2005-02-23 ドラえもん募金の二項対立
■ドラえもん募金の二項対立
テレ朝がピースウィンズ・ジャパンに送金したことはそんなに間違っているのか?
謎の団体、ピースウィンズ・ジャパン
テレビ朝日のドラえもん募金のほとんどがNGO団体であるピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)に寄付されたとの発表があった。この発表は後に、日本赤十字と数値が逆だったという訂正がなされるのであるが、PWJはうさんくさい、赤軍の手先だ、主催者がガメているなどの疑惑がたちのぼっているようです。
まあさすがに、数値が入れ替わってたのがミスってのは本当でしょう。こんなところで嘘ついたら国税庁が黙っちゃいないです。
とはいえ、募金の主体が朝日で「ドラえもん」の名を冠した募金であること、赤十字やユニセフと比較してAMDAやPWJの知名度が著しく低いことなどもあり、PWJに資金を与えたこと自体が背任行為であるかのような強い批判が見受けられます。果たしてPWJへの資金提供は、合理性を欠いた行為なのでしょうか?
大規模組織による現地活動の限界
被災地現地に人間と物資を送り込むためには、ある程度の規模の組織に金を突っ込むしかありません。問題は、自衛隊や国際的なでかい組織に資金を集中させることが常に正解といえるかという点です。
もちろん大きな組織の支援の力はめざましいものがありますし、まとめてドカンと何かするなら効率もいいでしょう。しかし、こういった災害の場合は広い範囲に被害が及び、紛争地帯など政治的に微妙な地域も含まれます。
また、大きな組織は広い範囲に支援の手を差し伸べることが期待されますので、個別の事例への対応や辺境地域への支援にはあまり大規模ではない組織のほうが適している場合もあります。自衛隊や大規模な組織だけに資金を集中せず小規模な組織にも分散して支援することは選択肢に含まれてしかるべきでしょう。
実際、CGAPの津波援助活動団体のリストに載っている日本の団体はPWJとジャパン・プラットフォーム(以下JPF)ぐらいで、あとは日本赤十字が資材の送り主としてちらっと出てくるぐらい。特にPWJはアチェに実際に乗り込んで活動してるわけで、実績を出してること自体は確かでしょう。
支援団体は左寄りがデフォ
次に…というか最も問題となっているのはPWJ、もっというと代表者である大西健丞の政治的スタンスです。大西健丞は鈴木宗男に逆らって散々怒鳴られたことで名前を知られるようになった人物であるが、このひとがJPFの代表も兼ねてます。
JPFに加わっていた「アジア太平洋資料センター」(PARC)の元共同代表井上礼子の夫は昨年3月、日本赤軍の重信房子被告に関わる犯人隠避の容疑で逮捕されているほか大西は現在のPARC代表、村井吉敬上智大教授の教え子であるなど大西の思想的背景もかなり怪しい。
まあ怪しいのはよくわかります。でも、えーと。赤軍の人を秘匿した人の妻の勤める組織の上部組織の代表。ってことですかね。4、5hopも経由してるってのはちょっとアクロバット感がありませんか。
もちろんテロリストに直接加担しているような人物団体であれば、これを重要な役割から排除すべきというのは当然ありうる考え方です。しかし、もう少し直接的な証拠でも出てこない限り、この程度でテロリストの一味と決め付けるのは妥当とはいえないでしょう。私だって5hopも経由すれば総理大臣まで行き着く自信がありますよ。
いや、PWJや大西健丞が左ではないだと言いたいわけではないのです。むしろ逆です。災害地の復興支援にわざわざ出て行くようなNGOは、普通、左です。被災者の人道支援という発想自体が、共産主義的要素を多分に含むといってもいいでしょう。実際、右翼の人道支援団体なんてのはかなりレアだと思います。
そして左寄りの活動をしているある程度大きな団体であれば、そりゃいろんな人がいますから、極端に左の端の人との係わり合いもでてきます。赤十字やユニセフに首を突っ込んでる左巻きなんかうじゃうじゃいます。ですから、左巻きならなんでもかんでも許せないというのはおかしな話です。
この場合、被災地で支援を受ける立場の人にとって、彼らの思想なんかどうでもいいことですし、事実アチェまで入り込んで支援ができるような団体がほかに無いのであれば、右でも左でも関係なくとりあえずそれを送り込むことこそ支援のための数少ないオプションといえるんではなかろうか。
活動の実態は?
また、支援団体としての活動の実態にも疑問が投げかけられています。同じく國民新聞の記事には
スタッフは難民キャンプに足を向けず高級ホテルに宿泊、警備員を付け高級車を乗り回しているとして、パキスタンでのJPFの評判は頗る悪い。
などといった批判もありますね。
うーん、パキで(日本水準で)普通のホテルに泊まれば自動的に超高級ホテルだし、どちらかというと安全な地域ではないのだから、それなりの立場の人間なら警備員をつけてまともな車をチャーターするのは当然だと思うですよ(危険地帯でボディーガードもつけず行動したらむしろ叩かれるでしょう)。國民新聞は関連するほかの記事も憶測や伝聞ばかりでどうもこれを鵜呑みにすることはためらわれます。もうちょっとましなソースがあるといいんですが。
PWJのもつ不透明性
ここまでで述べてきたことは、
という3点に要約されます。これらはどちらかというとPWJへの弁護になる主張ですね。
しかしPWJにも明らかに問題とすべき点があります。経理処理です。
もしテロリストの仲間だとして、これがなぜ批判されるかと言うと、募金の金が北朝鮮だのテロリストだの、募金した人々の望まざる方向に流れていってしまう恐れがあるからです。ですから、経理処理が厳正かつ透明でなくては「思想はまあ置いといて」というスタンスは受け入れられないでしょう。
PWJには会計監査報告には監査法人による外部監査を受けていること、使途のおおまかな数値が示されています。しかしこれは、ちょっとおおざっぱすぎてよくわからないですね。より詳細な会計報告を提示することが疑惑を払拭する唯一の手立てでしょう。
大西健丞は平成11年度、モンゴルの職業訓練のための研修事業では事業完了と偽って外務省に報告、560万円の補助金を受けた前科がある。
こういった過去の会計上の不当行為は監査を強化することで対策すべきです。
といいますか、実際のところ「どんなNGOも叩けばほこりはでる」のが実情ではなかろうか。日本赤十字にも、ユニセフにも、もちろん国連にも叩けばいろんな埃が出てくるわけで。もちろん改善されなくてはいけないけれど、あんまり叩いて出てきたものにこだわりすぎると選択肢がなくなってしまいかねないのも問題となりうる。
というわけで
否定派
- もっと大手の団体に任せるべき
- もっと中立の団体に任せるべき
- もっと不正履歴のない団体に任せるべき
- 会計が不透明
- とにかく得体の知れない連中には金を渡すべきではない
- とりあえず赤軍は許しがたい。
容認派
- 団体の規模によって活動内容が異なる。大手一本やりにはないメリットがある
- 思想的に左がかってるのはこの手のNGOでは普通。
- 叩いて埃の出ない支援団体は稀。
- 会計監査は一応受けている
- 実際に現地に乗り込める数少ない団体には投資する価値がある
- 明確な証拠なく断罪するのは本末転倒
といったところでしょうか
莫大な浄財ですからその流れをクリーンにしたいと思う一方、現地の人に支援する手段がほかに無いのならちょっとぐらい薄汚れていてもやむなしとも思えます。
公正で中立でクリーンで小回りの効く行動力溢れるNGOなんて完璧超人みたいなのが現実に存在すればいいんですけどね。
ネットでPWJを叩くひとらの多くは、HPをどれだけみているのか。おそらくトップ画面もみずに左っぽいからという理由だけで叩いているような気がします。ドラえもん募金の委託先にPWJが選ばれたことがおもしろくないらしく、極左だとか過激派だとか…なんじゃそりゃってレッテルをたびたび目にします。協賛企業の欄を見てないんでしょうね。大企業ばっかりです。左とか右とか関係ないことがここをみれば一目瞭然なんですが。
今回の件では朝日憎しが先に立ってのレッテル貼りは多数見られてちょっと不安を覚えます。
PWJのページも参考にはなると思うのですが、結局のところ自分では何とでもいえますので、当事者のHPの情報だけではやっぱり安心できません。外部からの評価もふまえて判断するべきではないかと思います。