表題通り、以下は自分なりの意見なんて皆無なただの感想文です*1。
凄いなあ。元々凄みのある記事を書く人だけど、これは凄い。何が凄いってこの記事は判決が出る前日、つまり昨日12/12に書かれていた。今日判決が出て思い出したようにニュースに飛びつきました…というような記事とは一線を画する。勿論、裁判を追って常に意識のどこかにおいていた人なら可能ではあるけれど、そういう問題ではない。この記事はシンパシーや感傷(例えば、404 Blog Not Found:極めて不当かつ想定の範囲内の判決に顕著な)を排し、「Winnyの問題で作者を罪に問おうとしたことが社会に残した禍根」という明確な軸を提示している。
なぜ彼らが危機感を持ったか。それは、「squirt」で削除要求を無視するチェックボックスにチェックを入れる行為は、「私はそのファイルを公衆送信可能化する意思があります」という利用者の意思表示になるからだ。
Winnyは、そのような意思を隠せる、あるいはそのような意思をあえて持たないでいられるように工夫されたシステムであったからこそ、今の日本の法制度上、普及したのであり、この性質をなくせば使われないのであるし、この性質をなくさない限り、情報流出事故の被害拡散の防止が実現できない。
つまり、この性質を備えるソフトウェアの使用を法律で禁止する立法を検討するべきだと私は考える。(「squirt」はこの性質を満たさないので対象外となる。)
多量の引用で恐縮だが、外野の空騒ぎが利用者の意思表示を覆い隠したことに問題の本質を認めるべきという視点は相当にショッキングだ。また、これほど前向きな提示が主流を占めていないのもまた悲しむべきことだろう。
以前essaさんが、アンカテ(Uncategorizable Blog) - Winnyが残したものという記事の後、熟慮の上アンカテ(Uncategorizable Blog) - Winnyに実装上の欠陥あり!という訂正記事を挙げた。そのプロセスの中で利用者の認識にも触れている。
高木さんは、「追跡可能性を切る」ことが人の悪意を解放することを重く見て、社会の治安維持を重視しておられるのだと思う。それは一つの見識であり、それを主張されることを私はもちろん否定しない。ただ、その立場は私と逆であって、当然、私と高木さんの「要求仕様」レベルの見解は一致しないだろう。そうなるのは、私が、何らかの不当な目的で設計レベルの問題を故意に無視しているからではない。
アンカテ(Uncategorizable Blog) - Winnyの「要求仕様」と「設計」と「実装」
essaさんのように情報の非可逆的暴露装置にこそ価値があるという見方もある*2のだろうが、その非可逆性を利用者自身が選択しなければいけないようにしなければ責任の所在がわからなくなる。技術的な問題だけに押さえ込んだり、その周辺に拡大解釈したり、バズワードに塗れさせて我田引水すると問題の軸は全く別のところに移ってしまう。利用者を設計が無条件に肩代わりしてしまったところを見直さなければいけない。この観点を見失ってはいけない。
ダウンロードは違法なんて無茶苦茶な話や技術者の生き難い日本から移民なんて当てこすりの明後日向きな話に持っていったりするどころではない。取りも直さず今直面している現実にどう向き合いどう具体的な対策を施すか。これが今すぐすべきMUSTの課題なのではないだろうか?
白田さんや小倉さんや山形さんあたりの見解
は確かに気になる。恐らく現段階で断ずることが出来ることと出来ないことを明確に切り分けて、何かしらのアウトプットがあると思う。
上記では著作権については全く触れていない。Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決 - CNET Japanでは、国家権力が支持する既存法律に真っ向から実行を以って対し収拾がつかなくなったツケという解釈は分かりやすい構図にしているとも思った。ただ、どちらにせよ著作権の話についてはこのエントリで添え物ですらない。話を混在させると収拾がつかなくなることが目に見えている*3。
*1:書いてから読み直して、自分の意見が無いなあと実感したので、少しビクビクしつつ放言している
*2:最終的にこの点はessaさんは意見を変えていないように見受けられる。同意はしないけれど、そのことも含めこの事案に関するessaさんの一貫した姿勢は尊敬しています。
*3:元々収拾が着かない話かもしれないが、わざわざ更に混迷を招く愚を犯すつもりはない
とても面白い仕組みなのでいじってみます。技術的な理解は出来ないですが、いじくりがいがありそうでワクワクします。
>hasegawayosukeさん
それもオライリーのHacksシリーズ風だし。でも、こうやって広がりのある受け取られ方は見ていて楽しいです。出来れば、更に個別展開があると面白いのですが…