ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 停食

放射線の影響が一番強く出るのは照射開始後一ヶ月くらいらしい。そのため今は食道の炎症が激しく、停食扱いになっている。ところが父は、看護師の目を盗んでは売店に菓子やパンを買いに行って食べていることがわかった。「あれ?食べていいの?」と聞くと、「先生がこれだけはいいと言った」などと答えていたので、最初はそれを信じていたのだが、真っ赤なうそらしい。
せん妄はだいぶよくなって、日付や階数などの数字も言えるようになったが、まだノーマルとは言いがたい。この食事癖がせん妄によって適否の区別がつかなくなったせいなのか、正常な意識によって意図的にやっているのかが、どうもわからない。先週は財布を取りあげたのだが、次に行ってみたら、どこかにへそくりがあったらしくて、またお金を出して使っている。こういう知恵はものすごく働いている。再びお金を取り上げた。
ベッドを立つとブザーが鳴るようなマットを看護師さんが敷いてくださって、トイレも厳重監視だったのだが、別フロアの放射線治療に行く隙などに、また売店に立ち寄っている。
一番痛みが激しい時期だから大量の痛み止めを点滴で投与し続けている。だから逆に言うと、食べても痛くない。だから食べる。しかし炎症を悪化させて、回復を自ら遅らせている。この悪循環。
もう自分で治す意思がないというか、もともと治る見込みのない病気だから、そしてまもなく口から食べられなくなることを知っているから、無意識的に食べることに執着するのだろうか。あるいは、病室のほかの人は食事しているのに自分だけ食べられないことに我慢がならない、その程度に知能が低下しているせいか。あるいは、元来のわがままな性格のせいなのか。