春弥生 昼蕎麦日和 夜露西亜

◆蒲田そば話 1

 何日か前、美ら島でmamoさん(キムラさん)と蒲田のそばの話をしていた。そのとき名前が出たのが、南蒲田にある「津右衛門」(つゑもん)と「浅野屋」という二つのそば屋である。
 津右衛門は、蒲田の部屋から実家へ歩く途中にあって、環八からすぐだけれど周りは普通の住宅街。いわゆる町のそば屋のイメージとは違う小綺麗な店がまえで、いつも前を通るたびにどんな店だろうかと興味を持っていた。けれど前を通るのが昼と夜の合間で準備中だったり、夜遅くて閉まってたり、逆に朝早かったり、あるいはちょうど実家へ食事に行くタイミングだったりして、どうもいままで入る機会を逸していたのだった。
 もう一軒の浅野屋は、津右衛門から環八を南に渡り、カツハル会でよく使われる糀谷ガスト(南蒲田店)の前を東へ数分行ったところを入った商店街にある。津右衛門からでも歩いて5分程度。こちらのほうは、店自体を僕は知らなかった。
 で、この両店、僕もmamoさんもすぐ近くに長年住みつつ行ったことがなかったのだけど、ともにそばの名店としてけっこう評判らしいのである。そんなこんなできょうの午前、10時半すぎに仕事が1本終わったので、昼飯にちょうどいいと思い、その両店へ行ってみることにした。
 そう、せいろ(もり)ならはしごも余裕でできるのがそば屋のいいところである。張り切って11時頃に出発、10分ほど歩いてまず津右衛門に着いた。が、オープンは11時半。じゃあ先に浅野屋へ行ってみるかと向かうと、こちらも11時半からだった(まあ調べていけよって話だが)。
 また津右衛門まで戻り、陽射しが気持ちよかったから開店までの10分くらい座っているかと店前のベンチに腰を下ろしたら、店の中から奥さんが出てきて、どうぞと招じ入れられた。
 店内に入ると、開店前だから当然客はいない。店がまえの小綺麗さそのままに、店の中もそば屋というよりはちょっとおしゃれな小料理屋風だった。ほとんどがテーブル席だが、座敷スペースもひとつ設けられていた。隅にはなぜかアップライトピアノが置かれていた。<つづく>
 
 蒲田「津右衛門」の店内
 
 (17:41)