2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧
2009年の衆院選はこの本を読んでみんなの党に入れることを決めたのですが、いま読み返してもまったく現状分析として正確で、いかに民主党が何もしなかったかが確認できました。民主党がマニフェストでかかげた政策は、一言でまとめると所得移転の変更でした…
このシリーズは3巻が一番好きなんですが、5巻の前篇はそれにつぐ面白さ。主人公のシリアスな過去が明らかにされます。周りに溶け込まない孤高主人公が徐々に打ち解けていくという、学園ものではおなじみのパターンですが、これがまたいいんですよ。「AURA」…
シリーズもの最大の弊害「中だるみ」が顔を出しております。非日常とみせかけた、ドラえもん的な日常がだらだらと続く感じ。1巻の焼き直しみたいな印象です。
遺跡探検もの。ロストテクノロジーに翻弄される冒険とかたまりませんね。いい年こいた大人が現代の電化製品を過去の栄光の象徴として祭り上げるところなんかも、ノスタルジックな感傷とともに爆笑できる名シーンです。新キャラも出てきて世界観がいい感じに…
体が小さくなって大冒険という懐かしのあのパターンなわけですが、いやあすごいなあ。パロディの嵐で笑えますし、知性の大小によって世界認識が変化するくだりなんかは感動的な面白さです。ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」ほど泣かせはしません…
森絵都のほのぼのとした脱力感と、ラファティのくだらなさと、ヴォネガットのシニカルな諧謔を怒涛のゆるさで希釈して、児童文学チックにまとめてみましたよって感じ。文明が衰退し、ゆるやかな余生を楽しむご隠居のような人類に代わって万物の霊長となった…
心は脳がつくっている錯覚だという。実験によると、指の動きを心が自覚する0.5秒前にすでに脳は指を動かす決定をしている、ということがわかった。つまり、自由意思をもって指を動かしたというよりも、すでに脳が行動を決定して、そのあとから心が「ああ、そ…
臨死体験を科学的に解明するものとしては瀬名秀明「BRAIN VALLEY」があるけど、それを宮部みゆきが書いたらおそらくこんな冗長な、ではなく、えー、重厚な、そう、重厚な物語になったはずだ。そしてこの書き出しからもわかるとおり、残念ながらあまり好きに…
個人主義者はよく「みんながバラバラに生きていたら社会が成り立たない」と反論される。同じように自由主義者が「おれっちは勝手にやらせてもらうぜ!」と自己決定ですませようとしても、コミュニタリアンが「ある程度統合された社会がないと人間ダメなんだ…
昔バイト先のITベンチャーの社長から紹介された本。その人自身、ものすごく仕事ができる人なのでこの本も期待して読みました。いや、想像以上に面白い本です。単なるマーケティング上のテクニックにとどまらない、ビジネスの基本的な部分を押さえています。…
命が軽いなあ、とを読んでいて思った。いや、容赦なく人が死ぬ話というのは戦争ものをはじめとしてありふれているわけだけど、ふつうそういう話での人の死は重い。都市が壊滅するような事態なんてそれはもう激烈にやばいわけで、その重さに登場人物たちは苦…
ミステリを読んでいるとまるでスーパーの棚に陳列しているカップ麺のように、密室殺人とか連続殺人とかが投げ売りされていて、もう正直げんなりなんだけど、この小説ではそのげんなり感をあらかじめ主人公が取りこんでいるところが新鮮だった。どこぞの名探…
バカミステリが好きなら清涼院流水を読めばいい。うじうじとした内省を味わいたいなら京極夏彦を読めばいい。言葉遊びと笑える文体を堪能したいなら舞城王太郎を読めばいい。しかし、そのすべてを手軽に楽しみたいなら、あなたは西尾維新を読むしかない。と…
たいていの場合、相対主義を議論に持ち込む人は別の何かを絶対視している。たとえば文学の良し悪しについて大学生が延々と居酒屋でだべっていたとしよう。それを見て隣のサラリーマン氏は思うのである。「お前らそんな下らんことで大切な学生時代を無駄にし…
などと冗談で友人に言ったことがある。ニーチェの価値相対主義について議論している際に、彼は「相対主義的に考えることってそんな必要なのか? 政治ゲームの勝者があまり幸福そうに見えない」とニーチェを批判するのだ。価値が相対的なものにすぎないとした…
「なぜ人を殺してはいけないの?」に、ニーチェがマジレスしたら、「それもまた君の信仰にすぎない」とあっさり返すだけだろう。しかし、だからといって現代思想にふれた者すべてが「人を殺すな」という道徳律をなかったことにし、モヒカンがバイクで世紀末…
どうなるんだろう。 というわけで、ニーチェ「善悪の彼岸・道徳の系譜」の解説です。ニーチェは哲学や政治学をやるのなら必読だと思うのですが、いかんせん文学的な表現が多すぎて何を言っているのかよくわかないと投げ出す人もいるんじゃないですかね。とい…
名作。基本的に村上龍の小説は没交渉な性格の人間に居心地いいように作られています。要するに「普通」とか「一般」から浮いたアウトサイダーやマイノリティに向けて書かれた小説なので、そういったある種の痛々しさ・普通にするすると生きていけない不器用…