ITをめぐる法律問題について考える このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-08-22

マイナンバーをめぐるよくある誤解とその原因

マイナンバーをめぐるよくある誤解とその原因について、今執筆中の逐条解説書に書いているので、一部ブログコピペしたいと思います。


●●●よくある誤解

 番号制度をめぐってよくある誤解は、個人番号が漏えいしたら、知られたくない情報がなんでもわかってしまう、特定個人情報を漏えいしたり誤取得したら罰則が適用される、個人番号利用事務等の委託にさえ当たらなければ法的リスクはない、と峭羸度=カード、カードが手元に来ないが大丈夫か、行政効率化といっても、ただ単に国が楽をしたいだけではないか、ν便性が向上するはずなのに、一向に生活が便利にならないではないか、番号制度は増税への布石である、といったところであろうか。

´は書籍・ブログでも解説しているので割愛する。

 △糧蛎Г鬚瓩阿觚躄鬚慮彊の一つには、番号制度については「罰則が強化された」という報道がよくなされることが挙げられるだろう。政府としては、「安心・安全な番号制度のために、悪質な行為に対して罰則を強化したので、安心ですよ」ということを言いたいために、そのような説明資料を多数作成しているのであるが、報道を聞いた方としては、「自分も逮捕されてしまうのでは」という不安を生じさせるようである。しかし、法制上は、当然、明文規定のない処罰はありえないので、法律上に明記されている行為だけが処罰されることになり、これは悪質な行為に限られており、通常の社会人が業務遂行する際に行いうる行為ではないと考えられる。

 い離ードをめぐる誤解についてだが、平成27年の個人番号の付番開始当初のマスコミ報道を見ていると、「番号制度=カード」という構図で説明されることが多かった。カードはあくまで制度の一つであり、番号制度の主眼は、国版お客様番号のようなものである。お客様登録カードがなくてもお客様番号があれば業務処理ができるように、マイナンバーカードや通知カードがなくても個人番号にによって業務処理を行う。「制度=カード」という誤解は、住基ネットでも生じている。カードが手元に来るものとして、身近に捉えられやすいからだろうか。

 イ行政効率化をめぐる誤解だが、これは「行政効率化」という語感から、国が楽をしたいだけではないかという誤解が生まれたのではないか。お客様番号を導入している企業に対し、「消費者を無視し、企業が楽をしたいだけではないか」という声はあまり多く届いていないように思う。

 ν便性向上をめぐる誤解だが、これは政府資料でも報道でも、「番号制度で国民の利便性向上を図る」と、さんざん言われたことによるのだろう。しかし、番号制度はあくまでインフラであり、生活に劇的な利便をもたらすものではない。個人番号はいわば基礎年金番号をレベルアップしたものであり、基礎年金番号が生活に劇的な利便をもたらさないのと同じである。個人番号をより身近なもので例えるならば、ファミリーレスと蘭や居酒屋等の飲食店が店員に注文を暗記させたり手書きで伝票を書かせたりするのではなく、手持ち端末で注文を入力させるようにした場合の効果に近いともいえるだろう。来店した客にとっては、劇的な便利さはないが、注文ミスが減り、調理場との連携が効率化・迅速化し、調理・会計処理等が迅速化することで、飲食店にとっても店員にとっても客にとっても便利である。

 増税をめぐる誤解だが、番号制度は現行税制のままで、不正を是正する効果を見込んで導入された制度であって、増税のための制度ではない。それは番号制度の前身であるグリーン・カード、納税者番号制度でも同様であろう。消費税増税、財政難といった時代と重なって導入された制度であるために生まれた誤解であろうか。政府資料ではこの点、「公平・公正な社会の実現」と抽象的に目的を記載しており、脱税等の不正是正と具体的に記載していないために、ますます誤解が大きくなったとも考えられる。


●●●政府広報一般の受け止め方の乖離 

 では、なぜこのような誤解が生じてしまうのだろうか。霞ヶ関で勤務してみた感じたのは、霞ヶ関では世論を操作しようとか、暗躍しようという人はほぼ存在せず、大多数の公務員はまじめに勤務している。しかし霞ヶ関独特の文化があり、行政文書は、読み手を理解させるというよりも、これまでの慣行通りに記述することにどちらかというと注力されがちである。仮に、企業が新商品企画をする際に、企画書の読み手を意識せず、社内慣行に沿ったものとすることに注力していては、市場に商品価値を理解してもらえない可能性がある。霞ヶ関でも、読み手を意識した文書作りが必要であろう。

 そこで、筆者が感じたのは、マーケティング手法を国へ導入してはどうかということである。企業が新商品開発したりする際に一般モニターの声を聴取したりすることがあるが、政府広報でも、政府資料を読んでどう感じたか、どう伝わっているかを調査して、より誤解のない表現、わかりやすい表現に改善していくとよいのではないかと思う。政府広報は広告会社が落札する場合も多く、広告会社にはそのノウハウがあるのではないだろうか。また地方公共団体の一部では、市政モニターなどの制度を行っているところもあろう。

 また、政府だと新聞記者、TV局に政策説明する機会も多く、「記者ブリ」「記者レク」「論説懇」などと呼ばれている。しかし、筆者から見ると、政府広報政府説明は、記者にすら意味があまり伝わっていないように感じる。記者や一般人が、政府広報政府説明を読んで、どういう風に感じるのか、どういう点に疑問を感じるのか、どう誤解が生じるのかを、もっと丁寧に検討していくことが望まれる。

先生方が拙著をご紹介くださいました

『特定個人情報保護評価のための番号法解説』をとある先生にご献本させていただいたところ、大変ありがたいことに先生が拙著をご紹介くださいました(先生にご紹介いただいたサイトで先生は実名で書いていらっしゃらないようですので、当ブログでは詳細は控えております)。誠にありがとうございました。

また、岡村久道先生が番号法改正による条ずれについてFacebookで言及されていらっしゃいましたので、『マイナンバー法令集』をご献本させていただいたところ、大変ありがたいことに先生が拙著をご紹介くださいました。誠にありがとうございました。

先生方におかれましては、大変ご多忙のところ、恐れ入ります。ありがとうございました。

2016-08-18

港区個人情報保護運営審議会委員に就任しました

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東京都港区の個人情報保護運営審議会委員就任しました。

今日、初めて審議会に伺いましたが、非常に丁寧に諮問をされているなと思い、これを平成元年から続けていらっしゃるとはすばらしいなと思いました。

この審議会諮問・答申は、まさにこれこそPIA特定個人情報保護評価説明第三者点検であるなと思いました。特定個人情報保護評価がよりよいものとなるよう、今後も私の方で検討を続けたいと思っているのですが、審議会諮問・答申は、まさにその例というか、これをモデルに再構成しなおせないかなと思いました。

そして、港区は、場所がすごいです。会議室から東京タワー増上寺が見えるんです。

そういえば、去年、私、増上寺で講演しました。増上寺で講演って今思うとなかなか機会ないですよね・・・

そこで、去年講演前にとった写真を貼っておきました。

そして、審議会終了後に、区役所1階に行ったら、かわいい感じの人がいました。千葉県大多喜町おたっきーちゃんでした。

かわいいので、一緒に写真を撮りました。本多忠勝とたけのことお城と紅葉がポイントだそうです。

Facebookの方には、おたっきーちゃんと撮った写真をUPしています♪

2016-08-17

最近の状況

逐条解説書の執筆、あまりのボリュームで、やっている最中に「これ一生終わらないんじゃないか」と思うほどの作業量でしたが、さっき、附則の前までは一通り書き終わりました。ただ、ばーっと通し書きしただけなので、読み直してかなり手直ししないといけないし、ガイドラインを全く引用していないので、必要なガイドラインの記述を足しこんでいかないといけないけれども、ある程度の目途がたった状況です。

現時点で、42万2500字で、620ページ。改ページとかあんまりいれていないので、これだと本にしたときに、600ページを超えてしまいそうですが、出版社的には大丈夫なのでしょうか・・・ちょっと心配です。

しかし、「夜明け前が一番暗い」というのは本当だなあと実感します。

『チャレンジする東大法科大学院生』という書籍の一部を執筆した際も、「これは終わらないんじゃないか」と思ったら、比較的すぐ終わりました。これはゼミでやった調査を簡単に学期中にレポートにまとめたものを、司法試験後に論文にまとめて出版したものですが、私の書いた原稿に太田勝造先生がものすごくコメントを入れてくださるのです。あんなに丁寧にご指導してくださったおかげで、論文の書き方というのがしっかり身につき本当にありがたかったのですが、途中、「これは終わらないのではないか」と思ったのも事実ですが、そう思ったら比較的すぐ終わる、と。

あと、『担当者の不安解消!マイナンバーの実務入門』、これは校正が意外とつらかったです。私の書いている本の中でも一番平易にしようと思ったあまり、校正がつらかったです。あとは年始〆だったので、年末年始に、終わらないのではないかという不安を抱えながら生きていくのはややつらかったですかね。でもこれもつらいと思ったらその後は意外とすぐ終わりました。

『完全対応 特定個人情報保護評価のための番号法解説』は、最後までつらかったような記憶が・・・ 去年の書籍執筆スケジュールは尋常じゃなかったので、記憶もおぼろげですが。


で、今、やや並行して、別の原稿をやっているのですが、その編集者さんがすごい!

私は、もはや、読者の方が一体どこが疑問なのかがわからない状態なわけです。よくご相談を受ける点の記述なんかはもちろん厚く書いていますが、一般の方の疑問がもうちょっとよくわからないところがあって。そんな中、編集者の方が、そういう読者のことをよく想定して、ここの説明を足した方が良いとか、そういうコメントを丁寧に入れてくださるのですね。しかも著者丸投げでいいのに、編集者の方の方でかなり調べられているのですよ。すごいです。あとは、法律書の編集者さんだと、条文番号のチェックとか、条文の規定ぶりとの平仄チェックとかもしてくださいますけど、そのレベルも高すぎる。「あ、私、間違ってた・・・」と思うようなチェックをしてくださるんですね。本当にすばらしいです。

著者が原稿を書いて、それを編集者が見て、編集者コメントというのが著者のところに戻ってくるのですが、この編集者コメントの出来というのが、出版社・編集者によって、千差万別。今やっていただいている出版社さんは、元々、コラムと書籍でお世話になったのですが、その際の編集者コメントのレベルが高すぎて、さらに書籍のレイアウトというのか見た目全般がすごく読みやすくて、ぜひまたここで本を出させていただきたい!と思って、こちらから企画を持ち込んだんですね。さすが、今回もまたレベルが高すぎる。

ひどい出版社だと、編集者コメントが本当にひどいです。印税を昨年分、昨々年分と払ってくれなかったところなんて、著者が正しく表記しているものを調べもしないで、多々「直す?」みたいなコメントを入れているし、「及び/および」とかの表記統一を無視して訂正コメントを入れてくるんですよね。間違った編集者コメントを多数入れるくらいなら、編集者コメントなしにすればいいのにと思うのですが、コメントなしだと仕事してない感じが出るから嫌なんですかね。著者にしてみたら、間違った多数の編集者コメントに返事する時間が無駄なので、仕事したくないならコメントしてこないでほしいのですが。

勤め人だと、上司が誤った修正をしたりきませんか。しかし上司の場合、そこまで多数のコメントは入れないことの方が多い気がしますが。

前に勤めていた法律事務所だと、契約書とかも、弁護士コメントを多数入れた方が仕事している感が出るみたいに誤って思っている弁護士が結構いました。かといってそこまで直すところもないから、送り仮名とかばっかりしつこく趣味で直す、と。部下が出してきたドラフトとかメールすら、コメント・訂正を無意味に多数入れてきたりする弁護士とか、M&Aで無意味に質問数を増やすことを熱心にやる弁護士とかもいました。FAXの送り状を無意味に多数直す秘書とか。そのコメント・訂正のレベルがひどいんですよ。クライアントへのメールに「Best regards, Masako」って私が書いたら、「Kind regards, Masako」とか「Thank you and Kind Regards, Masako」に直されたり、「いつもお世話になっております」ってメールで私が書こうとしたら「平素よりお世話になっております」に直されたりとか。そんなのどちらでもビジネスマナーとして同じでしょう?と思いましたし、そもそもクライアントに出すメールを、私が直接送れず、上司にメールを見てもらってからじゃないとメール送れないって、どういう仕組みなの?、大手法律事務所って暇なの?と、驚いてしまいました。

その点、霞ヶ関なんて、課長補佐が官邸とか議員会館とか局長室とかにいって、局長級とか大臣級とか議員に普通に説明するわけですから、それはそれで驚きでした。最初、首相官邸に入った時、なんかあそこかび臭いんですけど、かび臭いけど、やっぱり官邸だから緊張していたのですが、官邸の椅子で、上司がとなりでぐちゃぐちゃになっているポケットティッシュを取り出して平和そうに鼻かんでいて、何かそれを見たら、「官邸といえども普通の場所なんだな」と思って、緊張しなくなりました。霞ヶ関霞ヶ関で不思議、弁護士事務所はもっと不思議すぎ、会社がやっぱり一番普通に思います。

2016-08-10

個人情報、個人識別符号、要配慮個人情報、特定個人情報の比較

個人情報、個人識別符号、要配慮個人情報、特定個人情報個人情報保護法、番号法条の規制の比較です。今後、随時更新する可能性があります。

f:id:cyberlawissues:20160816155743p:image

<<2016.8.16図表中に誤記があったため、差し替えました>>

2016-08-08

個人情報保護参考情報(匿名加工基準、国等)

1.経済産業省が、事業者が匿名加工情報の具体的な作成方法を検討するにあたっての参考資料(「匿名加工情報作成マニュアル」)を8月8日付で公表。昨年の調査研究をより精緻化したものとのこと。事例は3つなので、他の業種等においてはこれを参考に検討するための、指針的なもので、これがダイレクトに適用できるものではないと思われる。コチラ。今日の日経にも出ていた。

2.次に、総務省行政評価局が、年金機構個人情報流出事件を踏まえ、行政機関及び独立行政法人等における個人情報の管理の状況について、その実態を調査し、勧告を出したとのこと。コチラ

3.マイナンバーカード交付計画が更新。これは本当に良い取り組みだ。一覧表にする、と。地域が同じであったり規模が同じであったりしても、自治体によって、こうまでも進捗状況が違うというのがわかるという。なんともすごい強力な資料である。びっくり。リンクはコチラ


私の予定として、今後は、匿名加工情報について、より深く考えていきたいと思います。

あと、マイナンバー法逐条解説は、ようやく第30条(読替の最初の条文)に来ました。読み替えも地味につらいが、特定個人情報保護評価が実はつらかった。評価の本はもう別に出しているから簡単に終わらせようと思ったものの、第28条って意外と結構書いていて、あれを説明するためには、やっぱり重点項目評価とか基礎項目評価に触れないわけにはいかないし、ものすごく膨大になってしまいました。

だいぶ、ページ数に不安が出てきた感じです。600ページ超えるとまずいと言われているのですが。さすがにそこまでいかないと思っていたのに、あやしい雲行き・・・

あと、今書いている原稿のために、既に発行済の書籍を見返していたら、かなりひどかったです! 超大見出し、大見出し、中見出し、小見出し・・・みたいな感じで、かなり階層が深くなってしまっている本なのですが、小見出しが中見出しよりもフォントゴチックでものすごく目立っていて、大→中→小と三行連続で見出しが並んでいるところなんて、変すぎます。あと行頭揃えもがたがたしていて、とても読みづらいです。あと改行が変で、変なところに改行が入っているのに、文字が永遠と続いているところが長くて、大見出しが終わっても隙間をあけてもらえず、とても読みにくい! 編集者に校正段階でそれをいっても、全然聞いてもらえず直してもらえなかったのですが、これ、すごく読みづらいと思います。反省すべきは、私にもあって、もっと階層を浅くするよう、編章をきちんと構成すればよかったのですが。でも他社だとそういうのは編集者さんがやってくださったりするのですが、この出版社には編集者にそれを求めてはいけないようです。

この出版社、原稿料も払ってくれず、結局こちらが催促したら払ってくれたのですが、なんか原稿料が払われていない版がある気がして、まさかとは思ったものの確認したら、前々年度から払い忘れていたそうです。微々たる額なので別にいいのですが、前々年度から印税を払い忘れていたとは。出版社によると、「よく著者から『いつ支払ですか?』と催促される」そうです。そんな出版社、私はここしかしらないのですが。

名前のある程度通った出版社だから、こちらがチェックしなくてもちゃんと支払ってくれるだろうと思っていたら、前々年度から払い忘れていて、私が今回確認しなかったら、今年も忘れられ、もしかすると一生支払われなかったかもしれず。払い忘れないような対策は今後も特にやらないそうで、今後も、私がこつこつ、「あれ、これの支払は終わったかな?」とかってチェックしないと、払ってくれないようなのです。びっくりしてしまいました。

そしてこの出版社と、別のつきあいから、別の仕事をすることになったのですが、当初〇円でと聞いていたのに、送付されてきた契約書をみたら、金額が10万円ぐらい低くなっていました。区切りが悪い数字なので、タイプミスではないと思って、聞いてみたら、やはりタイプミスではなかったそうです。当初合意していた金額より低い金額で契約書を作成するって、なんか、詐欺商法とか、ナニワ金融道とかで、聞くような気が。びっくりな出版社です。さらにこの出版社から、別の講演依頼があったのですが、何となくもうお腹いっぱいという感じです。