、無関係のくせに。
まあ、99%も確信するなとは思いますけれど。85%ぐらいにしとけと(笑)
相手の女性は恋愛のステージに上がっていなかっただろうという烏蛇さんの見立ては、多分正しいと思います。
故意かどうか?未必の故意ってのもあるよね。
自分で、「これは恋だ!」と思う段階と、
相手と「お付き合いしましょう。」と付き合い始める段階と、違う気がしてきました。
同じ「ふられる」でも、分けて考えたほうがよさそうですね。
>しぎこ氏
そういう風にも読めるんですよね。
私もどちらかというと投稿主の人よりも、ブクマコメントで相手の女性を批判してる人達に対して書いたつもりです。
>通りすがり氏
「結婚詐欺」は、「結婚しようという意思」がはっきり表明されている場合ですから、この記事の場合とは全然違います。ごちゃごちゃにしないように。
>,e氏
この場合の責任を持つとは、「自分の行為の結果を相手のせいにしない」ということだと思います。
>ごくう氏
おっしゃる通りで、相手が恋愛のステージに乗っているかいないか、で話は違ってくると思います。既に恋愛関係が(双方の合意という意味で)成立してからの話なら、ここまで単純には割り切れません。
大人になってそういう距離のとり方ができて当然、わかって当たり前になってしまったけど、二人が彼氏彼女か、そうでないのかは、かなり微妙な、そうとも言えるし、そうとも言えない関係の状態を往々にして含んでいるのだと思います。
冒頭の記事は、甘えの範囲の問題に読めてきました。友人への甘える範囲と恋人への甘えの範囲の捉え方の違いかと。
誰にでも甘えることができる人は、女性に多いですが、たぶん男性にもいます。そういうタイプの人は、「その気にさせた」と言われる可能性が高いのかなと思いました。