橋本紡 ★★★☆

橋本紡流れ星が消えないうちに』を読んだ。
恋愛模様だけでなく、家族の物語をもう少し描いてほしかった。

僕の左手は、今も加地の右手を掴んでいる。
加地の左手は、奈緒子の右手を掴んでいる。
そうして僕と奈緒子は繋がってきた。加地という男をあいだに置いたまま、生きてきた。けれど、そんな関係は終わりにしなければならない。(中略)加地と繋いだ手はそのままだ。けれど、僕と奈緒子にはそれぞれ、空っぽの手がまだひとつずつある。
その手を直接繋げばいい。
(p.206-207)

道尾秀介 ★★★

道尾秀介向日葵の咲かない夏』を読んだ。
登場人物のほぼ全員が、ある種の狂気を孕み、後味悪さ抜群。
ホラーとしては最高だが、第6回本格ミステリ大賞の候補作になるほど、ミステリとして優れているとは思わない。 (反転→)探偵が、ある事件の犯人(←反転)という構図が、評価されたのかな?

ヨーロッパ企画 ★★★☆

ヨーロッパ企画「Windows5000」を観た@新宿THEATER/TOPS
毎度のことながら、舞台セットの凝り方が凄い。 数々の小ネタにクスクス、締めではニヤリ。 前作「囲むフォーメーションZ」と違い、手法の面白さが、舞台の面白さに繋がっていた。
でもそういうオチなら、小ネタのために仕方ないとはいえ、薄型テレビやロードレーサー(?)、ベースアンプといった高額品を所有しているのは変。
公演パンフレットが売られなくなり、寂しい。

森博嗣 ★★★

森博嗣MORI LOG ACADEMY〈1〉 (ダ・ヴィンチ ブックス)』を読んだ。
身の回りの出来事は「HR」に、それ以外は「国語」、「算数」、「理科」、「社会」、「図工」に章分けされた、親切編集。 彼のひねくれた(でも言われてみれば、確かにそうかもと思わされる)見方・考え方が堪能できる、「社会」の章が良い。

山本幸久 ★★★★

山本幸久はなうた日和』を読んだ。
あっこの人は、あの話に出てきたあの人かな、という具合に、登場人物が微妙にリンクしている連作集。日常のちょっとした出来事を、ここまで面白く読ませる筆力は、凄いと思う。