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2011-07-15

統計数理研究所オープンハウス2011 参加メモ

http://www.ism.ac.jp/openhouse/images/poster2011.jpg
2011年7月14日

◆ 研究施設見学ツアー
◎パーソナルな計算機の歴史
○ソロバン
○手回し計算機
○初期のワークステーション
○昔のパソコンなどなど

◎物理乱数発生装置
○初期の放射性物質を使った装置
○昔の巨大な乱数発生装置(当時数億円)
○現在のコンパクトな乱数発生装置(性能は同程度、価格は10万円)

◎数々のスーパーコンピュータ
○共有メモリ型システム
・超大型のコンピュータ
○分散メモリ型システム
・多数のコンピュータを連結
・統数研にあるものは2880コア
(京は最終的には64万コア)

◆ 特別講演「越境し、行動する研究所」 (Act Beyond Borders)
北野宏明(株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 取締役社長)

●実際に行って見ないとわからないことが多い
○アラビアの砂漠には水などないので、水を使う事業など展開できない。
→実際には早朝には霧が立ち込めるほど湿度が高い。その水分を回収できればさまざまな問題が解決する。

発展途上国に必要なものは何か?
・清潔なトイレなど、なくてもなんとかなる。
・教育や学習機会の充実のほうが重要。そのためには、トイレよりもWiFiの普及がカギ。

●世界中がフィールド
温暖化によりサンゴ礁へのダメージが進んでいる
・水温が2℃〜4℃上昇すると、サンゴの70%が死滅。
サンゴ礁の死滅は生態系を破壊し、漁業にも深刻な影響を与える(海の砂漠化)。
○どうすればいいのか?
サンゴの移植 → ただ移植しただけでは生着しない
・Coral Reef Systems Biology Project: 水温の上昇を前提とした、他の環境要因の最適な組み合わせを模索
カリブ海サンゴは多様性が低く、モノトーン
インドネシアサンゴは多様性が高く、カラフル
・この違いがどんな環境因子の差から来ているのか?

●一人の人が複数の分野の専門家であるべき
・他分野の専門家がただ集まっただけでは、「新分野」の創造はできない
○「Comic Computing」の提案者
・まず、Comicの専門家になれ。→ 今年、海外でプロの漫画家としてデビュー予定。
○「建築サイバースペースの融合」の提案者
・まず、プロの建築家になれ → 現在ハーバード建築学科に在学中

●研究が成功するポイント(必ずしもすべてを満たす必要はない)
・世のため人のためのものか?
・流行を追ってないか?
・常識をくつがえすものか?
・とにかく面白いか? ← 最も重要
・500年後に影響を与えうるか?
・自分でなければできないものなのか?
・一度きりの人生、思い切りやれるか?

●とにかく面白い研究
○ソーラー・インパルス
・目標: 太陽エネルギーのみを動力源とする飛行機で、世界を一周する。
・すでに24時間以上の連続飛行には成功。
・夜間飛行後に、エネルギーの4割が残存。

○野生銀ギツネのペット化
・正確のおとなしいキツネを9代にわたって交配
・ペットとして買うのに十分なおとなしさを獲得
・同時に体毛の柄が激変
・行動遺伝子と形態遺伝子とのリンク?

グランド・チャレンジ: インパクトの大きなプロジェクト
◎Robo Cup
○目標: 2050年までに、完全自律型ヒューマノイドロボットワールドカップ優勝チームに勝利する
・その試合を成立させるためには、サッカーが強いだけではだめ。十分な安全性を証明しなければならない。
・現在はロボット同士のサッカー大会として運営
○スポンサーとして、ルイ・ヴィトンを説得
テクノロジーカンパニーは浮き沈みが激しいので、50年もつ可能性が低い

発展途上国のエネルギー問題
化石燃料:公害自然エネルギー:高価、原発:?
インドの95%の地域には電気がない
・3時間電気が使えれば、生活が劇的に変わる
・低性能でも低価格太陽電池の開発
○ Geo Project 2010 in Ghana
アフリカの電気のない地域でワールドカップパブリックビューイング
・昼に太陽電池リチウム電池を充電
・夜に大画面のプロジェクターで観戦


総研大教授最終講義「統計モデリング−共同研究を振り返ってー」
北川源四郎(総合研究大学名誉教授/情報・システム研究機構長/前 統計数理研究所長」

・特に時系列
・理論的な部分にはほとんど触れず

●時系列分析の大まかな流れ
ARモデル → 局所定常ARモデル → 非定常モデル → 非線形モデル

●多変量ARモデル
○船体運動の解析と制御
船は舵を取るときに揺れる
逆に,操舵により船の揺れを制御できるのではないか
船の位置,傾き,今までの舵の取り方などの時系列情報を元に多変量解析をすることで,「滑らかに」運行できるオートパイロットが可能になるのではないか
・舵滅揺装置

経済政策への提言
各種の経済指標の多変量時系列解析から,今後の状況を高精度に予測できる

●局所定常ARモデル(1976)
ARモデルに比べると応用範囲が広い
平均値の定常性を仮定しなくて良い
・階差をとらずに直接解析できる
○TIMSAC78(1978)
・最小二乗法,ベイズ法による時系列モデリングプログラム
地震波到着時刻の予測,震源の推定
・Householder法:AIC最小化による推定

●状態空間モデル
・時系列の殆どの問題がこのフレームワークで解ける
・個別の問題ごとにモデルを考える必要がない
・効率が良い(カルマンフィルター):O(N3)→O(N)

●非定常時系列モデリング
◎TIMSAC84 → DECOMP → WebDECOMP
・長期的な景気動向の予測などが可能に

●時変係数ARモデル
パラメータそのものも時系列モデルに組込む
・より精度の高い予測が可能
・例えば,ボラティリティの推移も同時に推定

●一般状態空間モデル
・状態空間モデルを非線形ガウス型に拡張
変数間の構造変化,異常値に対してロバスト
・多変数ボラティティの変化に追随しながら適切に平滑化

●自己組織型状態空間モデル
ノイズや欠測値が多くてもロバストに推定できる
地下水位データと地震 → 水位から地震発生を予測
ノイズが多い
・欠測値が多い
・影響を与える要素が多い(気圧,降水量,・・・)
・結果として,地震地下水位の関係が明らかにされた

●複数の研究を同時にすることは重要
・一見まったく関係ないテーマ同士が,根底で関連していることが多い
・従来とまったく異なる視点から考えなければ,解決方法にたどりつけないこともある.

2011-07-14

(Chade, Kasten & Tanner 2006) (Morano, et al. 1994) (Miyake, et al. 2011) (Samii, et al. 2009) (Allam, et al. 2004) (Fukushima, et al. 2010) (Costa, et al. 2010) パーキンソン病の防御因子

「からだに良いこと」と「からだに悪いこと」、両者はまったく異なる集合で、明確に分離することができる.多くの人はそう考えているだろう。でもその境界は、いつもはっきりとしているわけではない。時には曖昧であり、時には完全に重なり合っていることすらある。

例えば「パーキンソン病」という病気がある。脳の病気で、今のところ根治する治療法はない。悪化すれば要介護状態になる可能性も高く、厚生労働省によって難病指定もされている。では,この病気を予防するにはどうしたらいいだろうか。実は、大酒飲みはパーキンソン病になりにくいという研究結果がある。また、コーヒーなどでカフェインを大量に取る人も、パーキンソン病になりにくい。そして驚くべきことに、最もパーキンソン病になりにくいのは喫煙者だ。

ただし、パーキンソン病になりたくないからと言って、喫煙したり酒を飲み過ぎたりはしないほうが良いだろう。脳卒中心筋梗塞、あるいは脳血管性認知症などになるリスク増大のインパクトのほうが大きいからだ。

http://www.escnp.org/Public/ESCNP/neural_transmission.jpgJ Neural Transm Suppl. 2006;(70):147-51.

Nongenetic causes of Parkinson's disease.

Chade AR, Kasten M, Tanner CM.
Department of Clinical Research, Parkinson's Institute, Sunnyvale, CA 94089-1605, USA.

Abstract
Study of the nongenetic causes of Parkinson's disease (PD) was encouraged by discovery of a cluster of parkinsonism produced by neurotoxic pyridine 1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine (MPTP) in the 1980s. Since that time, epidemiologic investigations have suggested risk factors, though their results do not establish causality. Pesticide exposure has been associated with increased risk in many studies. Other proposed risks include rural residence and certain occupations. Cigarette smoking, use of coffee/caffeine, and non-steroidal antiinflammatory drugs (NSAIDs) all appear to lower risk of PD, while dietary lipid and milk consumption, high caloric intake, and head trauma may increase risk. The cause of PD is likely multifactorial. Underlying genetic susceptibility and combinations of risk and protective factors likely all contribute. The combined research effort by epidemiologists, geneticists, and basic scientists will be needed to clarify the cause(s) of PD.

PMID: 17017522 [PubMed - indexed for MEDLINE]
Nongenetic causes of Parkinson’s disease. [J Neural Transm Suppl. 2006] - PubMed - NCBI

パーキンソン病の非遺伝学的原因
パーキンソン病(PD)の非遺伝子的な原因の研究は、1980年代の神経毒性のあるピリジン 1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)によるパーキンソニズムの集団の発見により促進した。その当時から、疫学的な調査によりリスク因子が示されてきた。にもかかわらず、その結果は因果関係の確立には至らなかった。多くの研究で、農薬の曝露とリスクの増加が関連付けられてきた。その他に提案されたリスクとしては、田舎への居住やいくつかの職業などがある。喫煙、コーヒーカフェイン、そして非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はすべてPDリスクの低下を示した。食物性脂質やミルクの消費、高カロリー摂取、そして頭部外傷はおそらくリスクを増やす。PDの原因は、おそらく多因子性である。遺伝子感受性やリスク・防御因子の組み合わせが、おそらく全て寄与している。疫学者、遺伝学者、そして基礎科学者たちの研究の努力の組み合わせが、PDの原因を明らかにするためには必要であろう。

http://www.speciation.net/md/000/004/518/th_Acta_Neurol_Scand.jpgActa Neurol Scand. 1994 Mar;89(3):164-70.

Risk-factors for Parkinson's disease: case-control study in the province of Cáceres, Spain.

Morano A, Jiménez-Jiménez FJ, Molina JA, Antolín MA.
Department of Neurology, Hospital Virgen del Puerto, Plasencia, Cáceres, Spain.

Abstract
This case-control study, performed in a mixed rural and urban province, of 74 patients with Parkinson's disease (PD) and 148 unselected age and sex-matched controls, attempted to look possible risk factors for PD. Rural living, well-water drinking, positive family history for PD and postural tremor, were associated to an increased risk for PD, with results regarding exposure to pesticides near to statistical significance. Alcohol-drinking habit in males were associated to a decreased risk for PD, with results regarding cigarette-smoking habit in males near to statistical significance. We did not find association between the risk for PD and the following variables: 1) exposure to industrial toxins; 2) agricultural work; 3) cranial trauma; 4) previous common illnesses including some infections, arterial hypertension, diabetes mellitus, coronary heart disease and thyroid disease; 5) coffee and tea drinking habits.
PMID: 8030397 [PubMed - indexed for MEDLINE]
Risk-factors for Parkinson’s disease: case... [Acta Neurol Scand. 1994] - PubMed - NCBI

パーキンソン病リスク因子: スペインカセレス地方での症例対照研究
この症例対照研究は、可能性のあるPDリスク因子を調べる試みとして、地方と都会を交えて、パーキンソン病(PD)74症例と、148例の年齢未選択で性別をマッチさせた対照にておこなった。地方での生活、飲水過多、PDの家族歴、そして体位性振戦がPDリスク増加に関連していた。農薬への曝露に関する結果は、統計学的有意に近かった。男性の飲酒嗜好はPDリスク減少に関連していた。男性の喫煙嗜好に関する結果は統計学的有意に近かった。PDリスクと以下の変数間には関連性は認められなかった。産業性毒素、農作業、頭部外傷、感染症・高血圧糖尿病・冠動脈疾患・甲状腺疾患などの一般的な疾患の既往、コーヒーや紅茶の嗜好。

http://www.wiley.com/bw/content/BPL_Images/Journal_cover_store/thumbnail/ENE-1351-5101-16-1/ene.jpgEur J Neurol. 2011 Jan;18(1):106-13. doi: 10.1111/j.1468-1331.2010.03088.x.

Dietary intake of antioxidant vitamins and risk of Parkinson's disease: a case-control study in Japan.

Miyake Y, Fukushima W, Tanaka K, Sasaki S, Kiyohara C, Tsuboi Y, Yamada T, Oeda T, Miki T, Kawamura N, Sakae N, Fukuyama H, Hirota Y, Nagai M; Fukuoka Kinki Parkinson's Disease Study Group.
Department of Public Health, Faculty of Medicine, Fukuoka University, Fukuoka Department of Public Health, Osaka, Japan. miyake-y@fukuoka-u.ac.jp

Abstract
BACKGROUND:
antioxidant vitamins are expected to protect cells from oxidative damage by neutralizing the effects of reactive oxygen species. However, epidemiological evidence regarding the associations between antioxidant vitamin intake and Parkinson's disease (PD) is limited and inconsistent. We investigated the relationship between dietary intake of selected antioxidant vitamins, vegetables and fruit and the risk of PD in Japan using data from a multicenter hospital-based case-control study.
METHODS:
included were 249 patients within 6 years of onset of PD. Controls were 368 inpatients and outpatients without a neurodegenerative disease. Information on dietary factors was collected using a validated self-administered diet history questionnaire. Adjustment was made for sex, age, region of residence, pack-years of smoking, years of education, body mass index, dietary intake of cholesterol, alcohol, total dairy products, and coffee and the dietary glycemic index.
RESULTS:
higher consumption of vitamin E and β-carotene was significantly associated with a reduced risk of PD after adjustment for confounders under study: the adjusted odds ratio in the highest quartile was 0.45 (95% confidence interval [CI]: 0.25-0.79, P for trend = 0.009) for vitamin E and 0.56 (95% CI: 0.33-0.97, P for trend = 0.03) for β-carotene. Stratified by sex, such inverse associations were significant only in women. No material relationships were shown between intake of vitamin C, α-carotene, cryptoxanthin, green and yellow vegetables, other vegetables, or fruit and the risk of PD.
CONCLUSIONS:
higher intake of vitamin E and β-carotene may be associated with a decreased risk of PD.
PMID: 20491891 [PubMed - indexed for MEDLINE]
Dietary intake of antioxidant vitamins and risk... [Eur J Neurol. 2011] - PubMed - NCBI

酸化ビタミンの食事摂取量とパーキンソン病リスク: 日本での症例対照研究
背景:
酸化ビタミンには、活性酸素生成物の作用の中和による酸化障害からの細胞保護が期待される。しかしながら、抗酸化ビタミン摂取とパーキンソン病との関係に関する疫学エビデンスは、限定的で一定していない。多施設病院ベースの症例対照研究からのデータを使い、日本における、選択した抗酸化ビタミン、野菜、そして果物の食事摂取とPDリスクとの関係を調査した。
方法:
PD発症後6年以内の249症例を対象とした。対照は、神経変性疾患をもたない368名の入院患者と外来患者とした。食事因子の情報は、自己申告確認の食事履歴アンケートを使って収集した。性別、年齢、居住地域、喫煙のパッケージ年、教育期間、BMIコレステロールの食事摂取量、アルコール、乳製品、そしてコーヒーと食事性グリセミックインデックスにて調整した。
結果:
研究のもとでは、交絡因子での調整後、ビタミンEβカロチンの消費量はPDリスク低下と有意に関連した。ビタミンEの最大四分位での調整オッズ比は0.45で、ベータカロチンでは0.56であった。性別で層別化すると、このような逆相関は女性においてのみ有意となった。ビタミンCαカロチンクリプトキサンチン、緑黄色野菜、他の野菜、そして果物とPDリスクとの間には、本質的な関連性は認められなかった。
結論:
ビタミンEベータカロチンの高摂取は、おそらくPDリスク低減に関連する。

http://www.adisjapan.com/images/journal/p06img07.gifDrugs Aging. 2009;26(9):769-79. doi: 10.2165/11316780-000000000-00000.

NSAID use and the risk of Parkinson's disease: systematic review and meta-analysis of observational studies.

Samii A, Etminan M, Wiens MO, Jafari S.
Department of Neurology, University of Washington, and the Seattle VA Parkinson Disease Research Education and Clinical Center, Seattle, Washington, USA. asamii@u.washington.edu

Abstract
BACKGROUND:
Several studies have suggested that NSAID use may modify the risk of developing Parkinson's disease (PD).
OBJECTIVE:
Our aim was to conduct a meta-analysis of observational studies evaluating NSAID use and the risk of PD.
METHODS:
We systematically searched MEDLINE (1966-November 2008), EMBASE (1980-November 2008) and other databases. Data from 11 studies were included in the meta-analysis. We used the random effects model to calculate risk ratios (relative risks) and their corresponding 95% confidence intervals (CIs).
RESULTS:
The pooled risk ratio of PD with NSAID use was 0.95 (95% CI 0.80, 1.12). The pooled risk ratio of PD with high-dose or long-duration NSAID use was 0.91 (95% CI 0.78, 1.05). The pooled risk ratio of PD for aspirin (acetylsalicylic acid) users was 1.08 (95% CI 0.93, 1.26). The pooled risk ratio of PD among ibuprofen users was 0.76 (95% CI 0.65, 0.89). The pooled risk ratio of PD in men using NSAIDs was 0.79 (95% CI 0.69, 0.92), and in women using NSAIDs, it was 0.72 (95% CI 0.45, 1.15).
CONCLUSIONS:
NSAIDs as a class do not seem to modify the risk of PD. However, ibuprofen may have a slight protective effect in lowering the risk of PD. Although the risk ratios of PD in male and female NSAID users were similar, the 95% CI for men was suggestive of a slight risk reduction.
PMID: 19728750 [PubMed - indexed for MEDLINE]

NSAID使用とパーキンソン病リスク:観察研究の系統的レビューとメタアナリシス
背景:
いくつかの研究は,NSAID使用がパーキンソン病の進展リスクに影響しうることを示唆している.
目的:
目的はNSAID使用とPDリスクの観察研究のメタアナリシスを行うことである.
方法:
MEDLINE, EMBASEや他のデータベースを系統的に検索した.11件の研究からのデータをメタアナリシスの対象とした.リスク比(相対リスク)とその95%信頼区間の計算にはランダム効果モデルを使用した.
結果:
NSAID使用にともなうPDの統合リスク比は0.95。高用量あるいは長期のNSAID使用の統合リスク比は0.91。アスピリン使用のPDの統合リスク比は1.08。イブプロフェン使用のPDの統合リスク比は0.76。男性でのNSAIDs使用のPDの統合リスク比は0.79で、女性では0.72。
結論:
NSAIDs分類としてはPDリスクへの影響は認められなかった。しかしながら、イブプロフェンはおそらくPDリスクを低下する軽微な保護作用を持っている。男女のNSAID使用者のPDリスク比は同程度であるが、95%信頼区間からは男性での軽微なリスク低下が示唆された。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/514YNYASZNL._SL500_AA300_.jpgMov Disord. 2004 Jun;19(6):614-21.

Smoking and Parkinson's disease: systematic review of prospective studies.

Allam MF, Campbell MJ, Hofman A, Del Castillo AS, Fernández-Crehuet Navajas R.
Department of Preventive Medicine and Public Health, Faculty of Medicine, University of Cordoba, Cordoba, Spain. fm2faahm@uco.es

Abstract
We estimated the pooled risk of tobacco smoking for Parkinson's disease (PD). Inclusion criteria included systematic searches of MedLine, PsycLIT, Embase, Current Contents, previously published reviews, examination of cited reference sources, and personal contact and discussion with several investigators expert in the field. Published prospective studies on PD and cigarette smoking. When two or more studies were based on an identical study, the study that principally investigated the relationship or the study that was published last was used. Seven prospective studies were carried out between 1959 and 1997, of which six reported risk estimates. Four cohorts were based on standardised mortality rates, which were exclusively of male. Only one study included risk estimates for both males and females separately. The risk of ever smoker was 0.51 (95% confidence interval, 0.43 to 0.61). There was an obvious protective effect of current smoking in the pooled estimate (relative risk, 0.35; 95% CI, 0.26-0.47). Former smokers had lower risk compared with never smokers (relative risk, 0.66; 95% CI, 0.49-0.88). Although our pooled estimates show that smoking is inversely associated with the risk of PD, the four prospective studies that were based on follow-up of mortality of smokers had many limitations. Further studies evaluating the association between smoking and PD in women are strongly needed.
Copyright 2004 Movement Disorder Society
PMID: 15197698 [PubMed - indexed for MEDLINE]
Smoking and Parkinson’s disease: systematic revie... [Mov Disord. 2004] - PubMed - NCBI

喫煙とパーキンソン病: 前向き研究の系統的レビュー
喫煙の、パーキンソン病への統合リスクを推定した。組み入れ基準は、MedLine, PsycLIT, Embase, Current Contentsの系統的検索、過去に公開されたレビュー、引用元文献の研究、この分野の専門の研究者との個人的な連絡や議論とした。PDと喫煙の公開された前向き研究。二つ以上の研究が同一の研究をベースとしている場合、主に関連性を検討した研究か、最後に公開された研究を用いた。1959年から1997年までの7件の前向き研究が採択された.6件でリスク推定値が報告されていた.4件のコホート標準化死亡比に基づいており,もっぱら男性のみであった.男女別のリスク推定が含まれていたのは、ただ1件の研究だけだった.喫煙経験者のリスクは0.51であった.統合推定値において,喫煙中の明らかな保護効果が認められた(RR 0.35).喫煙経験者のリスク非喫煙者よりも低かった(RR 0.66).統合推定値は,喫煙がPDリスクと逆相関していることを示している.喫煙者の死亡の経過観察に基づく4件の前向き研究には,多くの制限がある.女性における喫煙とPDの関連性を評価するさらなる研究の必要性が,非常に大きい.

http://www.springeropen.com/sites/2016/images/posterthumbnail.jpgBMC Neurol. 2010 Nov 5;10:111.

Alcohol drinking and risk of Parkinson's disease: a case-control study in Japan.

Fukushima W, Miyake Y, Tanaka K, Sasaki S, Kiyohara C, Tsuboi Y, Yamada T, Oeda T, Miki T, Kawamura N, Sakae N, Fukuyama H, Hirota Y, Nagai M; Fukuoka Kinki Parkinson's Disease Study Group.
Collaborators (40)
Department of Public Health, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan. wakaba@med.osaka-cu.ac.jp

Abstract
BACKGROUND:
Although some epidemiologic studies found inverse associations between alcohol drinking and Parkinson's disease (PD), the majority of studies found no such significant associations. Additionally, there is only limited research into the possible interactions of alcohol intake with aldehyde dehydrogenase (ALDH) 2 activity with respect to PD risk. We examined the relationship between alcohol intake and PD among Japanese subjects using data from a case-control study.
METHODS:
From 214 cases within 6 years of PD onset and 327 controls without neurodegenerative disease, we collected information on "peak", as opposed to average, alcohol drinking frequency and peak drinking amounts during a subject's lifetime. Alcohol flushing status was evaluated via questions, as a means of detecting inactive ALHD2. The multivariate model included adjustments for sex, age, region of residence, smoking, years of education, body mass index, alcohol flushing status, presence of selected medication histories, and several dietary factors.
RESULTS:
Alcohol intake during peak drinking periods, regardless of frequency or amount, was not associated with PD. However, when we assessed daily ethanol intake separately for each type of alcohol, only Japanese sake (rice wine) was significantly associated with PD (adjusted odds ratio of ≥66.0 g ethanol per day: 3.39, 95% confidence interval: 1.10-11.0, P for trend = 0.001). There was no significant interaction of alcohol intake with flushing status in relation to PD risk.
CONCLUSIONS:
We did not find significant associations between alcohol intake and PD, except for the daily amount of Japanese sake. Effect modifications by alcohol flushing status were not observed.
PMID: 21054827 [PubMed - indexed for MEDLINE] PMCID: PMC2991300 Free PMC Article
Alcohol drinking and risk of Parkinson’s disease:... [BMC Neurol. 2010] - PubMed - NCBI
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飲酒とパーキンソン病リスク: 日本での症例対照研究
背景:
飲酒とパーキンソン病の間にはいくつかの疫学研究で逆相関が認められている。にもかかわらず、多くの研究ではそのような有意な関係は認められていない。さらに、アルデヒド水素酵素(ALDH)2活性に配慮した、アルコール摂取とPDリスクの相互作用の可能性に関する研究は限られている。症例対照研究からのデータを使用して、日本人被験者でのアルコール摂取とPDの関連性を検討した。
方法:
PD罹患後6年以内の214症例と、神経変性疾患を持たない327例の対照から、被験者の生涯平均と比べた飲酒頻度のピークと飲酒量のピークの情報を収集した。ALHD2不活性の確認のため、アルコールでの赤面状態を質問により評価した。性別、年齢、居住地域、喫煙、学歴BMIアルコール赤面状態、内服歴、そしていくつかの食事因子で、多変量モデルを調整した。
結果:
ピーク飲酒期間での飲酒は、頻度や量を問わず、PDとは関連しなかった。しかしながら、アルコールのタイプ別に1日のエタノール摂取量を評価すると、日本酒では有意にPDと関連していた。アルコール摂取での赤面状態とPDリスクとには、有意な相互作用はなかった。
結論:
日本酒の1日摂取量を除けば、アルコール摂取とPDの間に有意な関連は認められなかった。アルコール赤面状態による、作用の変化は認められなかった。

http://iospress.metapress.com/content/105656/cover-medium.jpgJ Alzheimers Dis. 2010;20 Suppl 1:S221-38.

Caffeine exposure and the risk of Parkinson's disease: a systematic review and meta-analysis of observational studies.

Costa J, Lunet N, Santos C, Santos J, Vaz-Carneiro A.
Center for Evidence-Based Medicine, Faculty of Medicine, University of Lisbon, Portugal.

Abstract
Several studies conducted worldwide report an inverse association between caffeine/coffee consumption and the risk of developing Parkinson's disease (PD). However, heterogeneity and conflicting results between studies preclude a correct estimation of the strength of this association. We conducted a systematic review and meta-analysis of published epidemiological studies to better estimate the effect of caffeine exposure on the incidence of PD. Data sources searched included Medline, LILACS, Scopus, Web of Science and reference lists, up to September 2009. Cohort, case-control and cross-sectional studies were included. Three independent reviewers selected the studies and extracted the data on to standardized forms. Twenty-six studies were included: 7 cohort, 2 nested case-control, 16 case-control, and 1 cross-sectional study. Quantitative data synthesis of the most precise estimates from each study was accomplished through random effects meta-analysis. Heterogeneity was quantified using the I2 statistic. The summary RR for the association between caffeine intake and PD was 0.75 95% Confidence Interval (95%CI): 0.68-0.82], with low to moderate heterogeneity (I2= 28.8%). Publication bias for case-control/cross-sectional studies may exist (Egger's test, p=0.053). When considering only the cohort studies, the RR was 0.80 (95%CI: 0.71-90; I2=8.1%). The negative association was weaker when only women were considered (RR=0.86, 95%CI: 0.73-1.02; I2=12.9%). A linear relation was observed between levels of exposure to caffeine and the RR estimates: RR of 0.76 (95%CI: 0.72-0.80; I2= 35.1%) per 300 mg increase in caffeine intake. This study confirm an inverse association between caffeine intake and the risk of PD, which can hardly by explained by bias or uncontrolled confounding.
PMID: 20182023 [PubMed - indexed for MEDLINE]
Caffeine exposure and the risk of Parkinson... [J Alzheimers Dis. 2010] - PubMed - NCBI

カフェインへの曝露とパーキンソン病リスク:観察研究の系統的レビューとメタアナリシス
世界中で行われたいくつかの研究により、カフェインコーヒーの消費量とパーキンソン病進行リスクの逆相関が報告された。しかしながら研究間の異質性や結果の矛盾により、この関係の強度の正確な推定は妨げられてきた。カフェイン曝露のPD発生率への影響の推定を改善するため、公表された疫学的研究の系統的レビューとメタアナリシスをおこなった。2009年9月までのMedline, LILACS, Scopus, Web of Science そして参考文献リストを、データソースとして検索した。コホート、症例対照、そして横断的研究を含めた。3名の独立したレビュー者が研究を選択し、標準化した形式でデータを抽出した。26件の研究が含まれたが、7件のコホート、2件のコホート内症例対照、16件の症例対照、そして1件の横断的研究であった。ランダム効果メタアナリシスにより、各研究からの定量的なデータ統合にて最も適切な推定を成し遂げた。I2統計量を使い、不均一性を定量化した。カフェイン摂取とPDの要約したRRは0.75であり、不均一性は中等度以下であった(I2=28.8%)。症例対照/横断的研究の出版バイアスがおそらく存在した(Egger’s test, p=0.053)。コホート研究のみを考慮した場合、RRは0.80であった。 女性のみを考慮した場合には、否定的な関係は弱かった(RR=0.86)。カフェイン曝露レベルとRR推定値との間には、線形関係が認められた。カフェイン摂取量300mg増加に対するRRは0.76であった。この研究では、カフェイン摂取とPDリスク間の逆相関が確かめられた。これをバイアスや制御されない交絡で説明することは困難である。

2011-07-13

(Berk, et al. 2008) サマータイムと自殺

力不足の緩和を目的として、サマータイム制を積極的に取り入れる風潮がある。しかし、サマータイム制のデメリットに関する論議は殆ど行われていない。この研究は、オーストラリアにおける自殺サマータイム制の関係を調査したもの。結果として、サマータイム制の施行と自殺との間には、統計学的に有意な関係が認められた。日本睡眠学会は、サマータイム制の導入には反対の立場をとっており、急激なサマータイム制の導入に対し、警鐘を鳴らしている。

http://www.sbr.or.jp/images/sbr_book.gifSleep and Biological Rhythms
Volume 6, Issue 1, pages 22–25, January 2008

Small shifts in diurnal rhythms are associated with an increase in suicide: The effect of daylight saving

Michael BERK1,2,3,*, Seetal DODD1, Karen HALLAM2, Lesley BERK1, John GLEESON4, Margaret HENRY1
Article first published online: 21 FEB 2008
DOI: 10.1111/j.1479-8425.2007.00331.x

Keywords:
chronobiology;daylight saving;jet lag;suicide

Abstract
Large disruptions of chronobiological rhythms are documented as destabilizing individuals with bipolar disorder; however, the impact of small phase altering events is unclear. Australian suicide data from 1971 to 2001 were assessed to determine the impact on the number of suicides of a 1-h time shift due to daylight saving. The results confirm that male suicide rates rise in the weeks following the commencement of daylight saving, compared to the weeks following the return to eastern standard time and for the rest of the year. After adjusting for the season, prior to 1986 suicide rates in the weeks following the end of daylight saving remained significantly increased compared to the rest of autumn. This study suggests that small changes in chronobiological rhythms are potentially destabilizing in vulnerable individuals.

日周リズムの僅かな変動は自殺の増加と関連する サマータイムの影響
サマータイム(DLS)による1時間の変動が自殺数に及ぼす影響について検討するため、1971年1月1日〜2001年12月31日迄のオーストラリアにおける自殺データを評価した。この期間の自殺者は男性が47215名、女性が14383名であった。男性の自殺者は東部標準時間復帰後以降と比較してDLS開始後数週間において増加していた。季節を調整後、1986年以前のDLS終了後数週間の自殺率は残りの秋期と比較して有意に増加していた。以上より、男性においてDLS開始後の時期は、自殺の増加と関連があることが示唆された。時間生物学的リズムの僅かな変動は敏感な個体に対し精神的不安定化をもたらす可能性を有すると考えられた。

2011-07-12

(Pabayo, Gauvin & Barnett 2011) 都会の小児は活動的

http://blogs.opb.org/repblog/files/2010/07/agnes2.jpg一般的なイメージとしては、都会の子供よりも田舎の子供のほうが活動的であるような印象がある。しかしこの研究によれば、少なくとも通学手段に関しては、都会の子供のほうが徒歩や自転車を選択し、より活動的な通学方法を使っている。
日本でも地方のほうが車社会化していて、どこへ行くにも自家用車を使う地域は確かに存在する。生活習慣病の頻度は都会よりも地方のほうが多く、その差は想像以上に開いているのかもしれない。

http://pediatrics.aappublications.org/site/images/journal.jpgPediatrics. 2011 Jul 4. [Epub ahead of print]

Longitudinal Changes in Active Transportation to School in Canadian Youth Aged 6 Through 16 Years.

Pabayo R, Gauvin L, Barnett TA.
Faculté de Médecine,CRCHUM (Centre de Recherche du Centre Hospitalier de l'Université de Montréal), Department of Social & Preventive Medicine and Centre de Recherche Léa-Roback sur les Inégalités Sociales de Santé de Montréal, Université de Montréal, Montréal, Québec, Canada; and.

Abstract
Background:
Concern has been raised regarding the increased prevalence of physical inactivity among children. Active transportation, such as walking and cycling to school, is an opportunity for children to be physically active.
Objective:
To identify the sociodemographic predictors of active transportation to schools across time among school-aged children participating in the Canadian National Longitudinal Survey of Children and Youth (NLSCY).
Methods:
The sample included 7690 school-aged children attending public schools who were drawn from cycle 2 (1996 and 1997) of the Canadian NLSCY. Data were collected through interviews with the person most knowledgeable about the child. Parents were asked how their child usually gets to school. Responses were dichotomized into active (walking or bicycling) or inactive (school bus, public transit, is driven, or multiple) modes. Using 3 waves of data from the Canadian NLSCY (1996-2001), we estimated the effect of sociodemographic factors on the likelihood of active transportation to school across time using random-effects models.
Results:
Longitudinal analyses indicated that as children aged, the likelihood of using active transportation to school increased, peaked at the age of 10 years, and then decreased. Urban settings (odds ratio [OR]: 3.66 [95% confidence interval (CI): 3.23-4.15]), households with inadequate income (OR: 1.21 [95% CI: 1.06-1.38]), living with 1 parent (OR: 1.46 [95% CI: 1.29-1.65]), and having an older sibling living at home (OR: 1.14 [95% CI: 1.04-1.25]) were significant predictors of active transportation to school at baseline and carried through across time.
Conclusions:
Understanding the factors that influence active transportation may support its adoption by children, which in turn may contribute to meeting physical activity guidelines.
PMID: 21727104 [PubMed - as supplied by publisher]
Longitudinal changes in active transportation to ... [Pediatrics. 2011] - PubMed - NCBI


6〜16歳のカナダ人若年者の、活動的な通学の長期的変化
背景:
小児における身体的不活発の蔓延に関して、懸念が生じている。活動的な交通、例えば歩行や自転車での通学は、小児にとっての身体的活性化の機会である。
目的:
カナダ国立小児若年者長期調査参加者の学童期小児において、時間横断的に、活動的な通学の社会人口統計学的な予測因子を同定する。
方法:
サンプルは、カナダNLSCYのサイクル2(1996,1997年)から選ばれた、公立学校に在籍する7690名の学童年齢児である。データは、その小児を最もよく知る人物への面接から収集した。親に、子供がいつもどうやって学校へ行っているのかを尋ねた。返答は、活動的(歩行、自転車)と非活動的(スクールバス、公共交通機関、送迎、組み合わせ)とに分割した。カナダのNLSCY(1996〜2001年)のデータの3つの曲線を使って、ランダム効果モデルを使い、時間横断的に活動的通学の可能性に対する社会人口統計学的因子の効果を推定した。
結果:
長期的な分析にて、小児は年をとるにつれて活動的な通学の使用の可能性が増加し、そのピークは10歳であり、その後は低下することが示された。都会の環境(OR 3.66)、不十分な収入の家庭(OR 1.21)、片親との同居(OR 1.46)、そして年長の兄弟との同居(OR 1.14)が、ベースラインにおける活動的な通学の有意な予測因子であり、時間横断的に保たれていた。
結論:
活動的な移動に影響する因子の理解は、小児による選択をサポートし、身体的活動性のガイドラインに適うことに寄与する。

2011-07-10

第20回 日本脳ドック学会総会 参加メモ


http://jsbd2011.umin.ne.jp/images/mein.jpg
【無症候性未破裂脳動脈瘤
・全般的に、まだエビデンス不足
疫学調査 (UCAS Japan, UCAS II) が進行中

疫学
脳ドック受診者の4-5%に認められる: 診断精度向上により、上昇傾向
・女性に多い
・60歳前後が多い
・部位は中大脳動脈第一分岐部 (MCA)、内頸動脈後交通動脈分岐部 (IC-PC) が多い
高齢者ほど大きい傾向
◎発症危険因子
・高血圧 (OR 2.0)
糖尿病 (OR 2.2)
・喫煙 (OR > 5)

●予後
クモ膜下出血脳出血発症の危険因子
・破裂率: 1-2%/人年
・破裂による死亡率は30%、生存例も高率に後遺症を残す
◎破裂危険因子
○瘤径
・5mm未満: 0.36-0.96%/y、5〜7mm: 1.68%/y、7mm以上: 3%/y (RR 3.4)
・小さいと破裂の危険は低い
・大きいと治療が困難
○形状
・形状変化すると破裂しやすい
・ブレブがあると破裂しやすい
○併存症、治療の有無
・高血圧糖尿病、(高齢)
・通院加療中: 0.7%/y、放置: 1.14%/y
○部位
・小さくても前交通動脈 (ACom) は破裂しやすい
○サイズ比
・瘤径そのものよりも、血管径とのサイズ比(SR)が重要な可能性がある
SR <1.5: < 0.5%/y、SR > 2.0: > 1.0%/y
○家族歴: RR 2.5
○喫煙: RR 6.4
○多発例
◎課題
・低リスク例のフォローアップは保険診療? 脳ドック?

●治療
○血管内手術: コイル塞栓
・増加傾向(30%程度)
動物実験では、コイルでは血栓化は起こらない!
・圧低下が主な作用機序?
・術後瘤拡大や coil compaction を起こすことがある
○開頭術: クリッピング
・減少傾向
・小型動脈瘤はコイルへ移行
・大型は合併症が多い(ネックが広いため、かけ直しやマルチクリップが必要)
合併症率は低いと言われてきたが、高次脳機能障害・無症候性脳梗塞などまで含めると20%程度
・クリップ部位の破裂: 0.2-0.5%/y
・クリップ後の新生動脈瘤破裂: 0.5-1.0%/y
○術後評価
・modified Rankin Scale: mRS: 長期的転帰の指標
0 - 全く症状なし
1 - 何らかの症状はあるが障害はない: 通常の仕事や活動は全て行える
2 - 軽微な障害: これまでの活動の全てはできないが身のまわりのことは援助なしでできる
3 - 中等度の障害: 何らかの援助を要するが援助なしで歩行できる
4 - 中等度から重度の障害: 援助なしでは歩行できず,身のまわりのこともできない
5 - 重度の障害: ねたきり,失禁,全面的な介護
6 - 死亡

◎展望
○薬物による拡大、破裂の防止
動脈硬化の抑制: スタチン(破裂のOR 0.28、AIM
NF-κΒノックアウトマウスでは動脈瘤ができない
○aneurysm dormancy therapy

【無症候性脳梗塞
●意義
○症候性脳梗塞発症危険因子 (OR: 8.8)
脳卒中発症率:1.87%/年
○認知機能障害危険因子

●危険因子
・高血圧
糖尿病
・心房細動
・喫煙
・飲酒
・独居、単身赴任

●分類
・ラクナ梗塞
・アテローム血栓性梗塞

●治療
・降圧
○展望
幹細胞移植: 損傷部位への直接移植、経静脈投与

【無症候性大脳白質病変】
●意義
脳卒中発症危険因子 (OR: 10.6)
・認知機能障害の危険因子

●分類
○脳室周囲病変 Periventricular Hyperintensity: PVH
脳卒中 HR: 4.7
○深部皮質下白質病変 Deep and Subcortical White Matter Hyperintensity: DSWMH
脳卒中 HR: 3.6

●危険因子
・加齢
・高血圧
メタボリックシンドローム
・血中総ホモシステイン高値

頭痛
・機能性脳疾患: 他にてんかんなど
●分類
○日常的に起こる頭痛: 二日酔い、アイスクリーム頭痛
○一次性頭痛
片頭痛: 8.4%
・緊張型頭痛 (今は筋緊張型頭痛とは言わない): 22%
・群発頭痛: 0.05%
○二次性頭痛: 器質性疾患 (脳や全身の病気) によるもの
・頭蓋内疾患: くも膜下出血脳出血脳腫瘍髄膜炎
・頭蓋外疾患: 眼、耳、鼻、歯
・全身性疾患: 熱性疾患、褐色細胞

片頭痛
○症状
・日常生活に支障をきたす、体動で悪化
・月2〜3回〜数年に1回
・一側が多い
・拍動性
・悪心、嘔吐
・30〜40代女性に多い (13%)、閉経後にも認められる
ストレスからの開放時(週末: weekend headache)、月経前後の発症が多い、1〜3日間
閃輝暗点: 芥川龍之介「歯車」
○治療
・発作急性期治療: セロトニン作動薬(トリプタン)、ドーパミン作動薬、制吐薬(ナウゼリンプリンペラン)、ジヒデルゴット、 鎮痛薬(クリアミンA) (NSAIDs連用は避ける)
・発作予防治療: Ca拮抗薬(ロメリジン)、抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウム)、β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール)、三環系抗うつ薬(トリプタノール)、ペリアクチン(小児) など

●緊張型頭痛
○症状
性差なし、中高年
・頭を締め付けられるような頭痛、肩こり
・毎日のように起こる
・日常生活への支障はない、体動による悪化はない
・悪心・嘔吐はない
片頭痛との合併例もある
○治療
ストレスコントロール
・姿勢の是正、運動
・中枢性筋弛緩薬、抗うつ薬抗不安薬、循環改善薬

●群発頭痛
○症状
・一定期間、一定の時間(1〜2時間)に起こる
・1〜数年に一回
・その間は、アルコール、NTGでも誘発
・20〜30代、男性 (男女比5:1)
・片側の眼の奥をキリでえぐるような痛み、ぶつけたくなるような痛み、じっとしていられない (三叉神経痛とは違う)
・ホルネル症状、流涙、結膜充血、鼻閉、鼻汁
○治療
・発作急性期治療: トリプタン、酸素吸入 (7L, 15min)、酒石酸エルゴタミン
・発作予防治療:

認知症
●危険因子
・ApoE4、貧困、高血圧糖尿病

●予防因子
学歴、降圧治療、運動、栄養、睡眠

2011-07-09

プラトン

統計学では、「測定された値」を「真の値の分布」からランダムサンプリングしたデータとして考えることが多い。例えば、血圧を考えてみよう。単純化するため、血圧計の誤差は無視でき、有効桁数も十分多いと仮定しよう。血圧の値は一定ではなく、様々な要因の影響を受けて刻々と変化していく。計測するたびに違う値になることは、血圧計の所持者であれば誰しも経験しているはずだ。ただし、まったく無秩序に変化しているわけではない。ある人の安静時収縮期血圧を正しい方法で繰り返し測定していくと、その分布はある特定の分布、つまり真の分布へと収束していく。しかしいくら繰り返しても、真の分布へ到達することは出来ない。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4a/Plato-raphael.jpg/200px-Plato-raphael.jpgプラトンは、実在するのはイデアであり、我々は直接それを認識できないと主張した。五感を通じて認識しているのは、イデアの虚像に過ぎないと。我々が感じたり測定できたりするものは虚像にすぎず、実在を直接認識することはかなわない。その一方でプラトンは、理性によりイデアに近づくことができるとも主張した。その意味で統計学は、理性を持って虚像から真実を推定しようというプラトンの考えを具現化したものと言えるかもしれない。

ところで、プラトンの著作と言われていたものの中には、本当に本人のものかどうかがはっきりしないものがあり、学者間で論争を呼んでいた。最近の統計学自然言語処理コンピュータの発達により、文章中の「書き手の個性」の判別が可能となってきた。そういった手法により、それぞれの著作がプラトンによるものかどうか、その真偽が明らかにされつつある。「イデア思想の伝承」としてのプラトンの著作と「イデア思想の実装」としての統計学との意外な出会いが、そこにはある。

2011-07-08

(Desjardin, Peay & Bruns 2011) スポンジボブ・スクエアパンツ

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ac/Boneka_spongebob_senayan_city_Jakarta.jpg/180px-Boneka_spongebob_senayan_city_Jakarta.jpg日本のアニメーションは、世界中で放映されている。一説によると、世界で放映されているアニメーションの65%は日本製だそうだ。
一方で、海外で作られ、世界中で人気のあるアニメーションもある。「スポンジボブ・スクエアパンツ」もそんなアニメーションの一つだ。日本でも放映されていたので、知っている人もいるだろう。うちの子どもたちも大好きだった。アメリカでは子どもだけでなく、おとなのファンも多いそうだ。しかも、生物学者にもファンがいるようだ。なんと、新種のキノコにその名前をつけてしまったのだ。スポンジボブは、一応は海綿という設定だったと思っていたのだが、なぜキノコにその名をつけたのか・・・?

http://www.mycologia.org/content/vol103/issue4/cover.gifMycologia. 2011 May 10. [Epub ahead of print]

Spongiforma squarepantsii, a new species of gasteroid bolete from Borneo.

Desjardin DE, Peay KG, Bruns TD.
Dept Biology, San Francisco State Univ, San Francisco, CA, 94132, United States of America.

Abstract
A gasteroid bolete collected recently in Sarawak on the island of Borneo is described as the new species Spongiforma squarepantsii. A comprehensive description, illustrations, phylogenetic placement and a comparison with a closely allied species are provided.

PMID: 21558499 [PubMed - as supplied by publisher]
Spongiforma squarepantsii, a new species o... [Mycologia. 2011 Sep-Oct] - PubMed - NCBI

Spongiforma squarepantsii、ボルネオの新種の腹菌化アミタケ
ボルネオ島の Sarawak にて最近、腹菌化アミタケ類を採取した。新種の Spongiforma squarepantsii として記載する。網羅的な描写、図示、系統学的配置、そして近縁種との比較を提供する。