まだまだアマチュアです

翻訳講座の添削を受けたり、翻訳セミナーへ参加したりすることで自分の力量について感じること。
それは、これまでいくつかの外資系クライアントの要請によって、本国が制作した英文のマーケティング資料やらプロモーション制作物等の翻訳を手がけてはきたものの、結局はクライアントと広告代理店という身内同士の合意、言い換えれば共犯関係に基づくもので、それを独立した翻訳物としてみればかなり点数が甘いのではないだろうか、ということ。クライアントから要求されるものは、それが日本のマーケットを相手にしたプロモーションに役立つかどうかなので、翻訳物として正確か否か、ということは二の次なのだ。クライアントが私に見ているものはコピーライターとしての資質であり、翻訳者のそれではない。
まあ、そんなんでいっぱしに翻訳ができるつもりにはなっていたけれど、結局はホームでしか通用しない実力。翻訳にフィールドを移したとき、アウェイの風に抗せるかどうかがいよいよ試されてきている。ホームとアウェイの間には、大井川どころではない巨大な河が横たわっていることを、ひしひしと感じる日々でもある。
コピーライターに成り立ての頃を思い出すと、数週間オフィスに缶詰になってえんえんと文章を書き、上司とクライアントのチェックを受けては書き直しさせられ、ああ、今日も家に帰れないのかあ、とため息をついたり、名人といわれる人の文章をひたすら書き写したり、締め切り1時間前なのに原稿用紙がほとんど埋まっていなくて顔面蒼白になったり、なんていうことを繰り返す毎日だった。そういえば最近はクライアントさんからあんまり文句も言われなくなったなあ、そろそろ一人前として扱ってくれるようになったんだろうか、と思えるようになったのは、コピーライターの名刺をもらってから、すでに10年ほど経った後だった。
改めて翻訳の世界に飛び込むということは、それと同じことを再び繰り返すということ。他人から見たら、好き好んで何をいまさら、ということになるんだろうけど、なぜそうしたいかという理由については、ま、秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず、ということで…。


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