大学受難 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-03-12 当世学生 二足のわらじ 厳しい就職 学外で専門技術 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

就職氷河期になると脚光を浴びる学生らの「ダブルスクール現象」に、新たな動きが広がっている。かつては司法試験簿記検定などの対策、語学習得といった資格大学の専攻に関連するものが主だった。だが最近は、専攻とは畑違いの服飾デザインや、コンピューターグラフィックスCG技術を身に付けたいと通うケースが、目立つという。 (中沢佳子

 「バンタンデザイン研究所」(渋谷区)は受講生の三割がダブルスクール族。ほとんどが就職意識する二、三年生で、大学で服飾を専攻していない学生も多い。その一人、洋服の販売職を目指す大東文化経済学部二年の塩原慶一郎さん(20)は「服を売るには、色彩や布地の知識、ディスプレーの技術も必要」とダブルスクールを決めた。大学との両立は大変だが「大学勉強する経済学は幅広すぎる。でも、洋服しか見えない環境だと世の中が分からなくなる」と語る。

 中央大学商学部三年の信沢俊介さん(21)は「おもちゃ製造会社就職し、おもちゃの企画をやりたい」と、グラフィックデザインを学んでいる。学部の勉強は、おもちゃデザイナーという希望の道と無縁に見えるが「時代がどんなデザインを求めているかが分かり、意義はある」という。

 「専門技術は必要だが、それだけでは就職できない時代」と就職戦線の厳しさを語る同研究所PR室の林口雅さんは、大学と学外の学校で異なる二つの専攻を持つ「ダブルメジャー」を勧めている。「大学では教養を深め、広い視野を養える。両立できれば、大卒と専門技術という二つの強みが手に入る」

 CG映像クリエーター養成する「デジタルハリウッド」(千代田区)でも、主に社会人が対象の夜間クラスの受講生のうち三割がダブルスクール族という盛況ぶり。主流は美大生だが、法学部文学部医学部学生も増えた。ニーズの高まりを受け、四月にダブルスクール専用クラスを新設する。

 「CG映像技術は、住宅自動車医療司法など各分野で活用されていく。働く場が広がると考えて学生が集まるようです」と広報担当川村めぐみさんは話している。

◆3年で倍増 内定率低迷と連動

 東京都内専修学校など三百五十七校でつくる「東京都専修学校各種学校協会」(渋谷区)の二〇〇八年度の調査では、加盟校の学生に占めるダブルスクール族の割合は0・6%で、三年前に比べて二倍に増えた。

 同協会の有我明則事務局次長は「ダブルスクールの増加は、就職内定率の低迷と連動する。最近は、就職できなかった既卒者や、大学中退して専修学校に入り直すケースも増えた」と指摘する。

 文部科学省によると、今春卒業予定の学生就職内定率は、昨年十二月一日現在で前年同期より7・4ポイント低い73・1%。一九九六年の調査開始以降、最悪だった。

 有我事務局次長によると、ダブルスクール族は今後も増えるとみられ、「やりたいことが決まらないまま大学に進む学生が多く、入学後に自分職業イメージが固まり、必要な専門知識を学外で学ぶという流れだ」と分析している。

2010-03-10 選択の物差し 多様性必要 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

情報公開

 退学率や卒業率、入試方法別の入学者数などのデータ公開を大学に義務づけるかどうかの議論が現在中央教育審議会で行われている。

 大学選びの指標にと、文部科学相大学設置基準に盛り込みたい考えだが、風評被害を恐れる大学側の反発などから、「年度内の改正は難しい」(徳永保・文部科学省高等教育局長)という。

 確かに大学にとっては、この情報公開は頭の痛い懸案だろう。昨年の読売新聞の「大学の実力」調査でも、入試方法別の入学者数の質問に対し、無回答・非公表が10%。「数字の独り歩きが怖い」と率直に書き添える大学もあった。

 だが大きな問題は、それでは、大学側は数字の意味を十分に説明してきたか、という点にある。背景をきちんと公表しているところは皆無に近い。

 一方、受験生教員保護者も同様で、数字の裏を読みとる努力はあまりうかがえない。「大学の実力」のデータをもとに生徒たちと真剣に話し合う教師がいる反面、いまだに「いかに偏差値の高い有名校に入れるかが“高校の実力”」という校長も少なくない。その結果、どんな大学かわからないまま漫然と入り、「合わない」と去っていく学生も出てくる。

 2人に1人が大学に入る時代。選択に使える物差しも多様な方がいい。それを肝に銘じ、今年も調査を行い、データを読み解いていきたい。

2010-03-05 私大補助金3217億円 09年度、3年連続の減少 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

日本私立学校振興・共済事業団は26日、私立の大学短大高等専門学校高専)に交付した2009年度の経常費補助金の総額が前年度比約31億円減の約3217億8200万円と発表した。補助金の前年度比1%減額を盛り込んだ政府の「骨太の方針」に基づき、3年連続で減少した。

 交付の内訳は大学542校、短大332校、高専3校の計877校。1校当たりの平均交付額は大学約5億4720万円、短大が約7421万円、高専が約1億8700万円。学生1人当たりの平均交付額は大学が約16万円、短大約17万円、高専約28万円だった。

 学校別では日本大の約107億2811万円が最も多く、次いで早稲田大が約91億9149万円、慶応大約87億415万円―の順。

 募集停止や運営不適正などの理由で不交付になったのは計100校。補助金学生経済的負担の軽減などが目的で、教職員数や学生数などに応じて配分している。

2010-03-04 大学大競争:国立大法人化の功罪 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

衣装ケースで水槽 メス手作り

 「さあ、明日の実験の準備をするか」

 東日本地方国立大生物学を専攻する50代の男性教授は、近くのホームセンターで1本50円で買った細長い木の棒を取り出した。長さ20センチほどに切り、先端に切れ込みを入れる。カッターナイフの刃1枚を差し込み、固定する。実験動物の解剖などに使う手作りメスの完成だ。実験機器カタログで買うより1本あたり数百円安く、「実験のたびに新しいメスを作るから、切れ味は案外いいんですよ」と、自嘲(じちょう)気味に笑う。

 実験動物を飼う水槽手作りだ。普通に買えば10万円以上かかる。一つ980円の透明な衣装ケースを並べ、パイプでつないだ。かかった費用は計2万円。自腹で払った。

 今年度、大学から男性教授に支給された研究費は約30万円。学会出席の旅費、実験試薬代、動物のえさ代などで、すぐになくなる。国立大学法人化(04年度)前の3分の1程度に減った。

 国から大学への運営費交付金の減額に加え、各大学の特色作りのため学長が独自に使う経費が増えた結果、研究者への配分が目減りした。

 当然、この額では満足な教育もできない。一番切ないのは、学生が好きな研究テーマを選べないことだ。研究室では、「お金のかからないテーマ」を選ぶのが暗黙のルール。高価な試薬装置が必要な研究はしない。

 財務省は、現場教員からの悲鳴に対し、「運営費交付金は減ったが、科学研究補助金科研費)など競争的資金は大幅に増えた。全体で見てほしい」と反論する。だが、競争的資金には日本中の研究者が群がる。

 「東京大のような大学地方大は、そもそも出発点が違う。金も人材も少ない。同じ土俵で戦っても勝てるわけがない」と、男性教授はため息をついた。男性教授研究室顕微鏡は、15〜20年前に買った。実験画像を録画するビデオデッキも20年前のものだ。「今は、昔の遺産で何とか生きている。だが、学生がふびん。学生が好きな実験ができるくらいにはしてほしい」

 ◇旧帝大以外、医学論文8%減

 法人化教育だけではなく、大学研究機能も脅かす。04〜09年に三重大学長を務めた豊田長康・同大学長顧問が、国立大医学部研究者による医学論文(基礎・臨床)の数を分析したところ、法人化前まで増えていた論文数が、07年は03年比で3%減少した。特に東大京都大など旧帝国大7大学以外の落ち込みが大きく、同8%も減った。一方、旧帝大は同5%増えた。

 国立大付属病院収入不足を補う国からの交付金が、法人化された04年度の584億円が09年度は207億円に減額。自前の収入増を義務付けられた各病院は、患者や手術件数を増やし、教員研究時間を削って診療に力を注ぐことになった。さらに新人医師が自由に研修先を選べる新臨床研修制度が、人手不足拍車をかけた。

 豊田さんは「そもそも地方国立大病院は人手が少なく、余裕がなかった。地方大のダメージは、旧帝大と比べものにならず、大学格差が一層拡大した」と批判する。

大学など高等教育の充実こそ「国力」の源泉と位置づける世界各国は、高等教育機関への投資を増やす。一方、日本高等教育機関への対GDP国内総生産)比の公的支出は、OECD経済協力開発機構)加盟国の中で最下位だ。

 少子化が進み、財政難が続く中、限られた「パイ(金)」を奪い合う国立大。そして広がる大学格差。01年から8年間、岐阜大学長を務めた黒木登志夫・東大名誉教授は「サッカーでもワールドカップで勝とうとしたら、Jリーグを強くしなければならないのと同じで、地方大の底上げが必要だ」と指摘する。国立大の変革は、まさに正念場を迎えている。

2010-03-02 神奈川歯科大投資詐欺:事件受け、補助金75%減額 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

学校法人神奈川歯科大学神奈川県横須賀市)の巨額投資を巡る詐欺事件を受け、日本私立学校振興・共済事業団(東京都千代田区)が同法人に対する09年度の経常費補助金を75%減額することが15日分かった。

 補助金は、学生数などに応じて、国から事業団を通じて支払われる。同法人には09年度分として減額後の約1億5400万円を交付し、10年度50%、11年度25%の補助金減額も予定しているという。

 同法人投資ファンド資産運用して07〜08年度に計約89億円の損失を出し、元財務担当理事ら5人が、詐欺罪などで起訴された。