カラマーゾフの兄弟 4 / ドストエフスキー

さあやっとクライマックスだ! と思ったら唐突にどうでもいいエピソードがでてきてしかもそれに100ページ以上割かれるという、予想だにしない展開が待っていました。これがロシア文学クオリティ。
全体的にしまりの悪いだらだらとした内容なのですが、途中のイワン発狂エピソードだけはガチです。おっさんの姿をしたリアルな幻覚があーだこーだと饒舌に語るというシーンなのですが、その幻覚のおっさんのキャラの立ちっぷりが半端ない。いくら妄想に過ぎないとはいえこんなのが現れるようになったらそりゃ誰だっておかしくなります。とくにイワンはこの小説中で一番感情移入していた人物だけに、背筋に嫌な感覚が走る展開でした。
あと長男。目次に誤審とでかでかと書かれているんですが、ふつーに有罪になってしまいました。事件の真相を知っている神の立場にいる読者からすれば、これは憤慨すべきポイントなのかもしれません。が、長男のそれまでの行動のやんちゃっぷり・無計画っぷりを見るにあんまり同情できませんね。いやー、もうちょい自分がどういう印象をもたれるか考えて動けよ……と呆れていたので、こういう風に勘違いされて終わってしまうのも納得いきます。
アリーシャは最後まで善玉でしたね。まあ、子どもとの絡みがよくわからなのかったのですが。長男は父殺し扱いだし、次男はイカレポンチだ、三男アリーシャだけが希望! 圧倒的希望……! という感じで上はダメだけど若いやつには希望があるよってことなのか。そう考えると子どもにあれだけスポットライトが当てられていることも頷ける。けど、そんな陳腐な解釈でいいのかって気もする。