蟹工船・党生活者 / 小林多喜二

プロレタリア文学なんて共産主義プロパガンダでしょ? 読む必要ないよ」と思っていたので、この小林多喜二の名作もスルーしていたんですが、ワーキングプア御用達だというので読んでみました。最初の見積もりが低すぎたせいか、そこそこ面白かったです。最悪の労働環境の中で労働者が立ち上がるというストーリーなんですが、奴隷が団結して一揆を起こすという、古典的なドラマがあって熱かったです。
ただやっぱりその思想には共感できない。このような不当な(少なくともそう感じられる)搾取というものは世界的に見れば現在でもさして珍しくはないし、主観的に「蟹工船レベルの地獄」だと感じる職場だって日本にも腐るほどあるでしょう。しかしその解決策として団結してストライキするってのは、もはや時代遅れです。時代遅れとわざわざここで明記するのが恥ずかしくなるぐらい、限りなく時代遅れです。

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